マンション転売規制の現状と2027年度の見通しを解説する高層マンションの外観

首都圏のマンション価格が「居住実態の無い短期転売」により高騰し続け、国内の実需層がマンション購入から遠ざかっている現状を受け、国・自治体・業界(不動産業界など)がマンション転売規制の動きを活発化させています。

しかし、現在、マンションの短期転売のネックになるのは「5年以内の短期譲渡の高い税率」のみという状況で、マンション価格高騰が適正価格に落ち着く法整備はされていません。

今回は首都圏同様に一部地域のマンション価格が高騰し続けている宮城県や福島県・茨城県で年間900件以上の不動産取引をサポートしている『イエステーション』が、マンション転売規制の現状と今後の動向予測を、わかりやすくお伝えします。

※当記事には政府・業界の動向やメディア報道から読み取った予測を多く含めています。

マンション転売規制の現状|国・自治体・業界

短期売買や価格高騰の抑制策が議論される都心・湾岸エリアのマンション群

結論からお伝えすると、現時点でマンションの転売そのものを禁止する法律や条例は存在しません。

ただし2025年頃からマンション転売規制の動きが表面化し始め、国も2026年度に入ってから転売規制の方針を明言しているため、はじめに現時点の国・自治体・業界の動向をご紹介します。

国の取り組み|税制改正要望を提出した段階

国土交通省は2025年11月に初めて、不動産登記情報を使った「新築マンションの短期売買(購入後1年以内の売買)の実態調査」を公表しました。

東京都内・大阪市の、2大都市の短期売買割合が突出して高いことがわかります。

【新築マンションを取得後1年以内に売却した割合(2024年)】

エリア割合
東京都心6区12.1%
東京23区9.7%
東京都8.8%
大阪市6.1%
仙台市0.5%
茨城県0.4%

※都心6区=千代田・中央・港・新宿・文京・渋谷。福島県は調査対象外(三大都市圏と地方四市が対象)。東京23区では短期売買の8割超が法人による取引。

仙台市太白区長町エリアにも、価格自体は東京・大阪ほどではないものの、短期売買などの転売でマンション価格が高騰しているエリアが局所的にあります。

こちらの記事で、仙台市太白区長町エリアの不動産取引事情をご確認いただけます。

また、税制面では、令和9年度の税制改正要望に新築マンション価格高騰への対応に関する記述が含まれています。

ただし、マンション転売規制の具体策は未公表で、早期実現は見込み薄と想定できる状況ですので、のちほど「2027年度のマンション転売規制は見込み薄と予測する理由」で理由をご紹介します。

自治体の取り組み|千代田区が「引渡し後5年の転売禁止」を要請

千代田区など自治体による投機目的の短期転売禁止要請の対象となる新築マンション

マンションの短期転売が大きな問題になっているエリアは絞られるため、局所的ではありますが、転売規制によるマンション価格の最適化に向けて具体的に動き出している自治体もあります。

代表的な自治体は「東京都千代田区」で、2025年7月18日、大手デベロッパーが加盟する不動産協会に対して、次の2点を要請しました。

  • 再開発等事業(総合設計などの都市開発諸制度を使う事業・市街地再開発事業)で販売するマンションに、引渡しから原則5年間は転売できない特約を付けること
  • 同じ建物で、同一名義の人が複数戸を購入することを禁止すること

※対象は「これから許認可を受ける再開発等事業」の新築のみで、既存のマンションや中古の売買は対象外です。

東京都千代田区の要請に法的拘束力はありませんが、国や東京都に対しても、「短期転売の譲渡所得税引き上げ」などを求めたことが公表されています。

不動産業界の取り組み|2026年から「引渡しまでの売却活動禁止」が始動

2025年、不動産協会が以下3つを柱とするマンション転売対策を公表し、大手デベロッパー複数社が先行して導入を決めました。

  • 登録・購入戸数の上限制限:1物件あたりの購入戸数と、1回の販売期に申し込める戸数を制限
  • 契約・登記名義の厳格化:申込名義のまま契約・引渡し・登記を行う
  • 引渡しまでの売却活動禁止:契約から引渡しまでの間に仲介依頼などの売却活動をした時点で、契約解除・違約金(手付金没収など)の対象

