
2026年4月に区分所有法が大きく改正され、マンション管理組合の権限が広がりました。
この改正は、これまで「マンションを所有しているけど居住していない、管理組合の集会にも興味がなかった」といったスタンスだった方に影響が大きい改正です。
今回は年間900件以上の不動産成約実績を持つ不動産会社『イエステーション』が、区分所有法の2026年改正内容・所有者への影響を、わかりやすく解説します。
今後マンションを所有していくうえで、知らないと損をするリスクがわかるので、ぜひ最後までご覧ください。
宮城県・福島県・茨城県で「区分所有法改正後のマンション所有に不安があるので売却を検討したい」とご希望の方は、イエステーションへお問い合わせください。
目次
Toggle区分所有法をわかりやすく解説|目的・規定内容

区分所有法は、分譲マンションのように「一つの建物を複数人で所有する場合の基本ルール」を定めた法律です。
マンションは廊下・エレベーター・外壁などを共同で維持するため、区分所有法は、複数人が関わると複雑になる「利害関係」 「義務」の指標となります。
区分所有法の目的・対象
冒頭でお伝えしたとおり、マンション等の区分所有建物には利害関係人が複数いるため、区分所有法があることで以下が明確になり、各利害関係人が公平に建物・敷地を所有できます。
- 区分所有件を持つ権利
- 共同で建物を維持する権利
- 建て替えや再生をする権利
「区分所有法=居住用マンション」というイメージがありますが、以下のような区分所有建物も対象です。
- 店舗
- 事務所を含む区分所有ビル など
区分所有法で規定されている内容
区分所有法は、大きく以下の事項を定めています。
- 専有部分と共用部分の区別・管理方法
- 管理組合の設置と運営ルール
- 議決要件(多数決のルール)
- 建替えや再生に関するルール
- 規約の設定・変更
2026年の改正では、「建替えや再生に関するルール」が大きく変更されました。
区分所有法2026年改正を新旧比較表でわかりやすく解説|ポイントは管理組合の権限拡大

区分所有法の2026年改正の主な内容は、以下の5つです。
- 建替え・再生の用件緩和|賛成割合の引き下げ
- 決議の円滑可|出席者の多数決で決議が可能になる
- 所有者以外への管理委託|裁判所の決定で強制管理・処分が可能になる
- 標準管理規約の内容変更|海外居住者への対応など
それぞれ、新旧の内容を比較してご紹介します。
※詳細な規定や例外規定をすべてご紹介するのは難しいため、大多数の方に関わる主な内容をご紹介します。
建替え・再生の要件緩和|賛成割合の引き下げ
マンション等の所有者が建替え・再生決議に反対の場合、従来は決議時点で反対の意思を表明すれば、現状維持が可能でした。
しかし、2026年の法改正で建替え・再生決議の要件が緩和されたため、反対が少数だと建替え・再生が議決されることになります。
今後は建替え・再生決議に反対の場合、早い段階から議論に参加する必要があります。
【団地以外の区分所有建物】
| 「建替え決議」の種類 | 改正後 | 改正前 |
|---|---|---|
| 以下のいずれかに該当する建替え ・現行の耐震基準に不適合 ・火災に対する安全性不足 ・外壁等の剥離が周辺に危害を与える危険性がある ・給排水管等の腐食で衛生上の問題がある ・バリアフリー基準に不適合 | 所有者不明等※を除いて3/4で可決 | 規定なし |
| 上記に該当しない建替え | 所有者不明等を除いて4/5で可決 | 全区分所有者の4/5で可決 |
※「所有者不明等」とは、必要な調査を尽くしても氏名等や所在が不明な区分所有者のことです。
〈参考〉国土交通省ウェブサイト『マンション関係法令』など各種資料から抜粋
【団地】
| 「建替え決議」の種類 | 改正後 | 改正前 |
|---|---|---|
| 団地の一括建替えで、すべての棟が以下のいずれかに該当 ・現行の耐震基準に不適合 ・火災に対する安全性不足 ・外壁等の剥離が周辺に危害を与える危険性がある ・給排水管等の腐食で衛生上の問題がある ・バリアフリー基準に不適合 | 以下両方を満たすことで可決 ・いずれかの棟で1/3以下 ・団地全体で3/4 | 団地全体で4/5で可決 |
| 団地のうち1棟の建替えで、建替えをする棟が上記のいずれかに該当 | 以下両方を満たすことで可決 ・建替えをする棟で3/4 ・団地全体で2/3 | 以下両方を満たすことで可決 ・建替えをする棟で4/5 ・団地全体で3/4 |
〈参考〉国土交通省ウェブサイト『マンション関係法令』など各種資料から抜粋
再生決議についても上記と同要件で、「再生」の種類は以下のとおりです。(団地以外)
- 建物・敷地を売却
- 建物を解体したうえで敷地を売却
- 建物を解体
- 一棟リノベーション
決議の円滑可|出席者の多数決で決議が可能になる

