
「不動産を売って利益が出たけれど、ふるさと納税の上限額は増えるの?」「いくらまでなら寄附しても自己負担が2,000円で済むの?」とお悩みではないでしょうか。
不動産の譲渡所得は給与とは分けて税金を計算しますが、ふるさと納税の上限額の計算には含まれるため、売却益が出た年は上限額が増えます。
今回は福島県・宮城県・茨城県に23店舗を構える不動産会社「イエステーション」が、不動産の譲渡所得がある年のふるさと納税の計算方法を、わかりやすくご紹介します。
不動産を売却した年ならではのふるさと納税の上限額を、自己負担2,000円のまま使い切るために、ぜひ最後までご覧ください。
目次
Toggle不動産の譲渡所得でふるさと納税の上限額は増える

はじめに、不動産の譲渡所得の、ふるさと納税への影響を解説します。
- 売却益が出た年はふるさと納税の上限額が増える
- 不動産売却で売却益が出ない年・3,000万円特別控除で0円になる年は増えない
- ふるさと納税の上限額が増えるのは売却した年の1年分だけ
売却益が出た年はふるさと納税の上限額が増える
不動産の譲渡所得は、給与などとは合計せずに税金を計算する「分離課税」の所得です。
それでも、上限額を決める「住民税所得割額」(住民税のうち、所得に応じてかかる部分)には、譲渡所得の住民税も合計されるため、売却した年は上限額が増えます。
不動産売却で売却益が出ない年・3,000万円特別控除で0円になる年は増えない
不動産を売却して以下のように売却益が出なかった場合には、ふるさと納税の上限額は増えません。
- 売却価格が「取得費+譲渡費用」を下回って損失が出た場合
- 特別控除で譲渡所得が0円になる場合
また、マイホームを売った場合の「3,000万円特別控除」を使える場合、売却益が3,000万円以下であれば譲渡所得は0円です。
3,000万円を超えた部分にだけ住民税がかかり、その分だけ上限額が増えます。
こちらの記事で、マイホームを売った場合の「3,000万円特別控除」について、要件や計算方法をご確認いただけます。
〈関連ページ〉自宅売却の税金がかからない場合は主に2パターン|3000万円控除の特例、申告方法など簡単解説
所有期間10年超のマイホームは、控除後の6,000万円以下の部分の住民税が4%(通常5%)に下がる「軽減税率の特例」があるため、上限額の増え方も小さくなります。
〈参考〉国税庁
・「No.3302 マイホームを売ったときの特例」
・「No.3305 マイホームを売ったときの軽減税率の特例」
ふるさと納税の上限額が増えるのは売却した年の1年分だけ
ふるさと納税の上限額が増えるのは、不動産を売却して譲渡所得が出た年(売却した年)のみです。
不動産を売却した翌年の上限額は、給与や年金などの、いつもの所得で計算した金額に戻ります。
翌年も同じ額を寄附すると上限を超えた分は控除されないため、注意が必要です。
譲渡所得があるときのふるさと納税の上限額の計算方法とシミュレーション

譲渡所得がある場合のふるさと納税の上限額の計算手順とシミュレーションをご紹介します。
- 【計算方法の全体像】ふるさと納税の上限額は「住民税所得割額×20%÷割合+2,000円」で計算
- 【計算手順1】譲渡所得を「売却額−取得費−譲渡費用−特別控除」で求める
- 【計算手順2】譲渡所得の住民税は「長期5%」「短期9%」を所得割額に加える
- 【上限額の計算シミュレーション】年収500万円、譲渡所得1,000万円の場合
- 【番外編】給与収入がない(専業主婦など)場合や売却した不動産が共有名義の場合
【計算方法の全体像】ふるさと納税の上限額は「住民税所得割額×20%÷割合+2,000円」で計算
ふるさと納税は、「節税」ではなく「ご自身で選んだ自治体に寄附をして、税金の控除を受けられる制度」です。
寄附した金額のうち、2,000円を超える部分が、寄附した年の所得税と翌年度の住民税から差し引かれます(控除されます)。
つまり、実質2,000円の自己負担で、各地の返礼品を受け取れるのが最大のメリットです。
ふるさと納税で寄附した額は、確定申告で年間の税金を改めて正しく計算したうえで、その税額から控除できます。
ふるさと納税で寄附したお金は、以下の3つの枠組みから順番に差し引かれます。
- ①所得税からの控除(寄附した年の所得税が減る・還付される)
