売買IT重説4月から本格運用
it重説とは
国土交通省は、これまで行ってきたIT重説(ITを活用した重要事項説明)の社会実験を踏まえ、2019年から実用化されている賃貸取引に続き、売買取引についてもIT重説を本格運用する方針を示しました。IT重説(ITを活用した重要事項説明)とは、「宅地建物取引業法第35条に基づき宅地建物取引士が行う重要事項説明を、テレビ会議等のITを活用して行うこと」を指します。簡単に言うと、重要事項説明を必ずしも対面ではなく、テレビ電話や非対面でも可能としますよ!ということですね。
新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、業界内外で非対面ニーズが高まっていることや、昨年の菅内閣発足以降、急ピッチで行われているデジタル庁設置の動きを鑑みても、納得のニュースといえます。IT重説は今後ますます注目が集まると思われます。
同省は2019年10月から「個人を含む不動産売買取引におけるIT重説社会実験」と「賃貸取引における書面のデジタル交付社会実験」を実施しておりました。
売買取引社会実験は、2020年12月の時点では登録業者数が854社、実施件数(アンケート回収件数)が2,289件。当初は登録業者数が59社で、期間は同年10月までとしていましたが、新型コロナウイルス感染症の拡大を受けてニーズや注目度が上昇。登録事業者や実施件数も急増し、期間を延長した経緯があります。
国土交通省が挙げているIT重説のメリットは大きく4つ
・遠隔地の顧客の移動や費用等の負担軽減
・重説実施の日程調整の幅の拡大
・顧客がリラックスした環境下での重説実施
・来店困難な場合でも本人への説明が可能
国交省の報告によると、実証実験におけるトラブルは、宅建士、相手方ともに約9割が「なかった」と答え、トラブルが発生した場合でも、結果的に対処、解決がなされているとのことでした。
ただし、IT重説に要した時間が「30分未満」という回答が19.7%あったことや、「事前に内覧はしなかった」ケースが71.0%あったことなどに懸念を示す声も複数上がったようです。IT重説自体についての問題ではないものの、通常の重説や取引時と比べ、説明や検討を省略あるいは簡素化している様子がうかがえる、という判断のようです。
こうした結果と検証議論も踏まえ、同省は実験のサンプル数とトラブル発生状況については問題ないと判断し、今後も取引態様を注視しつつ、売買におけるIT重説も本格運用へと移行していく流れのようです。
新型コロナウイルス等の影響により、不動産業界は今後もさらに変化していくと思われます。
下落に転じた2021年の公示地価
下落に転じた2021年の公示地価
3月23日、国土交通省が2021年1月1日時点での公示地価を発表しました。住宅地、商業地などをあわせた全用途の全国平均は前年より0.5%下がり、6年ぶりに下落に転じる結果となりました。前年は1.4%の上昇でしたが、新型コロナウイルス感染拡大による来日客の激減や外出自粛の影響で、都市部を中心に大きく下落しました。
特に大きな落ち込みが目立ったのが、東京・大阪・名古屋の三大都市圏の商業地で、前年までは外国人観光客の増加や大規模な金融緩和による投資資金の流入で、都市部ではホテルや商業施設などの開発需要が高まっていましたが、新型コロナウイルスの影響で状況は一変。来日客の激減と外出自粛でホテルは不振に陥り、都心の繁華街では時短営業を余儀なくされた飲食店の撤退が相次ぎ、地価が下落する結果となったようです。
また地方圏も、大都市圏ほどではありませんが、全用途で0.3%下落し、4年ぶりの下落となりました。再開発などで高い上昇率を維持してきた札幌、仙台、広島、福岡の地方主要4市も平均2.9%上昇と、前年の7.4%上昇より上昇幅は縮小しました。
福島県の公示価格
福島県内に目を向けてみると、県内全用途の平均では0.2%下落し、こちらも8年ぶりに下落に転じました。県内の地価は東日本大震災、原発事故で落ち込んだ後、復興需要を背景に上昇が続いていましたが、新型コロナウイルスによる経済活動の停滞と一昨年の東日本台風(台風19号)の影響が浮き彫りとなったようです。
住宅地では東日本台風で浸水被害を受けた地域では需要の減退が続き、10.5%と県内最大の下落率となったいわき市平下平窪三丁目は全国でも2位の下落率でした。一方、住宅地の上昇率を市町村別で見ると、富岡町が2.4%上昇でトップ、浪江町は同1.2%上昇と続きました。富岡町では廃炉関連の事業所・宿舎用地の取引が活発化しているようです。
商業地では新型コロナウイルスによる営業自粛などで売上が落ち込んだ飲食、宿泊、観光の各業種で下落が顕著に見られました。特に夜型の飲食店が多く立ち並ぶ福島市や郡山市などでの下落率が大きかったようです。評価にあたった国土交通省地価公示県代表幹事の佐藤栄一県不動産鑑定士協会副会長は「台風被害については当面、プラスになる要素はなく、商業地については新型コロナの収束次第という面が強い」と指摘しております。
新型コロナウイルスの影響が長期化すれば、全国的な下落傾向は長引く可能性があり、
「コロナの感染拡大をいかに抑止できるか」が今後の地価動向の行方を左右すると思われます。
お家を売却するときの残置物はどうするべき?
お家を売却するときの残置物はどうするべき?