従来は「全区分所有者」を分母にして多数決割合が定められていたため、「所有者不明」「無関心所有者」が多いマンション等は、「必要な議案も決議できない」という問題がありました。
しかし、2026年の法改正で決議出席者を分母にして決議ができるようになったため、集会での議案決議がスムーズになりました。
マンション等の所有者は、今後、集会に出席するか、「委任状提出」「議決権行使書※の提出」で決議内容に対する意思表示が必要になります。
※「議決権行使書」とは、決議内容に対して事前に賛成or反対の意思を表明する書類のことです。
| 決議の内容 | 改正後 | 改正前 |
|---|---|---|
| 普通決議 日常的な管理に関する内容 | 出席者※の1/2で可決 | 全区分所有者の1/2で可決 |
| 特別決議 大規模変更等 | 出席者の3/4で可決 | 全区分所有者の3/4で可決 |
| 共有部分に関して以下に該当する決議 ・居住者・近隣住民に安全・衛生などの危険が及ぶことを避けるための決議 ・バリアフリー化に必要な決議 | 出席者の2/3で可決 | 全区分所有者の3/4で可決 |
※出席者には「委任状提出者」「議決権行使書の提出者」が含まれます。
〈参考〉国土交通省ウェブサイト『マンション関係法令』など各種資料から抜粋
所有者以外への管理委託|裁判所の決定で強制管理・処分が可能になる
従来は専有部分で発生している問題に対応できるのは、所有者・所有者から委任された方のみでした。
しかし、2026年の法改正によって、所有者以外が専有部分の問題に対応できる制度が新設されました。
今後は、「所有しているが放置・連絡拒否」といったことを継続できなくなります。
| 制度 | 改正後 | 改正前 |
|---|---|---|
| 管理不全専有部分管理制度 ・ゴミ放置 ・配管腐食による水漏れなど | 管理組合などが裁判所へ申立 →裁判所が管理人を選任 →強制管理・処分(売却※)が可能 | 管理組合からの勧告・規約上のペナルティ程度 |
| 管理不全共用部分管理制度 ・バルコニー内の外壁が剝落 ・バルコニー内にゴミ放置など | 実質的に手が出せない | |
| 所有者不明専有部分管理制度 区分所有者が所在不明 |
※売却代金は、同様の問題が発生する場合に備えて、法務局の供託所に供託されます。
〈参考〉国土交通省ウェブサイト『マンション関係法令』など各種資料から抜粋
標準管理規約の内容変更|海外居住者への対応など
区分所有法の改正に合わせて、国土交通省が定める「マンション標準管理規約(管理規約のひな型)」も大幅に改訂されました。
主な変更点は、以下のとおりです。
| 変更点 | 概要 |
|---|---|
| 総会招集通知のルール厳格化 | 【招集通知の送付期限】 改正前:遅くとも5日前まで 改正後:遅くとも1週間前まで」議案の要領を全議案で書面送付することが新たに義務付けられています。 【議案の通知】 全議案で書面送付 |
| 海外居住者・外国人所有者への対応強化 | ・海外居住者に対する連絡先の届出義務 ・国内の代理人を定める規定の追加 |
| IT総会・電磁的方法の活用 | ・総会へのオンライン参加OK ・書面による議決権行使OK ・電子メール等での委任状提出OK |
| 「定足数」の定義変更 | 半数以上(50%)→過半数(50%超) |
〈参考〉国土交通省ウェブサイト『マンション関係法令』など各種資料から抜粋
「区分所有者相互の協力」が義務化
2026年の法改正で、「区分所有者は建物・敷地・付属施設を相互に協力して管理することが責務である」という条文が追加されました。
「相互の協力」の具体例は提示されていませんが、今後、管理規約で具体例が明文化されていくことを想定できます。
【「相互の協力」の想定例】
- 管理組合からの連絡への応答
- 管理費を滞納しない
- 総会資料に目を通す
- 必要な届出をする
- 漏水調査に協力する など
上記のような具体例が明文化されると、「相互協力の義務を果たさない所有者=無関心所有者」という判定がしやすくなる点も、念頭に置いておく必要があります。
宮城県・福島県・茨城県で、区分所有法の改正によってマンション所有に負担を感じ始めた方は、イエステーションへお問い合わせください。
ご希望条件に応じて、マンションのスムーズな売却をサポートいたします。
区分所有法2026年改正による5つの所有者リスク|特に不在・放置所有者は注意

