亡くなった親の家を売る前に
しておくべきこととは!?
亡くなった親の家を売る前に
しておくべきこととは!?
「自分は既に自宅を所有している」、「田舎の家だし…今後使う予定も無い」などの理由で、亡くなった親の家を売りたい、という方は多いと思います。
そこで、亡くなった親の家を売る前にしておくべきこと6つを紹介します。
- 相続税の確認
- 相続登記
- 債務の確認、担保の抹消
- 親が取得した時の売買契約書の有無の確認
- 境界の確認
- 荷物を片付ける
1.相続税の確認
相続開始すると相続税がかかります。
場合によっては、家を売却して、売却代金を相続税の支払いに充てる必要があるかもしれません。そこでまず、相続税を支払う必要があるかどうかを確認しましょう。
①基礎控除
相続税は基礎控除額以上の相続財産がある場合に課税されます。
相続についての基礎控除は3,000万円+相続人1人当り600万円になります。
例えば父が死亡、相続人は母と子供2人の場合は3,000万円+600×3=4,800万円が基礎控除額となります。
”詳しくは↓(国税庁)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4152.htm”
②配偶者の税額の軽減
単純に基礎控除額を超えるから「相続税がかかってしまうのか。」とあきらめず、配偶者(例の場合の母)が多く相続することで非課税部分を増やすこともできます。
”配偶者の税額控除
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4158.htm”
2.相続登記
亡くなった親の名義のままでは、売却することができません。相続人の名義に変更してから売却することになります。
3.債務の確認、担保の抹消
亡くなった親の名前で住宅ローンの抵当権が設定されたままになっていませんか?
最近では団体信用生命保険がセットになっているので、亡くなられた場合その保険で住宅ローンが返済されることが多いです。しかし、返済が終わっても登記をしなければ抵当権は残ったままなので、売却することはできません。
金融機関から抵当権抹消に必要な書類を受け取り、抹消登記を行いましょう。
また、団体信用生命保険に入っていない住宅ローンやその他の抵当権が設定されている場合は、返済をしなければ抹消登記ができないので、借入金を返済して売却までに抵当権を抹消する必要があります。
4.親が取得した時の売買契約書の有無の確認
売却すると、売却によって得た利益に譲渡所得税が課税されます。売却利益は売却代金から必要経費を差し引いた額です。親が買った時の値段は経費になりますので、とても大事な経費の証拠書類です。必要経費の証明ができなければ5%しか経費としてみてもらえないので、譲渡所得は高額になってしまいます。
”取得費
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tebiki2017/kisairei/joto/pdf/001.pdfのP33”
“参考コラム
https://www.address-web.co.jp/jyunbi/column/14377/“
。
5.境界の確認
土地の境界は上下に及び、隣の家の庇(ひさし)がこちらの土地まで越境していたり、逆の場合もあります。『境界確認書』『確定測量図』といった境界のポイントが図示された図面が残っていないか探してください。
なければ売却時に測量をし、境界をきちんと明示してから引渡しすることが多いですが、15万~30万程かかります。できるだけ探しておきましょう。
6.荷物を片付ける
売却する時には、仲介業者が査定のために現地を訪れたり、買主が現地を確認に来たりします。荷物がないほうが印象が良いので、より有利に査定される可能性が高くなります。
また、荷物をかたづけることによって雨漏り等が見つかれば、事前に修理をしたり、売るときに買主へ告知ができます。予め家の不都合を把握することにより、修理をして価値を高めることもできますし、引渡し後に買主から「こんな不具合があるなんて聞いていなかった」という契約不適合責任(民法562条ほか)によるトラブルも避けることが出来ます。
参照コラム
https://www.address-web.co.jp/jyunbi/column/14267/
空家を相続放棄しても
「管理義務」が残るって本当!?
空家を相続放棄しても
「管理義務」が残るって本当!?
親が亡くなって、空家になった実家が残ったけれど、「管理しきれないので相続放棄しよう!」とお考えの方、ちょっとお待ちください!
相続放棄したからと言って、管理問題がすべて解決できるとは限りません。相続放棄しても、空家の「管理義務」が残り、その後の手間と費用がかかるケースがあります。
相続放棄した場合のメリット、デメリットをしっかり把握したうえで、相続するか、放棄するかを選択するようにしましょう。
相続放棄とは?