最近、売主様から多くいただくご質問の中で、以下のようなものがあります。
「家の中にいらない荷物がいっぱい残ってるんだけど、このままでも売れるの・・・?」
とくに、相続したご実家の売却相談を受ける際に非常に多く聞かれます。何十年もお住まいになっていたお家には、たくさんのお荷物(今後使用する予定のないもの)が残っているのは当然です。いざ売却をしようと考えたとき、その大量に残された荷物に頭を悩ませている売主様が多くいらっしゃいます。こういった建物内部に残されている動産を、一般的には「残置物」と呼ばれます。
では、残置物は放置したまま物件を販売できるのか、できないのか?撤去する場合はどのように処分すればよいのか?をご紹介したいと思います。
結論から言うと、残置物の処分については、その不動産を「誰が買うか」によって変わってきます。具体的には以下のケースです
不動産会社が売主様から直接「買取」する場合
不動産会社に買い取ってもらう場合は、売主様は残置物を処分しなくていいケースが多いです。(※買取条件の内容によっては、売主様ご自身で処分していただくケースもございます)不動産を現状のまま買い取って、売主様の代わりに不動産会社が処分をいたします。ただし、不動産会社が「買取価格」を見積もる際に、その処分費用は差し引いて買取価格を提示いたします。
・自分で処分する時間が無い
・手間をかけたくない
・遠方なので業者を手配するのが面倒
・今すぐ売却して手放したい
こういった方には、上記の「買取」で不動産会社に処分してもらうのがおすすめです。
「仲介」で売り出しをして、
一般の買主様を見つける場合
一般的には、残置物はすべて処分してお引き渡しをするのが基本です。買主様からすれば、例え売主様が綺麗に使用していた家具や家電であっても、喜ばれるとは限りませんし、ましてや置いていかれてしまうと、処分する費用や手間がかかるので、嫌がられるケースが多いです。「仲介」で売却する際には、基本的に「動かせる、取り外しできる家具や家電」はすべて処分する、ということを念頭に置いておきましょう。
処分する場合は、自分で処分するか、専門の業者に依頼する方法があります。
処分する場合のメリット・デメリット
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自分で処分する
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専門の業者に依頼する
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メリット
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処分費用が抑えられる
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時間、手間が省ける
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デメリット
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時間、手間がかかる
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処分費用がかかる
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また、処分する前に、古物商やリサイクル業者の方に、買取できるものが無いか見てもらう、というのもひとつの方法です。少しでも処分費用を抑え、現金化したいという方にはこういったやり方もおすすめです。ただし、仲介の場合だと、買主様のお引越し希望日などの兼ね合いも出てきますので、処分するにも時間的な制約が出てきますのでご注意ください。もちろん専門の業者に依頼する場合、不動産会社から取引業者を紹介してもらうことも出来ますので、その際には相談してみましょう。
・時間的な余裕がある
・労力や手間をかけても不動産は高く売りたい
・買い手がみつかるまで時間がかかってもよい
こういった方には、上記の「仲介」でご売却することをおすすめいたします。
今回は、お家を売却する際の残置物について、ご紹介いたしました。残置物の処分については、売却における準備のひとつに過ぎません。それ以外にも、分からないこと、不安なことがあれば、まずは不動産会社に相談してみましょう。
住宅ローンが払えなくなったら
どうなるの・・・!?
住宅ローンが払えなくなったらどうなるの・・・!?
収入減や、病気、定年退職等、様々な理由で住宅ローンが払えなくなってしまった・・・
そんなとき、自宅はどうなってしまうのか?
家が差し押さえられ、競売にかけられてしまう前にどのような行動をするべきか、説明していきます。
住宅ローンを滞納するとどうなるの?
住宅ローンを組む時は、そのお家と土地に対して「抵当権」が設定されます。これは、お金を貸した金融機関がその不動産を差し押さえられる権利です。
抵当権を設定するのは、万が一住宅ローンが払えなくなった場合に、金融機関が抵当権を行使して、不動産を売却し、その売却した代金で住宅ローンの残債を回収する為です。
住宅ローンを滞納しても、すぐに差し押さえられる訳ではありません。最初は、金融機関から数回の催促があり、それでも支払いがなされない場合は、最終的に競売にかけられることになります。
任意売却という方法
住宅ローンの滞納が始まってから、競売にかけられる前は、一般的には半年から1年ほどかかります。この間、ただ何もしなければいずれは競売にかけられてしまいますが、「任意売却」という方法で不動産の売却を進めることもできます。
対処は早い方がいいのですが、住宅ローンを滞納する前は売却できないことがあります。抵当権が設定された住宅を売却する為には、そもそも住宅ローンの完済が条件になるからです。
その点、任意売却は、売却しても住宅ローンを完済できない、という場合でも、金融機関の同意を得た上で、売却を進めることができます。
住宅ローン滞納後の一般的な流れ
①滞納1~3か月目 催告書、督促状が届く
滞納すると、金融機関から電話や通知書が届き、それでも返済がなされないと、催告書や督促状、来店依頼状が届くようになります。
催告書や督促状が届いても対応せずにいると、個人信用情報機関の金融自己記録に名前が記載されます。
いわゆる「ブラックリスト」ここに記載されると、クレジットカードやマイカーローンなどの審査が通らなくなってしまいます。事故記録が載る時期は金融機関により異なりますが、通常は3か月程度で登録されます。
- 滞納6~7か月目 期限の利益喪失(ローンの一括支払い請求)
この時点でも無視を続けていると、「期限の利益を喪失した」旨を示す通知が届きます。
「期限の利益」とは分割して支払う権利のことで、この権利を失うということは「住宅ローン残債の一括返済」を請求されるということを意味しています。
- 滞納7~9か月目 保証会社から代位弁済通知書が届く
期限の利益喪失後、保証会社から「代位弁済通知書」が届きます。代位弁済とは、滞納者に代わって保証会社が金融機関に住宅ローンの残債を一括返済することです。代位弁済通知書が届いた後は、金融機関ではなく保証会社に残債を返済しなければなりません。
代位弁済した保証会社は、残債を回数するため、裁判所に競売の申し立てを行います。競売開始決定が出ると、債務者に「担保不動産競売開始決定通知」が送られてきます。
競売にかけられた不動産に対して裁判所による現況調査が実施され、競売入札が開始されます。入札の結果、売却者が決定すると、所有者は落札者に移り、強制的に立ち退きを要求されます。
多少前後することはありますが、競売になるまでの一般的な流れはこのような期間で進んでいきます。
競売を避けるためには、「任意売却」という方法で不動産を売却する方法があります。
任意売却とは・・・?