- ②住民税(基本分)からの控除(翌年の住民税が安くなる)
- ③住民税(特例分)からの控除(②に上乗せして翌年の住民税が安くなる)
自己負担2,000円のみで寄附できる「上限額」は、③の特例分が「住民税所得割額の20%」に達する金額と法律(地方税法)で定められています。
具体的な計算式は以下のとおりです。
計算式の分母「90% −(所得税率 × 1.021)」は、課税所得に応じた所得税率によって以下のように決まります。
| 給与などの課税所得金額(※1) | 所得税率 | 分母の割合 (90%−所得税率×1.021) |
|---|---|---|
| 195万円以下 | 5% | 84.895% |
| 195万円超 〜 330万円以下 | 10% | 79.790% |
| 330万円超 〜 695万円以下 | 20% | 69.580% |
| 695万円超 〜 900万円以下 | 23% | 66.517% |
| 900万円超 〜 1,800万円以下 | 33% | 56.307% |
| 1,800万円超 〜 4,000万円以下 | 40% | 49.160% |
| 4,000万円超 | 45% | 44.055% |
※2 給与などの所得がない・ごく少なく、「住民税の課税総所得金額−人的控除差調整額」が0円未満になる方は、長期譲渡所得の場合は74.685%(税率15%判定)、短期譲渡所得の場合は59.37%(税率30%判定)を分母として計算します。
※分母の割合が小さくなる(高所得で所得税率が高くなる)ほど、割り算の性質上、算出される寄附上限額は大きくなります。
〈参考〉総務省「ふるさと納税ポータルサイト 税金の控除について」
【計算手順1】譲渡所得を「売却額−取得費−譲渡費用−特別控除」で求める
まず、不動産の譲渡所得を「売却額 − 取得費 − 譲渡費用 − 特別控除」で求めます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 売却額 | ・不動産の売却金額 ・買主から受け取る固定資産税等の精算金も含む |
| 取得費 | ・不動産購入時の代金や購入時の仲介手数料など ・建物は減価償却費相当額を引いた金額 |
| 譲渡費用 | ・不動産売却のために直接かかった費用 ・仲介手数料、測量費、売買契約書の印紙代、取壊し費用など |
| 特別控除 | ・マイホーム売却の場合の「3,000万円特別控除」など |
「取得費」の売買契約書や領収書が見つからない場合は、売却額の5%を取得費として計算します(概算取得費)。
ただし、概算取得費は実際の取得費よりも少額になるのが一般的で、少額であるほど譲渡所得税が増えます。
不動産会社へ売却相談をする前に、取得費の証拠書類(購入時の売買契約書・領収書・通帳の記録など)をなるべく多く探しておきましょう。
【計算手順2】譲渡所得の住民税は「長期5%」「短期9%」を所得割額に加える
次に、譲渡所得にかかる住民税を求め、給与などにかかる住民税所得割額に加算します。
| 区分 | 所有期間 (売った年の1月1日時点) | 住民税・所得税の税率 |
|---|---|---|
| 長期譲渡所得 | 5年超 | ・住民税5%・所得税15% |
| 短期譲渡所得 | 5年以下 | ・住民税9%・所得税30% |
※所得税には、別に復興特別所得税(所得税額の2.1%)も加算されます。
〈参考〉国税庁「No.1440 譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき)」
【例:譲渡所得が1,000万円の場合の住民税】
以下を給与などにかかる所得割額に加算
- 長期譲渡所得:住民税は50万円(1,000万円×5%)
- 短期譲渡所得:住民税は90万円(1,000万円×9%)
【上限額の計算シミュレーション】年収500万円、譲渡所得1000万円の場合
「年収500万円・譲渡所得1000万円」の方の場合、ふるさと納税の上限額は以下のとおりです。
| ケース | ふるさと納税上限額の目安 | 譲渡所得による増加額 |
|---|---|---|
| 譲渡所得なし | 約5.7万円 | ー |
| 長期譲渡所得1,000万円 | 約18.6万円 | 約12.9万円 |
| 短期譲渡所得1,000万円 | 約28.7万円 | 約22.9万円 |
