住宅ローン

インターネット上で「住宅ローンを払えない人が急増している」という情報を見かけることがありますが、公的なデータを見る限り、そのような情報はありません

しかし、「借入期間35年超・金利2.0%以上の住宅ローンは払えない状況となる割合が高い」「自己破産や個人再生の数は増えている」というデータは確かにあるため、現時点で住宅ローンの支払に不安を感じている方は、注意が必要です。

今回は東北No.1の店舗数で日々不動産売買のご相談を承っている不動産会社『イエステーション』が、「住宅ローンを払えない」とお困りの方、「住宅ローンをこれから利用したいが、払い切れるか心配」と不安をお持ちの方へ、ご自身の状況に応じて今何をするべきかを、わかりやすくお伝えします。

住宅ローンを払うのが難しくなった場合には、早期対応がその後の生活不安を取り払うことにつながりますので、ぜひ最後までご確認ください

「住宅ローンを払えない人が急増」は間違い|現状と今後の動向予測を統計データから紹介

はじめに、「住宅ローンを払えない人が急増」という情報が間違いだと言える理由や今後の動向予測を、簡単にご紹介します。

【現状】住宅ローンを払えない割合は決して高くない

金融庁は住宅ローンの債務不履行状況(払えない状況)に関する調査と分析を定期的に実施していて、2024年度の割合は全体の0.163%でした。(おおよそ1/600人)

ただし地方銀行を対象とした調査で、上記の割合は「分析開始時点で既に債務不履行となった方・完済をした方を除いて、その後の1年間で新たに債務不履行となった方」の割合です。

北海道・東北地域が0.226%とやや高く、関東地域が0.128%と低い傾向ですが、どの地域も1%を大きく下回っています。

地域デフォルト率(2024年度)
北海道・東北0.226%
関東0.128%
中部0.163%
近畿0.162%
中国・四国0.177%
九州・沖縄0.169%
全体0.163%

さらに、日本弁護士連合会の調査でも、破産事件の負債原因全体のうち、住宅購入による破産の割合は2.44%ほどです

自己破産・個人再生は増加中だが、原因は住宅ローン以外がほとんど

「住宅ローンを払えない人が急増」という情報は、「自己破産・個人再生が増えている」という情報と混合されていると考えられます。

2025年の個人の自己破産数は3年連続で増加し、92,059件(速報値)に達しています。

上記司法統計には自己破産の原因に関するデータがないため、日本弁護士連合会の調査データで確認すると、自己破産の主な原因は以下のとおりでした。

  • 生活苦・低所得:65.86%
  • 病気・医療費:26.44%
  • 生活用品の購入:18.00% など

「負債額:100万円〜200万円未満が16.38%」「家族人数:単身43.63%」が最も多く、上記の「生活苦」などの原因に住宅ローンが影響しづらいことがわかる結果も読み取れます。

【今後】住宅ローンが払えない人の割合は、低い状態が続く可能性が高い

現在は金利が上昇局面ですので、「今後は住宅ローンが払えない人が急増するのでは?」と不安をお持ちの方が多いと思います。

しかし、金融庁の住宅ローンの債務不履行状況(払えない状況)に関する調査によると、2017年から住宅ローンの債務不履行数は減少傾向で、この傾向が今後も続くことを予測できます。

その理由は、住宅ローンの審査や借入状況の傾向から、返済能力の高い層が中心の借入構成になっていることが読み取れるためです。

以下は、「民間ローンの実態調査」「フラット35利用者調査」の結果で、対象者や調査方法は異なりますが、住宅ローン審査や、住宅ローン利用者の傾向を読み取れます。

審査住宅ローン利用者の年齢
金融機関の90%以上が審査時に考慮している項目
・完済時年齢:98.4%
・健康状態:96.1%
・借入時年齢:96.2%
・年収:94.2%
・勤続年数:93.9%
・担保評価:91.0%
・返済負担率:90.9%
住宅ローンの借入時年齢
・30歳代以下:40.2%→45.1%
・40歳代:26.8%→25.6%
・50歳以上:33.0%→29.3%

審査の上位3項目は令和4年から構成が変動していないため、年収といった数値も重視されているものの、金融機関は「契約者本人が完済のポテンシャルを持っているか」をより重視して、総合的に審査をしていると想定できます。

一方で住宅ローン利用者の借入時年齢は30歳代に次いで50歳代以上が多い状況で、50代は一般的に金銭的余裕がなければ長期にわたる住宅ローン返済が難しい年代です。

この結果と債務不履行率が低いデータを読みあわせると、やはり住宅ローンは、借入時点で払えなくなる可能性を秘めている人よりも、払い切れる人が中心の借入構成になっていると想定できるため、今後も住宅ローンを払えない人が急増する可能性は低いと予測です