任意売却は、住宅ローン滞納が始まってから競売までの間に選択できる売却方法です。競売は市場価格よりも安く売却されることが多く、競売後に住宅ローンが完済できる見込みはほとんどありません。
その点、任意売却は通常の売却と同程度の価格で売却できる可能性があります。家を失うことに変わりはありませんが、売却価格が少しでも高い方が、残債を圧縮することができます。
任意売却できるタイミングは、住宅ローンを滞納してから競売入札が開始されるまでです。
裁判所から競売入札開始の通知が送られてきてしまうと、任意売却を選択することはできません。また単に、競売入札が開始されるまでに任意売却を進めていればいいわけではなく、この時までに売却を完了させておく必要があります。
住宅を売却するためには、査定や見学希望者の案内、売買契約、買主のローン審査といった一連の流れがあります。このすべてを、競売入札開始までの間に終わらせなければいけません。
住宅ローン返済の目処が立たなくなったら、できるだけ早い段階で任意売却に向けて動き出す方が良いでしょう。
任意売却のメリット
①任意売却は競売より高く売却できる可能性がある
先述の通り、競売入札開始の前までに売却を完了しなければならないという期限があるものの、具体的に通常の不動産売却と同じ方法で売却を進めることができます。
住宅を高く売却できれば、売却後のローン残債を減らすことができ、その後の返済計画が楽になります。
②近所に住宅ローンの滞納を知られずに済む
競売にかけられると物件の情報が誰でも閲覧できる状態で公開されるため、近隣住民や知人に知られる可能性があります。
一方、任意売却であれば周囲に事情を知られずに売却することが出来ます。
③金融機関と売却後の返済プランを交渉できる
売却後に残った住宅ローンの返済方法を、債権者である金融機関と話し合って決めることができます。返済が免除されることはありませんが、経済状況に合わせて月々の返済額を考慮してもらいやすくなります。
また任意売却であれば、金融機関との交渉次第で、売却代金から引っ越し費用を融通してもらえる可能性があるほか、引っ越し日を金融機関や買主と話し合って決めることができます。
競売では、引っ越し費用は自分で用意する必要があるうえ、引っ越し日も決められている為、問答無用で退去しなければなりません。
任意売却は以下の流れになります。
①催告書や督促状が届く
住宅ローンを滞納すると、債権者である金融機関から電話が来たり、催告書や督促状が届きます。
↓
②金融機関や任意売却の専門家に相談する
不動産の売却が完了するまでは時間がかかります。そのため催告書や督促状が届いたら、出来るだけ早い段階で任意売却の意向を金融機関と任意売却の専門家に相談しましょう。
↓
③不動産の価格査定
任売却を進める方向で決まったら、通常の不動産売却と同様に不動産会社による価格査定が行われます。ただし、任意売却には期限があるため、売却が間に合わないということがないよう、適切な価格査定が必須です。
↓
④金融機関との交渉
価格査定後、提案内容に納得できたら任意売却を任せる不動産会社と媒介契約(不動産会社に売却を依頼するための契約)を締結。その後は、不動産会社が金融機関と交渉を行います。
↓
⑤売却活動
金融機関との交渉後、通常の不動産売却と同じ流れで売却活動が行われます。
↓
⑥引っ越し~売買代金の清算
広告や案内などの売却活動を行い、買主が見つかったら売買契約を締結し、買主のローン審査承認が得られたら、売買残代金の支払い~引き渡しとなります。
売買残代金支払い日が決定したら、その日までに引っ越しを済ませます。この時、金融機関との交渉次第では、最大30万円まで引っ越し費用を融通してもらうことが出来ます。
金融機関にリスケジュールを相談する
住宅ローンの返済が苦しくなってきたら、まずは早期に金融機関に相談をしてください。
金融機関によっては、住宅ローンの返済期間を延ばして月々の返済額を抑えたり、一定期間だけ金利のみの返済にしたりと、リスケジュールに応じてもらえる場合があります。現実的に可能な返済計画に出来れば、競売や任意売却をしなくても済む可能性があります。
以上、住宅ローンを滞納してしまったらどうなるのか、競売や任意売却の流れなどをご説明しました。
住宅ローンは何十年にもわたる長丁場となります。その間には、さまざまな原因で経済状況が悪化することもあり、決して他人事ではありません。
せっかく手に入れたマイホームを追い出され、債務だけが残ってしまう、ということのないよう、返済が苦しくなったら、まずは金融機関や不動産会社に相談し、最善の策が取れるように対処していきましょう。
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住みながらお家を売却、
内覧時のポイント!
