今回は、茨城県西部にある笠間市についてご紹介します。笠間市は古い伝統と文化の残る街で、例えば日本三大稲荷のひとつ【笠間稲荷神社】、浄土真宗の名刹【西念寺】など、古い神社仏閣があることでも有名です。

そして笠間市が誇る文化のひとつに、【笠間焼】があります。形式にとらわれない斬新なデザインや作風が特徴で、春に行われる「陶炎祭(ひまつり)」、秋に行われる陶器市「笠間浪漫」では、新進気鋭の陶芸家の作品を求め、多くの観光客で賑わいを見せています。写真は、芸術の森公園にある茨城県陶芸美術館です。笠間市は、行政や市民が一体となって笠間焼の保存と発展に力を入れていると言えるでしょう。

芸術の街、笠間日動美術館

そして芸術といえば、1972年に創立された【笠間日動美術館】があります。

市街地の斜面に造成されたこの美術館は、芸術の街笠間市のイメージアップに一役買ったと言えます。館内には著名画家が使った実際のパレットが多数展示されているのをはじめ、美術史的にも貴重なコレクションが収蔵されています。

そして一歩外に出れば、きれいに整備された竹林が広がり、吹き渡る風に葉音を立てています。

春風萬里荘(しゅんぷうばんりそう)

また、笠間市芸術の村には日動美術館の分館【春風萬里荘(しゅんぷうばんりそう)】があります。かつてのグルメ漫画「美味しんぼ」で有名になった芸術家・北大路魯山人(きたおうじろさんじん)の住居を鎌倉市から移設したものです。

建物内部は、魯山人が住んでいた状態がそのまま残されており、入ってすぐ左にある洋間は元々馬小屋だったところで、それを洋間に改造したセンス、調度品のこだわりなどに氏の優れた感性を見ることができます。

笠間市は、古い歴史と伝統、芸術と文化が巧みに融合した街です。芸術の森公園周囲は自然の丘陵地帯となっており、近隣では瀟洒な住宅が増えてきたように思います。芸術を生かした街作りが、人々の感性にも影響を与えているのかもしれません。

古い名刹がある一方で、あちこちに芸術的な香りが漂う。最近の笠間市は、そんな雰囲気のある街となっています。