「急増」は間違いだが「借入期間35年超・金利2.0%以上の住宅ローン」は破綻に注意

住宅ローン

「住宅ローンを払えない人が急増している」という情報は間違いですが、以下の条件で住宅ローンを利用している人の債務不履行率が高いという現状も無視できません。

  • 借入期間が35年を超える住宅ローン
  • 借入金利の水準が2.0%以上の住宅ローン

35年を超える超長期ローンは毎月の返済額を抑えられる点がメリットですが、「退職後まで返済が続く」「返済額に占める利息割合が高く、総返済額が膨らむ」といったリスクを抱えています

また、借入金利については2%以上の住宅ローン利用者の債務不履行割合が高く、固定金利と変動金利では、変動金利のほうが金利変動に連動して債務不履行率も変動することがわかっています。

変動金利は当初の金利が低い分、金利上昇による家計への影響が大きいことが、債務不履行につながっていることを想定できます

【例】借入残高3000万円、残りの返済期間40年の場合(ボーナス返済なしで試算しています)

  • 金利0.6%の返済額:117,192円/月
  • 金利2.0%の返済額:151,412円/月

住宅ローン利用者の約8割が変動金利を選択しているため、特に超長期ローンを利用する場合には、「退職時点」といった収入が変わる節目の住宅ローン残高を把握しておきましょう。

また変動金利の上昇に家計が耐えられる分岐点の返済額を試算し、「変動金利がここまで上がったら全期間固定への借り換えを検討」といった見通しもたてておくことが大切です。

住宅ローンを払えないとどうなるのか

住宅ローンの滞納

ここまで「住宅ローンを払えない人がどの程度いるのか」など、住宅ローン利用の全体像を確認してきたので、次に住宅ローンを実際に払えない場合にどうなるのかもご紹介します。

住宅ローンの返済を滞納すると、段階を追って状況が深刻になっていきます

おおまかな流れは、以下のとおりです。

  • 滞納1〜3か月ごろ:金融機関から督促状や催告書が届く
  • 滞納3〜6か月ごろ:「期限の利益の喪失(分割払いの権利を失うこと)」となり、住宅ローン残額の一括返済を求められる
  • その後:保証会社が金融機関へ住宅ローン残額残立て替え払いし(代位弁済)、債権が保証会社へ移る
  • 代位弁済後:保証会社が裁判所へ競売が申し立てて、競売手続きが始まる
  • 最終的に:自宅が競売にかけられ、落札されると退去を求められる

滞納から競売による退去までの期間は、おおよそ1年から1年半程度が目安です。

競売では市場価格より大幅に安い金額で落札されることが多く、家を失ったうえに住宅ローンの残債だけが残るという、最も避けたい結末になりかねません。

イエステーションは、住宅ローン返済に不安を感じ始める前の段階から売却相談・査定をご依頼いただける不動産会社です。

宮城県・福島県・茨城県で住宅ローンの支払が苦しいと感じている方は、お気軽にご相談ください

住宅ローンを払えずご自宅を失う前にできること

住宅ローン破綻不安のある夫婦イメージ

住宅ローンを払い続けることに不安を感じている場合には、時間に余裕を持って動くほど選択肢が多く、有利な条件の選択も可能です

以下ようにご自身での対処が難しい場合には、滞納をする前に、早い段階で住宅ローンを利用している金融機関へ相談しましょう。

  • 家計を見直しても住宅ローンを払えない
  • 借り換えを検討したが、手数料などを加味すると現状維持がベスト
  • 売却したいが売却額が住宅ローン残額よりも少ない

住宅ローンがある住宅の売却は、「ローン完済」が前提となります。

こちらの記事で、住宅ローンが残っていて、売却額で住宅ローンを完済できない場合の対処法もご確認いただけます。

大切なのは、滞納する前に金融機関へ相談を始めることです。

病気、転職などによる一時的な収入減少で住宅ローンを払えない場合には、「返済期間の延長」「一時的な返済額の軽減」といった対応をしてもらえる可能性があります

それでも問題が解決しない場合には、いよいよ次の選択肢を考えることになります。

今の家に住み続けたい場合:個人再生

「個人再生」は、裁判所を通じて借金を大幅に減額し、原則3〜5年で分割返済していく手続きです。

個人再生手続きの際には、住宅ローンの支払を続けてご自宅を残せる「住宅ローン特則」を使える可能性がありますが、一定期間、新たな借入やクレジットカードの利用が難しくなる(信用情報への影響)などのデメリットもあります。