住みながらお家を売却・・・内覧時のポイント!
売却理由は様々ありますが、住みながらお家を売りにだしているケースも珍しくはありません。
この場合、一般的な流れとしては、買主様が見つかったら売買契約を締結します。売買契約が終わり、買主様のローン承認が出たら、売主様は引き渡しの準備に入ります(転居先への引っ越し準備、借入している金融機関へ抵当権抹消の手続き依頼、室内清掃手配等)。買主様へ引き渡す準備が整ったら、最後の残金決済、所有権移転手続きをしてお取引完了、となります。
では、住みながらお家を売却する場合、買主様から内覧の希望があった際、売主様としてどんなポイントに注意すればいいのかをご説明していきたいと思います。
家の中は出来る限り、整理整頓しておく
内覧時に一番大切なのが、お家に入った瞬間の買主様の「第一印象」です。経年劣化による傷や、通常の生活で付くお家の汚れなどはもちろんあって当然です。しかし、不要なゴミが散らかっていたり、食べた後の食器がそのまま台所に放置されていたり、脱いだ洋服が床に転がっていたら・・・買主様の「第一印象」はどうなるでしょうか?
また買主様の心理として、「清潔感がないなぁ」と感じると、「値引き交渉」の原因にもつながりやすいと言われております。内覧前は、出来る限り「整理整頓」しておくようにしましょう。
電気はすべて点けて、
室内をなるべく明るくしておく
第一印象が大切というお話をしましたが、室内に入ったときに、暗い室内よりは、明るい室内の方が、第一印象も当然よくなります。「たったそれだけ」と思うかもしれませんが、電気をつけずに真っ暗な状態でご案内するよりも、家の中の電気をすべて点けて、明るい室内でご案内する方が、成約する確率も高くなります。簡単にできることなので、ぜひこちらもご協力いただきたいポイントです。
買主様が来る前に窓を開けて換気をしておく
室内にこもった生活臭は、意外と自分では気づきにくいものです。ただし、買主様がお家の中に入った瞬間に気になるポイントのひとつが「におい」です。買主様が来る前に、窓をすべて開けて換気をしておくだけで、お家に入った瞬間の第一印象が格段に変わります。忘れずに行っていただきたいポイントです。
できるだけすべてのお部屋を内覧
できるようにしておく
生活している状態を見てもらうので、売主様としては、見せたくないお部屋もあると思います。しかし、買主様は、見ることが出来ないお部屋があると、「何か傷や不具合があるんじゃないか・・・」「あのお部屋の状態が気になるなぁ」等とモヤモヤしてしまい、このモヤモヤがすっきり解決されないと購入に踏み切ることが出来ません。個人情報などはもちろん目に触れないように一箇所にまとめておく等の工夫をしつつ、お部屋の中はなるべく買主様に見ていただける状態にしておきましょう。
内覧時は外出、または席を外していただく
愛着のあるお家のご案内となると、内覧に来た買主様がどんな方なのかとても気になるところですよね。ただし、買主様も居住中のお家を見せていただくので、とても緊張しながら来ております。売主様から色々と質問されたり、ずっと見られている状態だと、気を遣ってしまい、納得いくまで内覧出来ない場合があります。前述したように、「気になる箇所」や「モヤモヤ」が解決されないと、買主様は購入に踏み切ることが出来ません。せっかく内覧に来ていただくならば、出来る限り、買主様が納得いくまでじっくり見ていただけるようにすることが、ご成約への近道となります。したがって、内覧中だけ入れ替わりで売主様に外出または席を外していただくケースが非常に多いです。
もちろん売主様のご事情によってはそういった対応が出来ないケースもあると思いますので、お住まいになりながら売却する際には、内覧時にどのように対応するか、不動産会社の担当者と事前に打ち合わせをしておくことをおすすめいたします。
以上、お住まいになりながらお家を内覧していただく際のポイントをいくつかお伝えいたしました。「住みながらの売却」は、買主様と内覧の予定を合わせたり、生活している状態を見られてしまうので、売主様もとても不安で、気を遣うことと思います。しかし、売主様と同じように、買主様も、住んでいる状態での内覧はとても緊張し、気を遣いながら見に来ているということをぜひ覚えておいていただきたいと思います。
2022年、住宅火災保険料が値上げへ
2022年、住宅火災保険料が値上げへ
近年、自然災害が相次ぎ、保険金の支払いが膨らんでいる為、住宅向けの火災保険料が来年度にも再び値上げされる見通しとなりました。損害保険各社が、保険料を決める目安となる「参考純率」が、1割ほど引き上げられる見込みのようです。
業界団体の損害保険料率算出機構が会合を開き、新たな参考純率を決め、金融庁の審査後に正式発表するようです。同機構は、保険金支払い実績などを踏まえ、参考純率が適正かどうかを毎年検証しています。直近では、2019年10月に、全国平均で4.9%引き上げており、この改定を受けて、大手損保会社は今年1月に火災保険料を6~8%値上げしたばかりでした。
また今は最長10年の火災保険の契約期間を最長5年に縮めることも決める見通しとのこと。短縮して、保険料の値上がり分を反映しやすくするようです。大手損保会社は、以前は住宅ローンの返済期間に合わせて36年としていた火災保険最長契約期間を、2015年には10年に縮めていました。
豪雨や台風など自然災害の頻発により、2018~2019年度の損保各社の保険金支払額(車両保険など含む)は2年連続で1兆円を超えたそうです。
大手損保会社の幹部によると、「参考純率の値上げ幅が、そのまま各社の火災保険の値上げ幅にはならない」としつつも、「値上げ自体は不可避」としています。損保各社は2022年度にも火災保険料値上げや、期間短縮に踏み切る見込みのようです。
マイホームを所有している方なら、火災保険は一生付き合っていかなければいけないもの。今後の、火災保険料の動向にもぜひ注目していきましょう。
亡くなった親の家を売る前に
しておくべきこととは!?