| 3,000万円特別控除で譲渡所得0円 | 約5.7万円 | 0円 |
※「2026年中に売却・寄附(2027年度の住民税で控除)」「給与収入500万円・独身」「社会保険料75万円」「ほかの所得控除なし」という条件でのシミュレーションで、ご家族構成やほかの控除内容によって上限額が変動します。
【番外編】給与収入がない(専業主婦など)場合や売却した不動産が共有名義の場合
給与や年金などの収入がない(または非常に少ない)場合でも、不動産を売却して利益(譲渡所得)が出た方は、その利益に対して税金がかかるため「ふるさと納税」を利用して実質2,000円で返礼品を受け取ることができるようになります。
給与収入が0円(所得控除は基礎控除のみ)の方が、不動産を売却して1,000万円の利益が出た場合のふるさと納税の上限額目安は以下のとおりです。
| ケース | 住民税所得割額 | 上限額の目安 |
|---|---|---|
| 長期譲渡所得1,000万円 | 47万8,500円 | 約13.0万円 |
| 短期譲渡所得1,000万円 | 86万1,300円 | 約29.2万円 |
このように、普段は収入がなくふるさと納税をするメリットがない方でも、不動産を売却した年だけは大きな上限額が発生します。
なお、ご夫婦などで家を共有名義にしていた場合は、売却して得た利益も名義ごとの「所有割合(持分)」で分けて譲渡所得を計算します。
例えば、ご夫婦(持分50%ずつ)が家を売って2,000万円の利益が出た場合、ご夫婦それぞれの利益は持ち分に応じて「夫1,000万円・妻1,000万円」となり、ご夫婦それぞれのふるさと納税の上限額が変動します。
宮城県・福島県・茨城県で、不動産売却にあたって疑問・不安をお持ちの方は、イエステーションへお問い合わせください。
不動産の売却に伴う売主さまのお困りごとに、ワンストップで対応しております。
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不動産の譲渡所得がある年のふるさと納税の注意点

次に、不動産の譲渡所得のような、大きな所得がある年のふるさと納税について、注意点をご紹介します。
- 寄附は売却した年の12月31日までに行う
- ワンストップ特例は使えず確定申告が必要になる
- 【参考】不動産売却時に知っておきたいその他のポイント
寄附は売却した年の12月31日までに行う
譲渡所得は、原則として※不動産を買主に引き渡した日の年の所得となります。
※「売買契約を結んだ日」の属する年で確定申告をすることも選べます。
〈参考〉国税庁「所得税基本通達36-12(山林所得又は譲渡所得の総収入金額の収入すべき時期)」
不動産の譲渡所得によって増加した上限額をフル活用するために、譲渡所得がある年の12月31日までにふるさと納税(支払い)を済ませましょう。
また、不動産の譲渡所得は売却額が決定しないと正確に計算できないため、売買契約の内容が確定する前にふるさと納税をする場合には、値下げなどによる上限額の変動に備えて、ふるさと納税の額を低めにとどめておくことをおすすめします。
ワンストップ特例は使えず確定申告が必要になる
「ワンストップ特例」は、確定申告をしない会社員などが、寄附先に申請書を出すだけで控除を受けられる制度です。
不動産の譲渡所得がある年は必ず確定申告をする必要があるため、「ワンストップ特例」を使えません。
ワンストップ特例は確定申告をすると無効になるため、ワンストップ特例を選んでふるさと納税をした場合でも、取り消しの手続きは不要です。
〈参考〉国税庁「No.1155 ふるさと納税(寄附金控除)」
【参考】不動産売却時に知っておきたいその他のポイント
不動産を売却して利益(譲渡所得)が出た年は、ふるさと納税だけでなく、以下の点にもご注意ください。
【翌年の「国民健康保険料」が高くなる場合がある】
国民健康保険に加入している方は、売却益によって前年の所得が増えるため、翌年の保険料(所得割)が上がる可能性があります。
また、「3,000万円特別控除」を使って譲渡所得が0円になった場合でも、軽減判定の条件からは外れて保険料が上がるケースがあるため、気になる方は事前にお住まいの自治体窓口へご確認ください。
【2027年以降はふるさと納税の控除上限(193万円)が新設される】
税制改正により、2027年1月1日以後のふるさと納税から、住民税の特例分の控除額に「193万円」の上限ができます。