ただし住宅ローン特則を利用するためには以下のような条件があります

  • 裁判所が返済能力があると判断した方のみが利用できる
  • ペアローンや連帯債務で住宅ローンを利用している場合、どちらか一方だけが個人再生をすると、もう片方に一括返済が請求される
  • 投資用や別荘には使えない
  • ご自宅に事業用借入など住宅ローン以外の抵当権がついていると利用できない
  • 滞納が続き、保証会社が代位弁済(代わりに返済)をしてから6ヶ月を超えていると利用できない

住み替えたい(今の家を手放してもいい)場合:任意売却

ご自宅の売却額が住宅ローン残額を下回り(オーバーローン)、手持ち資金もない場合(手持ち資金を追加して住宅ローンを完済できない場合)には、金融機関の同意を得てご自宅を売却する「任意売却」という方法があります

任意売却は競売より高く売れる可能性が高く、退去時期を調整しやすい点がメリットですが、金融機関との交渉が必要で、信用情報にもネガティブな情報が残ります。

家を手放したくないので、賃貸物件にしたい:家賃収入の範囲で住み替え先の住居費を支払う

ご自宅を賃貸物件にする場合には住宅ローンを利用し続けることができないため、2つの選択肢があります

  • 手持ち資金で住宅ローンを完済
  • 不動産投資ローンに借り換え

ご自宅を賃貸物件にする場合に、住宅ローンを利用し続けることができない理由は、住宅ローンは「契約者本人やご家族が住むこと」を前提として低金利などの条件が定められているためです。

金融機関に無断でご自宅を賃貸物件にした場合、「契約違反(資金使途違反)」となって住宅ローン残額の一括返済を求められるリスク(期限の利益の喪失)があります

不動産投資ローンは、ノンバンク系(預金業務を行わない金融機関)を選ぶと審査が比較的通りやすい特徴がありますが、住宅ローンと比較して金利が高い点がネックです。

こちらの記事で、住宅ローン返済中の住宅を賃貸転用する場合の対処法をご確認いただけます。

「住宅ローンが払えない人」にならない方法

住宅ローンの資金計画をたてる夫婦

最後に、これから住宅ローンを利用する方に向けて、「払えない人」にならないための具体的な方法をお伝えします

「銀行の住宅ローン審査に通る=ご自身は大丈夫」と考えず、金利や家計の変化まで含めて、ご自身で返済リスクをコントロールする意識が大切です。

仮審査で借入可能額を確認し、35年以内の返済計画に無理がないか確かめる

金融機関の仮審査(事前審査)を受けると、ご自分の借入可能額を把握できます

ただし、「借りられる金額」と「無理なく返せる金額」は別物です。

返済期間を35年以内に収める場合の返済額を確認し、金利が1〜2%上昇しても無理なく払えるかどうかを、改めてご検討ください。

一般的に、住宅ローンの毎月の返済額は手取り収入の20〜25%程度に収まるのが健全な返済比率とされています。

各種優遇制度を活用し、電気代を抑えられる高性能住宅を選ぶ

住宅購入時には、国や自治体の補助金・減税制度を必ずご確認ください

補助金・減税制度どちらも、利用条件に該当しない方法で住宅を購入すると、住居費の負担を軽減できるチャンスを逃して後悔します。

特に省エネ・高耐久な住宅を対象とした補助金や減税制度を国・自治体が実施しています。

  • 補助金:省エネ性能の高い住宅を対象とした国の補助制度を利用できる場合があります(制度の内容や予算枠は年度ごとに変わるため、購入時点の最新情報の確認が必要です)。
  • 減税制度:省エネ性能の高い住宅ほど、有利な条件で所得税などが減税される制度があります。

まとめ

「住宅ローンを払えない人が急増している」という情報は、公的データを見るかぎり正確ではありません

自己破産や個人再生は増加していますが、原因は住宅購入ではなく低所得や病気などです。

一方で、金利が上昇局面に入った今、借入期間35年超・金利2.0%以上といった借り方にはリスクがあることも事実です。

すでに返済が苦しい方は、滞納する前に金融機関や不動産会社へ早めに相談することで、競売という最悪の結末を避けやすくなります

これから住宅ローンを組む方は、借入可能額いっぱいではなく「無理なく返せる額」を基準に、優遇制度も活用しながら計画を立てることが、「住宅ローンを払えない人」にならないための一番の近道です。

宮城県・福島県・茨城県で住宅ローンや売却・住み替えにお悩みの方は、年間900件以上の取引実績を持つイエステーションへお気軽にご相談ください