亡くなった親の家を売る前に
しておくべきこととは!?
「自分は既に自宅を所有している」、「田舎の家だし…今後使う予定も無い」などの理由で、亡くなった親の家を売りたい、という方は多いと思います。
そこで、亡くなった親の家を売る前にしておくべきこと6つを紹介します。
- 相続税の確認
- 相続登記
- 債務の確認、担保の抹消
- 親が取得した時の売買契約書の有無の確認
- 境界の確認
- 荷物を片付ける
1.相続税の確認
相続開始すると相続税がかかります。
場合によっては、家を売却して、売却代金を相続税の支払いに充てる必要があるかもしれません。そこでまず、相続税を支払う必要があるかどうかを確認しましょう。
①基礎控除
相続税は基礎控除額以上の相続財産がある場合に課税されます。
相続についての基礎控除は3,000万円+相続人1人当り600万円になります。
例えば父が死亡、相続人は母と子供2人の場合は3,000万円+600×3=4,800万円が基礎控除額となります。
”詳しくは↓(国税庁)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4152.htm”
②配偶者の税額の軽減
単純に基礎控除額を超えるから「相続税がかかってしまうのか。」とあきらめず、配偶者(例の場合の母)が多く相続することで非課税部分を増やすこともできます。
”配偶者の税額控除
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4158.htm”
2.相続登記
亡くなった親の名義のままでは、売却することができません。相続人の名義に変更してから売却することになります。
3.債務の確認、担保の抹消
亡くなった親の名前で住宅ローンの抵当権が設定されたままになっていませんか?
最近では団体信用生命保険がセットになっているので、亡くなられた場合その保険で住宅ローンが返済されることが多いです。しかし、返済が終わっても登記をしなければ抵当権は残ったままなので、売却することはできません。
金融機関から抵当権抹消に必要な書類を受け取り、抹消登記を行いましょう。
また、団体信用生命保険に入っていない住宅ローンやその他の抵当権が設定されている場合は、返済をしなければ抹消登記ができないので、借入金を返済して売却までに抵当権を抹消する必要があります。
4.親が取得した時の売買契約書の有無の確認
売却すると、売却によって得た利益に譲渡所得税が課税されます。売却利益は売却代金から必要経費を差し引いた額です。親が買った時の値段は経費になりますので、とても大事な経費の証拠書類です。必要経費の証明ができなければ5%しか経費としてみてもらえないので、譲渡所得は高額になってしまいます。
”取得費
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tebiki2017/kisairei/joto/pdf/001.pdfのP33”
“参考コラム
https://www.address-web.co.jp/jyunbi/column/14377/“
。
5.境界の確認
土地の境界は上下に及び、隣の家の庇(ひさし)がこちらの土地まで越境していたり、逆の場合もあります。『境界確認書』『確定測量図』といった境界のポイントが図示された図面が残っていないか探してください。
なければ売却時に測量をし、境界をきちんと明示してから引渡しすることが多いですが、15万~30万程かかります。できるだけ探しておきましょう。
6.荷物を片付ける
売却する時には、仲介業者が査定のために現地を訪れたり、買主が現地を確認に来たりします。荷物がないほうが印象が良いので、より有利に査定される可能性が高くなります。
また、荷物をかたづけることによって雨漏り等が見つかれば、事前に修理をしたり、売るときに買主へ告知ができます。予め家の不都合を把握することにより、修理をして価値を高めることもできますし、引渡し後に買主から「こんな不具合があるなんて聞いていなかった」という契約不適合責任(民法562条ほか)によるトラブルも避けることが出来ます。
参照コラム
https://www.address-web.co.jp/jyunbi/column/14267/
空家を相続放棄しても
「管理義務」が残るって本当!?
空家を相続放棄しても
「管理義務」が残るって本当!?
親が亡くなって、空家になった実家が残ったけれど、「管理しきれないので相続放棄しよう!」とお考えの方、ちょっとお待ちください!
相続放棄したからと言って、管理問題がすべて解決できるとは限りません。相続放棄しても、空家の「管理義務」が残り、その後の手間と費用がかかるケースがあります。
相続放棄した場合のメリット、デメリットをしっかり把握したうえで、相続するか、放棄するかを選択するようにしましょう。
相続放棄とは?
相続放棄とは、すべての遺産について相続する権利を放棄することです。相続放棄をすると、被相続人(亡くなったかた)の財産(プラスの資産)だけでなく、借金や負債(マイナスの資産)もすべて放棄し、「はじめから相続人ではなかった」ことになります。
「使わない空家だけを相続放棄したい」ということは出来ません。一般的には、プラスの資産とマイナスの資産を相続した場合の維持管理費や固定資産税の負担を天秤にかけて比較し、マイナスが大きくなりそうな時は相続放棄する、というケースが多いでしょう。
相続放棄するためには「相続があったことを知ってから」3ヶ月以内に、家庭裁判所で「相続放棄の申述」という手続きを行う必要があります。「相続があった」というのは、通常は相続開始を意味するので、親が死亡したと分かったら基本的に3ヶ月以内に家庭裁判所で「相続放棄の申述」をします。
空家を相続放棄するメリット・デメリットは?
