東京都中央区から宮城県仙台市をつなぐ国道6号線は、いわき市にとって重要な幹線道路です。地元の人たちは昔から、この道路を「ろっこく」と呼んできました。しかし、現在のいわきで言う「ろっこく」と、地図上の国道6号線は、どうやら違っているようなのです。

地図上の国道6号線

地図で示されるいわき市の国道6号線は、市内を南端から北端まで縦断する主要な道路です。大部分が片側2車線のバイパスになっており、約50kmの区間を快適につないでいます。ところが、いわきの人たちが呼ぶ「ろっこく」は、この道路ではない場合がほとんどです。「ろっこくをまっすぐ来て」と言われた県外の方が、国道番号を頼りに進んだら、道に迷ってしまうかもしれません。

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いわきの人が呼ぶ「ろっこく」は、旧国道6号線

地図上の国道6号線が全線開通したのは、2000年のことです。それまでは「ろっこくのバイパス」として、南から少しずつ供用されてきました。いわきの人が言う「ろっこく」は、片側1車線と2車線区間が混在する、ありふれた地方の国道だったのです。

現在の「旧」国道6号線は、道の駅よつくら港以南のわずかな地域を除き、ほとんどが県道(一部区間のみ国道399号)に降格しました。しかし、いわきの人たちは今も、降格した旧国道6号線のほうを「ろっこく」と呼び続けています。

それなら、地図上の国道6号線は、地元で何と呼ばれているのでしょう。この道路には部分的に「いわきサンシャインロード」という愛称もあるのですが、いわきの人たちは単純に「バイパス」と呼んでいます。

つまり、地元では「ろっこく=旧国道6号線」「バイパス=地図上の国道6号線」を指す場合がほとんどです。ややこしいのですが、これは市内を走る道路の進化に基づいた呼び名。こんなところにも、いわきの小さな歴史が隠れています。

ところで「ろっこく」の愛称は、他の地域でも使われているのでしょうか。茨城県水戸市~宮城県仙台市の間で調査したところ、水戸市からいわき市では一般的に「ろっこく」と呼ばれているようです。北上するに連れて使用割合は減っていくものの、ゼロではありませんでした。

いわき市の交通を支え続けてきた、重要な国道6号線。「ろっこく」と「バイパス」はどちらも、地元の主要道路として、いわきの人たちに愛されています。

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