※契約後の状況変化によって売却を余儀なくされるケースがあることについては、不動産協会も認めているため、上記のような規約があるマンションでも全戸に適用されるとは限りません。

2026年には、新聞でも「分譲事業を手がける57社中41社が上記導入の意向」であることが報道されており、各社は2026年から発売する新築マンションで順次取り入れています。

ただし、上記の取り組みにも法的拘束力はなく、対象エリア・対象物件・制限戸数は各社の判断に任されています。

また、マンション転売規制の法整備が簡単に進まない理由もあるため、次にご紹介します。

不動産投資家さまが新築マンション・築浅マンションの売買をする際には、契約書と重要事項説明書で「売却活動が禁止される期間」「違反した場合のペナルティ」を確認する必要があります。

宮城県・福島県・茨城県でマンションの売り時や不動産投資をご検討中の方は、イエステーションへお気軽にご相談ください。

マンション転売規制は2027年度に本格化するのか|転売規制は見込み薄、税率引き上げは可能性あり

新築マンションの供給と将来的な転売規制・税制改正が議論される建設現場

マンション転売規制が今後本格化するかどうかについては、2つの視点で国・自治体・業界の動きを見ていく必要があります。

  • 「転売そのものを法律で禁止する」というアプローチ:2027年度も見込み薄
  • 「5年以内の短期転売の税率を上げ、実質的な転売リスクを設ける」というアプローチ:2026年12月中旬にまとまる令和9年度税制改正大綱を待っている状態で、実現の可能性がある

2027年度の動向を予測してご紹介します。

2027年度のマンション転売規制は見込み薄と予測する理由

2027年度のマンション転売規制は見込み薄と予測する主な理由は、以下のとおりです。

理由内容
現行の法律憲法で財産権が保障されている(自分の財産を自由に処分できる)ため、国が特定の民間取引を一律に禁止するハードルが高い
実務上のハードル・マンション転売は引渡し後に行われるため、事業者が介入できる範囲外
・一律に転売規制をすると、所有者の生活に必要な通常の買い替えまで規制することになる
税制改正要望の記載内容の温度感2027年度の税制改正要望に具体的な記載がなく、「必要な検討を行い、所要の措置を講じる」という表現にとどまっている

「必要な検討を行い、所要の措置を講じる」という表現については、具体案の検討初期段階で使われることが多いため、政府内の議論が不十分・方針が定まっていないことを、2027年度の税制改正要望から読み取れます。

また、早々にマンション転売規制の新法作成や法改正の議論が進むとしても、成立までの期間は半年〜1年ほど、施行までの期間はさらに最低でも1年ほどのため、2027年度からマンション転売規制が本格的に実施される見込みは薄いと予測できます。

将来のマンション転売規制の内容を予測

ただし、政府がマンション転売規制を議論していることは確かですので、不動産投資家さまは、マンション転売規制の予測も踏まえて今後の投資計画を組み立てる必要がありますよね。

現時点で政府が発信している情報をまとめて、「将来のマンション転売規制の内容予測」としてご紹介します。

  • 転売が禁止されるのではなく、短期譲渡の税率が大幅に引き上げられ、「短期で売っても利益が残らない仕組み」
  • 所有期間1〜2年の超短期譲渡に関する規定が新設される
  • 外国人投資家の購入手続きを厳格化する
  • ペーパーカンパニーを使った取引の監視を強める など

短期譲渡の税率が大幅に引き上げられる場合でも、「居住実態のあるマイホームの売却」には所有期間に関係なく使える「3,000万円の特別控除(譲渡所得税額を大幅に抑えられる優遇制度)」があるため、実需層が大きな不利益を被らないかたちで法整備されることも考えられます。

3,000万円の特別控除について、申請方法や適用要件などを、こちらの記事でご確認いただけます。

今後、マンション転売規制に関する議論の焦点となるのは、転勤や離婚などで住み替えざるを得ない実需層を巻き込まず、「投機目的のマンション転売だけを狙い撃ちする線引き」です。