相続放棄とは、すべての遺産について相続する権利を放棄することです。相続放棄をすると、被相続人(亡くなったかた)の財産(プラスの資産)だけでなく、借金や負債(マイナスの資産)もすべて放棄し、「はじめから相続人ではなかった」ことになります。
「使わない空家だけを相続放棄したい」ということは出来ません。一般的には、プラスの資産とマイナスの資産を相続した場合の維持管理費や固定資産税の負担を天秤にかけて比較し、マイナスが大きくなりそうな時は相続放棄する、というケースが多いでしょう。
相続放棄するためには「相続があったことを知ってから」3ヶ月以内に、家庭裁判所で「相続放棄の申述」という手続きを行う必要があります。「相続があった」というのは、通常は相続開始を意味するので、親が死亡したと分かったら基本的に3ヶ月以内に家庭裁判所で「相続放棄の申述」をします。
空家を相続放棄するメリット・デメリットは?
相続放棄するメリットは、所有権を放棄するので、固定資産税の支払いを免れるという点です。誰も住んでいない空家であっても、毎年所有者は固定資産税の支払い義務が発生します。
一方、相続放棄するデメリットは、空家だけでなく、それ以外のすべての財産を放棄しなければいけないという点です。あとから空家の価値が上がったり、それ以外の財産があったことが判明しても、その財産を相続する権利は一切無くなります。
相続放棄したあとの管理義務は?
ただし、所有権が無くなったからといって、空家の管理もしなくていい!というわけではありません。確かに、固定資産税の支払いは無くなりますが、管理義務が残るケースがあるのです。
相続人が自分しかいないのに相続放棄した場合、または自分以外の相続人も全員が相続放棄した場合などは、所有権が無くても空家の管理義務が残ってしまいます。相続人が全員相続放棄することにより、空家が放置されてしまったら、倒壊などで近隣住民に迷惑がかかる恐れがあります。そこで、民法では以下のように定めております。
「相続の放棄をした者は、その放棄によって相続人となった者が相続財産の管理を始めることができるまで、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産の管理を継続しなければならない。」(民法第940条第1項)
空家を適切に管理していないことで万が一近隣住民に被害を与えてしまった場合、管理している人に対して損害賠償請求されてしまう可能性もあります。
空家の管理義務は、「相続財産管理人」を選任して引き渡し、最終的に国へ帰属するまで必要です。もちろん、相続財産管理人の選任や依頼にも費用がかかります。
相続放棄の前に「売却」という検討も!
自分が相続放棄をしても、ほかに空家を相続する人がいるなら、空家の管理義務は相続人に帰属しますので、自己に責任が問われることは無くなります。ただし、「相続人が自分しかいない」「相続人全員が相続放棄するつもり…」といった場合は、要注意です。このような場合は、相続放棄ではなく「売却」も視野に入れてみましょう。空家は時間が経つほど老朽化が進み、管理が大変になります。長く空家にすることで、近隣住民から苦情が来たり、犯罪に悪用されたりする可能性も出てきます。不動産会社では、相続に関するご相談も非常に多くいただいております。売却を検討する場合は、老朽化で建物の価値が目減りする前に、早めにご相談されることをおすすめいたします。
亡くなった親の家を売却したい、
まず必要な手続きは?
亡くなった親の家を売却したい、
まず必要な手続きは?
亡くなった親が所有していた家を売るには、『相続』をしなければ売ることができません。
相続をするには次の5つの方法があります。
1.相続をする5つの方法
➀法定相続
➁遺言
➂遺産分割
④調停
⑤裁判(審判)
では、一つずつ説明していきます。
①法定相続
法定相続とは民法で定められた法定相続人(民法886条以下)が定められた通りの割合(民法900条)で相続することです。
.
