芸術の秋の到来ですが、2023年の仙台は残念ながら宮城県美術館も仙台市博物館も休館中。ですがこんな時こそ街中の小さな展覧会や資料館を巡ってみるチャンスです。今回は榴岡公園内にある「仙台市歴史民俗資料館」にやってきました。昭和54年(1979)11月3日に開館の仙台地域を中心とした明治時代以降の庶民生活を研究展示している施設です。今では珍しい生活用品の数々は大半が市民からの寄贈品だそうで、昔懐かしい生活感にあふれた展示が魅力です。

企画展「社交と嗜好品」

現在の企画展は「社交と嗜好品」。煙草やお茶、お酒にまつわる展示の他、当時のカフェのパネルなどもあり少し前の仙台の暮らしを追体験できます。煙草を吸える店も少なくなり、マッチ箱もほとんど姿を見ることが無くなってしまいましたが、喫茶店のオリジナルマッチ箱にノスタルジーを掻き立てられる人も多いのではないでしょうか。来場者が喫茶店の思い出を綴れるノートも置いてあり、そこにもカフェにまつわる温かい思い出がたくさん書き込まれていました。

仙台地方の農具と農家のくらし

企画展だけでなく、常設展も見ごたえがあります。「仙台地方の農具と農家のくらし」「仙台 町場のくらし」「旧歩兵第四連隊関連」の3つのコーナーに分かれていて、けん玉おはじきなど昔のおもちゃ遊び体験ができる「体験学習室」も併設されています。昔の農家の台所や食事のようす、そして旧日本陸軍の内務班の暮らしを知ることができる貴重な資料を見ていると、まるで明治時代にタイムスリップしたような気分になります。

⑤明治当時の面影を残す階段
④常設展

実はここの建物は旧陸軍第二師団歩兵第四連隊兵舎を、明治37年当時の外観に復元保存したもの。1978(昭和53)年に仙台市有形文化財に指定されています。展示を見た後は建物にも注目してみてくださいね。

 

 

榴岡公園は春のお花見が人気ですが、噴水や紅葉を楽しめる秋のお散歩もお勧めです。仙台市歴史民俗資料館を見学した後は広々とした芝生を歩き、公園でお弁当などを楽しんでみてはいかがでしょうか。