マンション転売規制でマンション価格は下落するのか

結論からお伝えすると、マンション転売規制の法整備が実現するとしても、マンション価格が急落したり、価格上昇前の2011年頃の水準まで短期間で戻ったりすることは、期待できません。

理由は以下のとおりです。

  • 規制の対象が都心の新築という「ごく一部」に限られるため、全国一律で転売規制をしても、価格への影響はほとんどないと考えられる
  • マンションは人件費・資材・エネルギー・運搬費などが上がった状態で建築されているため、新築価格が下がりにくく、中古価格にも影響する

実際のマンション価格推移を確認すると、以下の状況です。

  • 不動産価格指数(マンション・区分所有):2025年12月時点で225.1(2010年平均=100)。15年で2.25倍になっている
  • 新築マンション購入の平均所要資金:2011年から2021年まで緩やかに上昇、2022年度から上昇が加速し、2025年度は5,882万円(前年度+290万円)
  • 中古マンション購入の平均所要資金:2024年度の3,033万円から2025年度は3,602万円(+569万円)へ急上昇

マンション価格が下がりにくく、売買の循環も維持されている現状は、不動産投資家さまやご自宅を売却したい不動産オーナーさまにとっては、好機とも捉えられます。

宮城・福島・茨城でマンションの売却をお考えの方は、イエステーションへお気軽にご相談ください。

現状の国のマンション転売規制は「5年以内の短期譲渡の税率」のみ|短期譲渡所得の税金を簡単解説

マンション売却時の所有期間5年を境とした短期譲渡所得と長期譲渡所得の税率比較

現時点で国が実施しているマンション転売の抑制策は、購入から5年以内の「短期譲渡」に対する税率を高くする仕組みだけです。

違い短期譲渡長期譲渡
所有期間譲渡した年の1月1日時点で所有期間5年以下譲渡した年の1月1日時点で所有期間5年超
所得税30%15%
住民税9%5%
復興特別所得税0.63%0.315%
税率の合計39.63%20.315%

所有期間は「売った日」ではなく「売った年の1月1日」で判定します。

年をまたぐだけで税率が約半分になるので、売却時期を決める前に必ずご確認ください。

(例)2021年5月に購入したマンション

  • 2026年中に売却:1月1日時点で5年に満たないため短期譲渡
  • 2027年に売却:1月1日時点で5年超のため長期譲渡

譲渡所得税の計算方法は、以下のとおりです。

  • 売却価格−(取得費+譲渡費用)−特別控除=譲渡所得
  • 譲渡所得×税率=譲渡所得税額

(例)4,000万円で購入した不動産投資用のマンションを、仲介手数料など200万円をかけて5,000万円で売った場合

  • 短期譲渡の場合の税額(39.63%):約317万円
  • 長期譲渡の場合の税額(20.315%):約163万円

※ご自分が住んでいたマンション(居住用財産)を売る場合、所有期間の長短に関係なく譲渡所得から3,000万円を控除できる特例があるため、上記の例では譲渡所得税額が0円になります。

なお、新居に入居した年とその前2年・後3年の間にこの特別控除を使うと、住宅ローン減税を受けられないため、買い替えの方はご注意ください。

住宅ローン減税について、こちらの記事で適用条件・減税額の具体例などをご確認いただけます。

まとめ

マンション転売規制について、国・自治体・業界の現状の対策や動向、2027年度の見通しなどをご紹介してきました。

マンション転売規制については政府が議論を進めているものの、2027年度中に転売そのものを禁止する法整備が実現する見込みは薄い予測です。

「短期譲渡の税率を上げる」というかたちで「短期のマンション転売で利益を得られない仕組みづくり」が進んでいく可能性はありますが、マンション価格が急落することは期待できないため、ご自身がマンション売却・購入どちらの立場にいるかに応じて、今回の情報をご活用いただけると幸いです。

宮城・福島・茨城でマンションの売却や住み替えをお考えの方は、イエステーションへお気軽にご相談ください。

地域選任担当者が、豊富な売買実績や地域特有の不動産事情に応じて、スムーズな売却を実現するプランを提案いたします。