『法定相続分』は次のようになります。
配偶者(常に相続人)
|
直系卑属(第一順位)
子供や孫
|
直系尊属(第2順位)
親や祖父
|
兄弟姉妹(第3順位)
|
1/1
|
なし
|
なし
|
なし
|
1/2
|
1/2
|
あり
|
あり
|
2/3
|
なし
|
1/3
|
あり
|
3/4
|
なし
|
なし
|
1/4
|
配偶者(妻または夫)は常に相続人になります。
先順位の相続人がいれば次順位の相続人(候補)は相続人になれません。
同じ順位の相続人がいれば均等に相続します。
また、被相続人(亡くなった人)が死亡した時に子供がすでに亡くなっている場合、その子(孫やひ孫)がいれば亡くなった子供に代って相続人になります(代襲相続)。
直系尊属(親)も同じように代襲相続がありますが、兄弟姉妹についてはその子供で終わります。
②遺言
被相続人の意思によって、法定相続分以外の割合で相続させることができます。
ただし、相続人には『遺留分』という権利があり、法定相続分の半分までは確保する権利があります。これを侵す遺言も有効ですが、遺留分を侵された相続人は取り戻す請求をすることができます。
遺言をする方法では『自筆証書遺言』または『公正証書遺言』が一般的です。
③遺産分割
相続人の間で法定相続分以外の割合で相続する方法です。相続人の間で話し合いにより決めます。
例えば自宅は長男が相続し、預貯金は二男が相続するような場合です。遺産分割は一度きりで分割のやり直し(再分割)は贈与になるので注意が必要です。
相続税法基本通達19の2-8
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/sisan/sozoku2/02/06.htm#a-19_2_8
なお、遺言書の内容と異なる遺産分割をした場合でも贈与税は課されません。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4176.htm
売却する場合にも遺産分割は大事なので、項を改めて説明します。
④調停
相続人の間で遺産分割協議がまとまらない場合は『調停』を行なうことになります。
⑤裁判(審判)
調停を行ってもまとまらない場合には審判手続きに自動的に移行します。
https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_07_12/index.html
売却のための遺産分割
①売買代金の取り分の割合の共有割合で相続する
不動産を売却して、名義人と異なる人が売却代金を受け取れば贈与になります。
このため遺産分割協議を行なう場合には、売却代金を受け取る人の名義に相続登記を行なう必要があります。
ただし、名義人が多数になれば書類の準備、連絡、売買代金のやりとりの日程の調整など、手続きが非常に煩雑になる可能性があります。その煩雑さを避けるための便宜的な方法が次の『換価分割』です。
②換価分割
売却手続きを簡単にするために仮に1人の名義にしておいて、売却代金を分配する便宜的な方法です。
以下の国税庁の質疑応答は『調停』に関するものですが、相続人間の遺産分割協議でも可能だとされています。ただし、予期しない贈与税を課されないために分割協議書には分配する額(または割合)をきちんと記載しておく必要があるので注意が必要です。また税理士等の専門家に相談しておくと安心です。
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/sozoku/13/01.htm
亡くなった親の家を売ったら税金がかかる?
1.譲渡所得の計算
不動産を売却した時は利益について不動産譲渡所得税を納める必要があります。
譲渡所得は
売却代金+(固定資産税と都市計画税の清算金)-取得費(購入代金+費用)-特別控除額
で計算します。
- 売却代金はそのまま今回の売買金額です。
- 固定資産税や都市計画税は納税義務者の変更年度中は行われないので売買代金支払い時に日割計算して清算します。その清算金も譲渡所得になります。
- 取得費は購入した時の売買代金や建物の建築代金です。
建物の場合は購入代金そのままではなく『減価償却』をした金額が取得費になります。
- 費用は取得したときや売却するために支払った費用です。
登記費用や仲介手数料、測量費用などで、売買契約書に貼る収入印紙も費用になります。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3202.htm
亡くなった親の家を売った場合の特例を2つ紹介します。
①親の購入時の売買代金が取得費
亡くなった親の家を売った時の取得費は親が購入した時の売買代金です。取得費とするためには親が購入した時の売買契約書が必要です。また購入した時に支払った登記費用や仲介手数料なども費用になります。
費用として加算するためには領収書が必要になるので同時に探しましょう。この購入代金等が証明できなければ取得費は売却代金の5%しかみてもらえません。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tebiki2017/kisairei/joto/pdf/001.pdfのP33
②相続税も取得費になる
相続によって取得した不動産を売却した時は相続税を取得費として加算できます。
期限や加算できる相続税額など詳細は下記の国税局HPを参照してください。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3267.htm
2.譲渡所得税の計算
譲渡所得を計算する時に注意したいこと5つ説明します。
- 親の所有期間も通算される
- 短期譲渡と長期譲渡について
- 相続空き家の3,000万円特別控除
- 税務署への申告が必要
- 今年の所得は翌年の保険料などにも影響する
①親の所有期間も通算される
亡くなった親の家を売るときは、親が取得した時から売却までの期間を通算できます。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tebiki2017/kisairei/joto/pdf/001.pdfのP34
②短期譲渡と長期譲渡について
所有期間が5年を超えるものを『長期譲渡』といい、5年以下のものを『短期譲渡』といいます。売却した日が基準ではなくて売却した年の1月1日が基準になります。
長期譲渡の税額は
15%+住民税5%+15%×2.1%(平成25年~令和19年まで復興特別所得税)
短期譲渡は
30%+住民税9%+30%×2.1%(平成25年~令和19年まで復興特別所得税)で計算します。
③相続空き家の3,000万円特別控除
亡くなった親が住んでいた空き家を令和5年12月31日までに売った時は3,000万円の特別控除を受けることができます。
- 昭和56年5月31日以前の建築
- 区分建物(二世帯住宅やマンション等)ではない
などの条件があります。
詳細は以下の国税局HPで確認をしてください。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3306.htm
④税務署への申告が必要
税金の控除を受けるためには税務署に申告をする必要があります。申告をしなければ控除を受けることができません。必ず申告をしましょう。
⑤今年の所得は翌年の保険料などにも影響する
亡くなった親の家を売った利益は、売った人のその年の所得に加算されます。そのため、前年の所得によって計算する国民健康保険料などに影響があり、翌年1年分は通常よりも多く納めることになります。不動産譲渡所得税だけでなく、健康保険料などを翌年いくら収めることになるのか、という点にも注意しましょう。
親が認知症に…親の不動産は売却できるの?