相続放棄するメリットは、所有権を放棄するので、固定資産税の支払いを免れるという点です。誰も住んでいない空家であっても、毎年所有者は固定資産税の支払い義務が発生します。
一方、相続放棄するデメリットは、空家だけでなく、それ以外のすべての財産を放棄しなければいけないという点です。あとから空家の価値が上がったり、それ以外の財産があったことが判明しても、その財産を相続する権利は一切無くなります。
相続放棄したあとの管理義務は?
ただし、所有権が無くなったからといって、空家の管理もしなくていい!というわけではありません。確かに、固定資産税の支払いは無くなりますが、管理義務が残るケースがあるのです。
相続人が自分しかいないのに相続放棄した場合、または自分以外の相続人も全員が相続放棄した場合などは、所有権が無くても空家の管理義務が残ってしまいます。相続人が全員相続放棄することにより、空家が放置されてしまったら、倒壊などで近隣住民に迷惑がかかる恐れがあります。そこで、民法では以下のように定めております。
「相続の放棄をした者は、その放棄によって相続人となった者が相続財産の管理を始めることができるまで、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産の管理を継続しなければならない。」(民法第940条第1項)
空家を適切に管理していないことで万が一近隣住民に被害を与えてしまった場合、管理している人に対して損害賠償請求されてしまう可能性もあります。
空家の管理義務は、「相続財産管理人」を選任して引き渡し、最終的に国へ帰属するまで必要です。もちろん、相続財産管理人の選任や依頼にも費用がかかります。
相続放棄の前に「売却」という検討も!
自分が相続放棄をしても、ほかに空家を相続する人がいるなら、空家の管理義務は相続人に帰属しますので、自己に責任が問われることは無くなります。ただし、「相続人が自分しかいない」「相続人全員が相続放棄するつもり…」といった場合は、要注意です。このような場合は、相続放棄ではなく「売却」も視野に入れてみましょう。空家は時間が経つほど老朽化が進み、管理が大変になります。長く空家にすることで、近隣住民から苦情が来たり、犯罪に悪用されたりする可能性も出てきます。不動産会社では、相続に関するご相談も非常に多くいただいております。売却を検討する場合は、老朽化で建物の価値が目減りする前に、早めにご相談されることをおすすめいたします。
亡くなった親の家を売却したい、
まず必要な手続きは?
亡くなった親の家を売却したい、
まず必要な手続きは?
亡くなった親が所有していた家を売るには、『相続』をしなければ売ることができません。
相続をするには次の5つの方法があります。
1.相続をする5つの方法
➀法定相続
➁遺言
➂遺産分割
④調停
⑤裁判(審判)
では、一つずつ説明していきます。
①法定相続
法定相続とは民法で定められた法定相続人(民法886条以下)が定められた通りの割合(民法900条)で相続することです。
.
『法定相続分』は次のようになります。
|
配偶者(常に相続人)
|
直系卑属(第一順位)
子供や孫
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直系尊属(第2順位)
親や祖父
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兄弟姉妹(第3順位)
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1/1
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なし
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なし
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なし
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1/2
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1/2
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あり
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あり
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2/3
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なし
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1/3
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あり
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3/4
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なし
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なし
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配偶者(妻または夫)は常に相続人になります。
先順位の相続人がいれば次順位の相続人(候補)は相続人になれません。
同じ順位の相続人がいれば均等に相続します。
また、被相続人(亡くなった人)が死亡した時に子供がすでに亡くなっている場合、その子(孫やひ孫)がいれば亡くなった子供に代って相続人になります(代襲相続)。
直系尊属(親)も同じように代襲相続がありますが、兄弟姉妹についてはその子供で終わります。
②遺言
被相続人の意思によって、法定相続分以外の割合で相続させることができます。
ただし、相続人には『遺留分』という権利があり、法定相続分の半分までは確保する権利があります。これを侵す遺言も有効ですが、遺留分を侵された相続人は取り戻す請求をすることができます。
遺言をする方法では『自筆証書遺言』または『公正証書遺言』が一般的です。
③遺産分割
相続人の間で法定相続分以外の割合で相続する方法です。相続人の間で話し合いにより決めます。
例えば自宅は長男が相続し、預貯金は二男が相続するような場合です。遺産分割は一度きりで分割のやり直し(再分割)は贈与になるので注意が必要です。
相続税法基本通達19の2-8
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/sisan/sozoku2/02/06.htm#a-19_2_8
なお、遺言書の内容と異なる遺産分割をした場合でも贈与税は課されません。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4176.htm
売却する場合にも遺産分割は大事なので、項を改めて説明します。
④調停
相続人の間で遺産分割協議がまとまらない場合は『調停』を行なうことになります。
⑤裁判(審判)
調停を行ってもまとまらない場合には審判手続きに自動的に移行します。
https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_07_12/index.html
売却のための遺産分割
①売買代金の取り分の割合の共有割合で相続する
不動産を売却して、名義人と異なる人が売却代金を受け取れば贈与になります。
このため遺産分割協議を行なう場合には、売却代金を受け取る人の名義に相続登記を行なう必要があります。
ただし、名義人が多数になれば書類の準備、連絡、売買代金のやりとりの日程の調整など、手続きが非常に煩雑になる可能性があります。その煩雑さを避けるための便宜的な方法が次の『換価分割』です。
②換価分割
売却手続きを簡単にするために仮に1人の名義にしておいて、売却代金を分配する便宜的な方法です。
以下の国税庁の質疑応答は『調停』に関するものですが、相続人間の遺産分割協議でも可能だとされています。ただし、予期しない贈与税を課されないために分割協議書には分配する額(または割合)をきちんと記載しておく必要があるので注意が必要です。また税理士等の専門家に相談しておくと安心です。
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/sozoku/13/01.htm
亡くなった親の家を売ったら税金がかかる?