特例分の控除額が193万円に達するのは住民税所得割額が965万円(193万円÷20%)を超える場合で、長期譲渡所得だけの場合は1億9,000万円ほど、短期譲渡所得だけの場合は1億800万円ほどを超える売却をした方が該当します。
該当する場合には、特例分の控除額が193万円に達する額を超えて寄附をすると、自己負担が2,000円を超え「返礼品を実質2,000円で受け取れる」というメリットがなくなるため、注意が必要です。(2026年中の寄附には影響ありません)
なお、ふるさと納税の正確な上限額を計算するためには、毎年6月頃に届く「住民税の決定通知書(所得割額)」と「不動産の売却見込み額」が必要です。
インターネット上で無料の簡易シミュレーターが多数提供されていますが、譲渡所得に対応していない場合があるため、譲渡所得入力に対応した詳細シミュレーターを使うか、売却益が大きい場合は税理士や税務署への相談をおすすめします。
不動産の譲渡所得とふるさと納税に関するよくある質問

最後に、イエステーションが、不動産を売却する売主さまから、ふるさと納税についてよくいただく質問・回答をご紹介します。
Q. 相続した不動産を売却した場合も上限額は増える?
A. 相続した不動産を売却して譲渡所得が出た場合も、ふるさと納税の上限額は増えます。
- 取得費と取得時期は、亡くなった方が不動産を購入したときのものを引き継ぎます。(長期・短期も亡くなった方の購入日で判定)
- 相続税を払った人が、相続開始の翌日から3年10か月以内に売却した場合は、相続税の税額の一部を取得費に加えられます。(譲渡所得が少なくなる分、上限額の増え方も小さくなります)
- 亡くなった方が1人で住んでいた家は、要件を満たせば「空き家の3,000万円特別控除」(2027年12月31日までの売却が対象)を使えます。
〈参考〉国税庁「No.3267 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」
こちらの記事で、相続した土地の売却にかかる税金や税金を抑えられる特例などを、ご確認いただけます。
〈関連ページ〉相続した土地の売却にかかる税金|税率は被相続人の取得日で判断&相続から3年以内の売却は特別控除・取得費加算も活用
Q. 譲渡所得がマイナスのとき、ふるさと納税の上限額はどうなる?
A. 譲渡所得がマイナス(譲渡損失)の場合、ふるさと納税の上限額は増えません。
マイホームの売却で出た損失は、要件を満たせば給与などの所得と差し引き(損益通算)できる特例があります(2027年12月31日までの売却が対象)。
この特例を使うと所得割額が下がり、ふるさと納税の上限額はいつもの年より下がるため、損失の額を確定させてから寄附額を決めましょう。
〈参考〉国税庁「No.3370 マイホームを買い換えた場合に譲渡損失が生じたとき」
Q. 住宅ローン控除とふるさと納税は併用できる?
A. 住宅ローン控除とふるさと納税は併用できます。
ただし、3,000万円特別控除を使うと、住み替え先で住宅ローン控除を受けられない場合があります。
- 新しい家に入居した年・その前年・前々年に3,000万円特別控除を使うと、新しい家の住宅ローン控除は受けられません。
- 入居した翌年から3年目までに、ほかの家を売って3,000万円特別控除を使う場合も同じです。
住み替えの場合は、どちらの控除が有利かを先に比べてから、申告方法と寄附額を決めましょう。
まとめ:売却した年は上限額を試算して年内に寄附しよう
譲渡所得がある年のふるさと納税の上限額の計算方法と注意点をご紹介してきました。
不動産の譲渡所得がある年は、その住民税の分だけ、ふるさと納税の上限額が増えます。
3,000万円特別控除などで譲渡所得が0円になる場合は、上限額は増えません。
まずは、売却価格の見込み額を把握することが、ふるさと納税の上限額試算の第一歩です。
今回ご紹介した内容を参考に、売却した年ならではの大きな上限額をシミュレーションしていただけると幸いです。
宮城県・福島県・茨城県で不動産の売却をお考えの方は、イエステーションへお気軽にご相談ください。
疑問や不安を解消しながら売却サポートをいたします。
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