親が認知症に…親の不動産は売却できるの
親が認知症と診断された後、その親の不動産は売却できるのでしょうか。認知症には程度があるので、本人に充分な判断能力があれば親は売却することができ、子供に売却を委任することも可能です。しかし、判断能力が十分でなければ売却することはできません。整理するために、まず民法が定める行為能力の制限からみてみましょう。
行為能力の制限
民法では成人すれば当然に『行為能力』があり『意思能力』があるとされています。しかし、人は病気や年齢等によって充分な判断力をもてなくなることがあります。こういった人たちを保護し、また、取引に関わる相手方を保護するために行為能力を制限する必要があります。
①3段階の制限行為能力者制度
認知症になった人の判断能力に注目してその程度により3段階で行為能力に制限を設けています。(民法7条以下)
- 被補助人:「精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分な者」
- 被保佐人:「精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分な者」
- 成年被後見人:「精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者」
被補助人と被保佐人は原則として本人自身が行為をし、補助人や保佐人がその行為を支援します。
被後見人は基本的に本人自身が行為をすることはできず、後見人が代理して行為を行ないます。
②制限行為能力者の認定
行為能力を制限するには家庭裁判所の審判が必要です。面談や医師の診断書等をもとにして一定の者からの申立てにより家庭裁判所が審理します。
③公示
行為能力を制限されれば登記されます。『登記事項の証明』を請求できるのは本人、その配偶者及び四親等内の親族、後見人等一定の者に限られます。
『登記事項の証明書』または『登記されていないことの証明書』は各法務局・地方法務局で取得できます。
後見人の選任手続き
①後見開始の申立
(1)申立人
配偶者、4親等内の親族、補助人などから本人の住所を管轄する家庭裁判所に申立てます。
(2)申立に必要なおもな書類
- 診断書
- 本人の財産や収支がわかる資料
- 本人の家族関係がわかる資料
https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_06_01/index.html
②後見開始までの期間
申立から後見人が選任されるまでおおよそ2か月間必要で、さらに登記完了まで2か月程度必要です。
③後見人になる人
弁護士、司法書士、社会福祉士等が選任されます。最近は家族を後見人に選ぶことが少ない傾向です。後見人には報酬を支払う必要があり、裁判所が報酬額を決定します。業務により差があるものの1ヶ月3万円程度になります。
④後見人の権限
後見人が本人の財産全ての管理権を有することになります。子供だからといって後見人に無断で親の財産を処分することはできません。
後見人による不動産の売却
後見人が選任されれば不動産を売却することが可能になります。
①後見人は本人の代理人
後見人は本人の代理人であり、本人の家族の代理人ではないことに留意してください。後見人は本人の利益のために行為します。このことを理解しておかないとトラブルになります。
- 後見人は本人にとって必要がなければ不動産を売却しません。
- 売却した利益は後見人が本人のために管理します。
②自宅の売却には裁判所の許可が必要
被後見人の居住用財産を売却するときは事前に裁判所の許可が必要です。本人がたまたま現在は施設に入所しているとしても自宅に帰ってくることを前提としています。本人のために必要な場合に限って許可されます。売却代金がなければ生活費や医療費を支払うことができないとか、建物が古くなっているので維持費が高額になってしまう等の理由が必要です。
ご覧いただいたように、自分の親であっても、勝手に不動産を売却することは出来ませんので、くれぐれもご注意ください!
イエステーションでは安心して相談できる弁護士や司法書士の紹介も可能です。不動産に関するお困りごとがあるかたは、1人で悩まずにまずは私たちにご相談ください。
収益物件を売却するタイミングとは?
収益物件を売却するタイミングとは?