1.譲渡所得の計算
不動産を売却した時は利益について不動産譲渡所得税を納める必要があります。
譲渡所得は
売却代金+(固定資産税と都市計画税の清算金)-取得費(購入代金+費用)-特別控除額
で計算します。
- 売却代金はそのまま今回の売買金額です。
- 固定資産税や都市計画税は納税義務者の変更年度中は行われないので売買代金支払い時に日割計算して清算します。その清算金も譲渡所得になります。
- 取得費は購入した時の売買代金や建物の建築代金です。
建物の場合は購入代金そのままではなく『減価償却』をした金額が取得費になります。
- 費用は取得したときや売却するために支払った費用です。
登記費用や仲介手数料、測量費用などで、売買契約書に貼る収入印紙も費用になります。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3202.htm
亡くなった親の家を売った場合の特例を2つ紹介します。
①親の購入時の売買代金が取得費
亡くなった親の家を売った時の取得費は親が購入した時の売買代金です。取得費とするためには親が購入した時の売買契約書が必要です。また購入した時に支払った登記費用や仲介手数料なども費用になります。
費用として加算するためには領収書が必要になるので同時に探しましょう。この購入代金等が証明できなければ取得費は売却代金の5%しかみてもらえません。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tebiki2017/kisairei/joto/pdf/001.pdfのP33
②相続税も取得費になる
相続によって取得した不動産を売却した時は相続税を取得費として加算できます。
期限や加算できる相続税額など詳細は下記の国税局HPを参照してください。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3267.htm
2.譲渡所得税の計算
譲渡所得を計算する時に注意したいこと5つ説明します。
- 親の所有期間も通算される
- 短期譲渡と長期譲渡について
- 相続空き家の3,000万円特別控除
- 税務署への申告が必要
- 今年の所得は翌年の保険料などにも影響する
①親の所有期間も通算される
亡くなった親の家を売るときは、親が取得した時から売却までの期間を通算できます。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tebiki2017/kisairei/joto/pdf/001.pdfのP34
②短期譲渡と長期譲渡について
所有期間が5年を超えるものを『長期譲渡』といい、5年以下のものを『短期譲渡』といいます。売却した日が基準ではなくて売却した年の1月1日が基準になります。
長期譲渡の税額は
15%+住民税5%+15%×2.1%(平成25年~令和19年まで復興特別所得税)
短期譲渡は
30%+住民税9%+30%×2.1%(平成25年~令和19年まで復興特別所得税)で計算します。
③相続空き家の3,000万円特別控除
亡くなった親が住んでいた空き家を令和5年12月31日までに売った時は3,000万円の特別控除を受けることができます。
- 昭和56年5月31日以前の建築
- 区分建物(二世帯住宅やマンション等)ではない
などの条件があります。
詳細は以下の国税局HPで確認をしてください。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3306.htm
④税務署への申告が必要
税金の控除を受けるためには税務署に申告をする必要があります。申告をしなければ控除を受けることができません。必ず申告をしましょう。
⑤今年の所得は翌年の保険料などにも影響する
亡くなった親の家を売った利益は、売った人のその年の所得に加算されます。そのため、前年の所得によって計算する国民健康保険料などに影響があり、翌年1年分は通常よりも多く納めることになります。不動産譲渡所得税だけでなく、健康保険料などを翌年いくら収めることになるのか、という点にも注意しましょう。
親が認知症に…親の不動産は売却できるの?
