茨城県日立市に鎮座する泉神社は、古くから人々の信仰を集めてきた由緒ある神社であり、その最大の見どころは何と言っても境内からこんこんと湧き出る神秘的な泉「泉が森」です。この泉は『常陸国風土記』にも「密筑(みつき)の大井」として記されており、2008(平成20)年6月には、「平成の名水百選」にも選定されるほどの清らかな水をたたえています。

 

泉神社の歴史と由緒:千年以上続く信仰の地

泉神社の創建は古く、人皇第十代崇神天皇の御代、紀元前42年にこの地に鎮祀されたと伝えられています。延喜式内社としても名を連ねる旧郷社であり、その歴史の深さが伺えます。**久自国造船瀬宿禰(くじのみやつこふなせしゅくね)の奏請により、大臣伊香色雄(いかがしこおのみこと)**が勅命を受けて久自の国に至り、**天速玉姫命(あめのはやたまひめのみこと)**を祀って、久自の国の総鎮守としたのが泉神社の創立とされています。

ご祭神である天速玉姫命は、記紀には直接登場しない神ですが、『茨城県神社誌』によれば、**天棚機姫命(あめのたなばたひめのみこと)**の娘で、**天太玉命(あめのふとたまのみこと)の后神、あるいは天比理刀咩命(あめひりとめのみこと)**とも伝えられています。祭神名の「速玉」は清泉の美称であり、湧き出る大井の泉が神格化されたものがご祭神であると考えられています。

神秘の泉「泉が森」:エメラルドグリーンの絶景

泉神社の最大の魅力は、社殿の脇に位置する「泉が森」と呼ばれる湧水です。透き通るようなエメラルドグリーンの水をたたえ、中央からは常に水が湧き上がってくる様子を見ることができます。その美しさは「宝石のような泉」と評されるほどで、富士山の忍野八海にも匹敵すると言われるほどです。湧き出る水は、夏は冷たく、冬は温かく感じられるとされ、その神秘的な雰囲気は多くの参拝者を魅了しています。

この泉は、かつてはニジマスの養殖にも利用されており、現在ではイトヨの保護活動も行われています。泉が森周辺は「イトヨの里泉が森公園」として整備されており、参拝に訪れた人々の憩いの場となっています。

 

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ご利益とパワースポット:縁結びと開運の聖地

泉神社の主なご利益は、ご祭神の天速玉姫命にちなみ、「五穀豊穣」「海上安全」「縁結び」などが挙げられます。特に縁結びの神としての信仰が篤く、はるか昔から男女が集まり宴を楽しむ場所であったと伝えられていることから、現在も知る人ぞ知る縁結びのパワースポットとして人気があります。恋愛の縁だけでなく、仕事や友情など、さまざまな「縁」をつなぎ、湧水の浄化作用で邪気を祓うとも言われています。

また、2022年に境内に突如現れたという「泉龍木(せんりゅうぼく)」も注目を集めています。まるで龍の頭のような形をしたこの大木は、スマートフォンの待ち受けにするとご利益があるとの噂もあり、特に2024年の甲辰(きのえたつ)の年は「樹木」と「龍」を意味するため、泉龍木のある泉神社は最強の開運神社とされています。

泉神社では、湧水に浸すことでおみくじの文字が浮かび上がる「水みくじ」も人気です。湧水の清らかさを肌で感じることができます。

年間行事と祭事:地域の文化を伝える伝統

泉神社では年間を通して様々な祭事が執り行われています。主な祭事としては、2月11日の「祈年祭」5月3日の「例大祭」、**11月23日の「新嘗祭」**が三大祭とされています。

  • 元旦祭(1月1日):新年の始まりを祝い、五穀豊穣や国民の平安を祈願します。
  • 追儺節分祭(2月3日):疫病や災害を追い払う「鬼やらい」の行事として豆まきが行われます。
  • 祈年祭(2月11日):本年の五穀豊穣と国家の安泰を祈願する春祭りです。
  • 當屋祭(3月第2土・日曜日):古くから伝わる特殊神事。かつて神社がなかった頃、御神体を当番制で個人の家にお祭りして無病息災を祈願したことが始まりとされています。現在も、町内持ち回りで天速玉姫命の御霊を家にお祭りし、家内安全と無病息災が祈願されます。
  • 例大祭(5月3日):5年に一度、ご神輿が宮出しし、約5kmの道のりを巡行します。太鼓やささら、のぼり旗などを伴った約200人の行列が、各所で五穀豊穣や町内平和を祈祷します。巡行しない年は「居祭」として行われます。
  • 戦没者慰霊祭(8月15日):戦没者の御霊を慰める祭事です。
  • 新嘗祭(11月23日):その年に収穫された新穀を神に供え、豊かな恵みに感謝する祭事です。

その他、毎月1日と15日には月次祭が執り行われています。

アクセスと周辺情報:日立観光の拠点に

泉神社へのアクセスは、公共交通機関の場合、JR常磐線「大甕駅」から徒歩15分程度です。バスを利用する場合は「泉ケ森バス停」から徒歩5分ほどです。車でのアクセスも可能で、常磐自動車道日立南太田ICから4.5km(約15分)、日立有料道路日立中央ICから9.4km(約30分)です。駐車場は無料で、第1駐車場(11台)、第2駐車場(23台)、第3駐車場(80台)が用意されており、大型バスも駐車可能です。

泉神社の周辺には、日立市の魅力的な観光スポットが点在しています。

  • 水木海水浴場:泉神社からほど近い場所に位置し、穏やかな海と砂浜が特徴です。
  • 大甕神社:泉神社と共に日立市を代表するパワースポットの一つで、星の神様を祀る珍しい神社です。
  • 御岩神社:古来より神々が棲む聖地として崇められてきた霊山に鎮座し、多くの神様が祀られています。日本屈指のパワースポットとしても知られています。
  • 日立市かみね公園:遊園地や動物園があり、家族連れに人気のスポットです。
  • 日立市鵜来来の湯十王:太平洋を一望できる露天風呂が魅力の温泉施設です。

これらのスポットと合わせて、日立市の豊かな自然や歴史、そして神秘的な雰囲気を満喫する旅を計画するのも良いでしょう。

まとめ:泉神社で心身を清める旅を

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茨城県日立市に位置する泉神社は、美しい湧水「泉が森」を中心とした神秘的な雰囲気に包まれた神社です。古くからの歴史と由緒を持ち、五穀豊穣、海上安全、縁結びなど、幅広いご利益があるとされています。特に、その清らかな泉が織りなす幻想的な景色と、縁結びのパワースポットとしての人気は高く、多くの参拝者が訪れます。

▶『夏越大祓』2025年6月29日(日)午後1時

半年のあいだに身に積もった罪穢(つみけがれ)を祓い、心身を清め、残る半年を健やかに過ごすことができるとか✨✨

日立市を訪れる際には、ぜひ泉神社に足を運び、その神秘的な魅力と清らかな泉のパワーを感じてみてはいかがでしょうか。