ここまでご紹介してきた区分所有法の2026年改正内容から、マンション等の所有者への影響をまとめてご紹介します。
- 「居住してるけど管理に無関心」のリスクが高まる
- 「投資目的だから管理に無関心」のリスクが高まる
- 「所有してるだけで放置」のリスクが高まる
- 管理の機能不全が資産価値を下げる影響が強まる
「居住してるけど管理に無関心」のリスクが高まる
「居住しているし、ご近所付き合いもあるのでリスクはない」と考えている方もいらっしゃると思います。
問題なく居住していても、今後「総会資料を確認しない」「議決権を行使しない」といった場合には、「いつの間にかマンション規約が変更されていた」「建替えが議決されていた」などの可能性があります。
今後は管理組合からの連絡に、こまめに対応していくことをおすすめします。
こちらで、居住中のご自宅マンションを売る方法をご確認いただけます。
〈関連ページ〉中古マンション(居住中)が売れないなら内覧対応・不動産会社・価格を再検討|短期間で売る方法も紹介
「投資目的だから管理に無関心」のリスクが高まる
投資目的でマンション等を所有していて、「物件に足を運ぶ機会がない」「管理組合からの郵送物やメールを見ていない」という方もいらっしゃると思います。
2026年の法改正により、管理組合の動きに無関心の場合は、以下のリスクが高まります。
- 議決権を行使しない限り、決議に対する意見が反映されない
- 気づいたときには建替えや一棟リノベーションが決定している
- 建替え決議が成立した場合、金銭補償を前提として賃貸借等を終了できる(賃借人への金銭補償が必要)
賃貸借等については、従来は賃借人が同意しない限り、賃貸借等が終了しませんでした。
2026年の法改正後は「賃借人は補償金を受け取るまで明渡しの拒絶可」と変更されたため、所有者は管理組合・賃借人から金銭補償のプレッシャーを受けることになります。
管理組合からの連絡に応答しない場合には「管理人の専任」といった手続きも可能となったため、誠実に対応する以外は何らかのリスクが発生すると考えておく必要があります。
「所有してるだけで放置」のリスクが高まる

「マンションを相続したが遠方なので放置している」などのケースもあると思います。
この場合にも、「議決権を行使しない」「管理組合からの連絡に応答しない」などの対応をしていると、いつの間にか重要な決議がなされ、所有権を失う可能性もあります。
管理の機能不全が将来の資産価値を下げる影響が強まる
2026年の法改正で管理組合の権限が拡大されたことで、「管理組合が適切に機能しているマンション等」「管理に興味のない所有者が多く機能不全に陥るマンション等」の二極化が加速する可能性があります。
長期的にみるほど「定期的なメンテナンス」が建物に与える良い影響は大きいため、時間の経過によって二極化が目に見える状態であらわれ、管理が機能不全となったマンション等は資産価値が下がるリスクが高くなります。
投資用として所有しているマンション等であっても、管理に興味をもって積極的に参加することが、ご自身の資産を守ることにつながります。
区分所有法の2026年改正による所有者リスクを回避する方法
上記のような所有者リスクを回避するためには、「所有者としての責務を果たす」「手放す」どちらかの選択が必要です。
【所有者としての責務を果たす】
なるべく早く以下のような状況を整えましょう。
- 連絡が取れる:管理組合へ連絡先を通知していない場合には、通知
- 意思表示をする:管理組合からの連絡をすべて確認し、議決権行使などの必要な意思表示をする
- 専有部分を適切に管理する:長く放置している場合には、一度足を運んで現状を確認・整備する
【手放す】
特に現時点で専有部分の管理状態が悪いマンション等をお持ちの場合には、「裁判所による管理人の選定」「管理人による処分」などの段階に入る前に、売却をご検討ください。
不動産会社の協力で、現地に足を運ぶ手間を最小限にしてマンション等を売却することが可能です。
また、条件に問題があるマンション等であっても、「不動産会社の直接買い取り」で売却できる可能性があります。
こちらの記事で、不動産売却の方法をご確認いただけます。
〈関連ページ〉家を売るならどこがいい、仲介or買取どちらがいい、いつがいい|やってはいけないことも解説
宮城県・福島県・茨城県に管理しきれないマンション等をお持ちの方は、イエステーションへお問い合わせください。
現状を丁寧に伺い、売主さまに負担の少ない売却をサポートいたします。
まとめ
2026年4月に区分所有法について、2026年の改正内容・新旧の比較、所有者さまのリスクなどをご紹介してきました。
今後は、「マンション等を管理・維持する一員としての適正な所有」が、より強く求められます。
今回ご紹介した情報を参考に、マンション等の所有スタンス・売却の必要性などを、改めてご検討いただけると幸いです。