親が認知症に…親の不動産は売却できるの
親が認知症と診断された後、その親の不動産は売却できるのでしょうか。認知症には程度があるので、本人に充分な判断能力があれば親は売却することができ、子供に売却を委任することも可能です。しかし、判断能力が十分でなければ売却することはできません。整理するために、まず民法が定める行為能力の制限からみてみましょう。
行為能力の制限
民法では成人すれば当然に『行為能力』があり『意思能力』があるとされています。しかし、人は病気や年齢等によって充分な判断力をもてなくなることがあります。こういった人たちを保護し、また、取引に関わる相手方を保護するために行為能力を制限する必要があります。
①3段階の制限行為能力者制度
認知症になった人の判断能力に注目してその程度により3段階で行為能力に制限を設けています。(民法7条以下)
- 被補助人:「精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分な者」
- 被保佐人:「精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分な者」
- 成年被後見人:「精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者」
被補助人と被保佐人は原則として本人自身が行為をし、補助人や保佐人がその行為を支援します。
被後見人は基本的に本人自身が行為をすることはできず、後見人が代理して行為を行ないます。
②制限行為能力者の認定
行為能力を制限するには家庭裁判所の審判が必要です。面談や医師の診断書等をもとにして一定の者からの申立てにより家庭裁判所が審理します。
③公示
行為能力を制限されれば登記されます。『登記事項の証明』を請求できるのは本人、その配偶者及び四親等内の親族、後見人等一定の者に限られます。
『登記事項の証明書』または『登記されていないことの証明書』は各法務局・地方法務局で取得できます。
後見人の選任手続き
①後見開始の申立
(1)申立人
配偶者、4親等内の親族、補助人などから本人の住所を管轄する家庭裁判所に申立てます。
(2)申立に必要なおもな書類
- 診断書
- 本人の財産や収支がわかる資料
- 本人の家族関係がわかる資料
https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_06_01/index.html
②後見開始までの期間
申立から後見人が選任されるまでおおよそ2か月間必要で、さらに登記完了まで2か月程度必要です。
③後見人になる人
弁護士、司法書士、社会福祉士等が選任されます。最近は家族を後見人に選ぶことが少ない傾向です。後見人には報酬を支払う必要があり、裁判所が報酬額を決定します。業務により差があるものの1ヶ月3万円程度になります。
④後見人の権限
後見人が本人の財産全ての管理権を有することになります。子供だからといって後見人に無断で親の財産を処分することはできません。
後見人による不動産の売却
後見人が選任されれば不動産を売却することが可能になります。
①後見人は本人の代理人
後見人は本人の代理人であり、本人の家族の代理人ではないことに留意してください。後見人は本人の利益のために行為します。このことを理解しておかないとトラブルになります。
- 後見人は本人にとって必要がなければ不動産を売却しません。
- 売却した利益は後見人が本人のために管理します。
②自宅の売却には裁判所の許可が必要
被後見人の居住用財産を売却するときは事前に裁判所の許可が必要です。本人がたまたま現在は施設に入所しているとしても自宅に帰ってくることを前提としています。本人のために必要な場合に限って許可されます。売却代金がなければ生活費や医療費を支払うことができないとか、建物が古くなっているので維持費が高額になってしまう等の理由が必要です。
ご覧いただいたように、自分の親であっても、勝手に不動産を売却することは出来ませんので、くれぐれもご注意ください!
イエステーションでは安心して相談できる弁護士や司法書士の紹介も可能です。不動産に関するお困りごとがあるかたは、1人で悩まずにまずは私たちにご相談ください。
収益物件を売却するタイミングとは?
収益物件を売却するタイミングとは?
収益物件を所有しているけど、いつ売ればよいのか、悩んだことがある方もいらっしゃると思います。利益を得るために収益物件を買ったのだから、少しでも高く有利に売却したいと思うものです。
そこで、
- 人はどんなときに収益物件を売却したくなるのか
- どんなときに売却するのがよいのか
- 売却しない方がよいタイミング
について、考えてみましょう。
収益物件を売却したくなるとき
人はどんなときに収益物件の売却を考えるのでしょうか。その理由と対処法を5つ整理しました。
- 管理できなくなったとき
所有者が自分で賃貸物件や入居者の管理をしている場合に、高齢や病気によって管理するのが難しくなることがあります。
この場合、家賃収入が充分に見込めるのなら、売却よりも第三者に管理を委託することを考えた方がよいでしょう。不動産の管理会社に委託すれば、家賃から物件の管理まで全てまかせることができるので安心です。
- 投資用不動産としての価値が下がったとき
収益のために不動産を買ったのだから、家賃収入で固定資産税の支払や借入資金の返済ができないなら購入した意味がありません。
なぜ、入居者を確保できないのか。リフォームや内外装、ペット可の住宅にする、等いろいろな方策を考えましょう。ご自身で管理をしているのであれば、不動産会社に管理を委託して、様々なアドバイスをしてもらうのもひとつの手です。それでも利益を確保できないときには、あきらめて損切りをしたほうが良い場合もあります。
- 資金作りをしたいとき
収益を得ることが目的で収益物件を購入しているので、もっと条件が良い物件があればそちらの物件が欲しくなるものです。そのため低い利回りの物件は売却し、高利回りの物件購入のための資金作りを考えます。
また、所有者が他の事業をしている場合にその事業のために資金作りを考えて収益物件を売却することもあるでしょう。
- 購入価格のもとがとれたとき
単純計算すると年利回り10%の収益物件だと10年でもとがとれ、5%でも20年で購入価格のもとをとることができます。そこで、一区切りつけるために収益物件の売却を考えることもあるでしょう。この場合は売却することを急ぐ必要はないので、じっくりと時期と価格を見定めることができます。
- 相続をうけたとき
収益物件を相続したけど相続人が収益物件に興味がない場合があります。また、相続税を支払うために売却をしなければならないこともあるでしょう。複数いる相続人間で遺産分割の話し合いがうまくいかなくて売却をすることもあります。
収益物件を売却しないほうがよいとき
収益物件の売却を考えるのはどのようなときか、有利に売却をするタイミングを紹介しました。
それでは、売却をしないほうがよいタイミングとは、どんなときでしょうか。
不動産を売却した時には、利益がでれば不動産譲渡所得税を支払う必要があります。購入後5年以内の売却は『短期譲渡所得』といって、譲渡所得税の税率が高いため、できるだけ収益物件の売却は避けた方がよいといえます。
以上のように、収益物件の売却を検討する場合、様々なタイミングを考慮することが必要です。まずは、税理士や不動産会社へご相談することをおすすめいたします。