収益物件を所有しているけど、いつ売ればよいのか、悩んだことがある方もいらっしゃると思います。利益を得るために収益物件を買ったのだから、少しでも高く有利に売却したいと思うものです。
そこで、
- 人はどんなときに収益物件を売却したくなるのか
- どんなときに売却するのがよいのか
- 売却しない方がよいタイミング
について、考えてみましょう。
収益物件を売却したくなるとき
人はどんなときに収益物件の売却を考えるのでしょうか。その理由と対処法を5つ整理しました。
- 管理できなくなったとき
所有者が自分で賃貸物件や入居者の管理をしている場合に、高齢や病気によって管理するのが難しくなることがあります。
この場合、家賃収入が充分に見込めるのなら、売却よりも第三者に管理を委託することを考えた方がよいでしょう。不動産の管理会社に委託すれば、家賃から物件の管理まで全てまかせることができるので安心です。
- 投資用不動産としての価値が下がったとき
収益のために不動産を買ったのだから、家賃収入で固定資産税の支払や借入資金の返済ができないなら購入した意味がありません。
なぜ、入居者を確保できないのか。リフォームや内外装、ペット可の住宅にする、等いろいろな方策を考えましょう。ご自身で管理をしているのであれば、不動産会社に管理を委託して、様々なアドバイスをしてもらうのもひとつの手です。それでも利益を確保できないときには、あきらめて損切りをしたほうが良い場合もあります。
- 資金作りをしたいとき
収益を得ることが目的で収益物件を購入しているので、もっと条件が良い物件があればそちらの物件が欲しくなるものです。そのため低い利回りの物件は売却し、高利回りの物件購入のための資金作りを考えます。
また、所有者が他の事業をしている場合にその事業のために資金作りを考えて収益物件を売却することもあるでしょう。
- 購入価格のもとがとれたとき
単純計算すると年利回り10%の収益物件だと10年でもとがとれ、5%でも20年で購入価格のもとをとることができます。そこで、一区切りつけるために収益物件の売却を考えることもあるでしょう。この場合は売却することを急ぐ必要はないので、じっくりと時期と価格を見定めることができます。
- 相続をうけたとき
収益物件を相続したけど相続人が収益物件に興味がない場合があります。また、相続税を支払うために売却をしなければならないこともあるでしょう。複数いる相続人間で遺産分割の話し合いがうまくいかなくて売却をすることもあります。
収益物件を売却しないほうがよいとき
収益物件の売却を考えるのはどのようなときか、有利に売却をするタイミングを紹介しました。
それでは、売却をしないほうがよいタイミングとは、どんなときでしょうか。
不動産を売却した時には、利益がでれば不動産譲渡所得税を支払う必要があります。購入後5年以内の売却は『短期譲渡所得』といって、譲渡所得税の税率が高いため、できるだけ収益物件の売却は避けた方がよいといえます。
以上のように、収益物件の売却を検討する場合、様々なタイミングを考慮することが必要です。まずは、税理士や不動産会社へご相談することをおすすめいたします。
マンションの大規模修繕と売買について
マンションの大規模修繕とは
建物であれば一戸建ての住宅でもマンションでも同じように年数の経過とともに劣化し、傷みがあらわれます。一戸建てであれば所有者の都合や考え方で自由に修繕の周期や内容を決めることができますが、たくさんの人が住むマンションの場合は多くの人の同意が必要です。そのため、外壁の補修やシーリング工事など足場を組んでするような大掛かりな修繕をまとめてすることになります。
大規模修繕の周期
大規模修繕をする時期や規模に決まりはないですが、一般的には12年程度の周期で行われています。
国土交通省「マンション大規模修繕工事に関する実態調査について」
https://www.mlit.go.jp/common/001234290.pdf
- 長期修繕計画を確認する
マンションを維持管理するために所有者でマンションの管理組合を組織しています。通常はマンションの管理組合が長期修繕計画をたて、その計画にそって修繕積立金を設定し、集金管理しています。この長期修繕計画をみれば何年周期でいくらくらいの予算建てで大規模修繕を計画しているかがわかります。
- 前回の大規模修繕の時期と周期から推測
中古のマンションであれば過去の大規模修繕の履歴が管理組合で記録されていますので、その履歴をみることで過去の周期がわかります。そこで次回の大規模修繕がいつごろ行われるかが推測できます。
大規模修繕には多額の費用が必要であること、それに伴いマンション所有者の同意が得にくいこと、また材料の改良によって耐久性や防汚性能がよくなってきているために、12年よりも長い周期で大規模修繕が行われることが増えています。
所有者にとっては、いつごろ次の大規模修繕が行われるのかは大事なことです。
修繕積立金があるのにどうして
一時金の出費が必要?
- 大規模修繕の費用の引き当て
大規模修繕の費用は月々支払っている修繕積立金をあてるのが原則です。国土交通省の平成30年度マンション総合調査結果によれば修繕積立金の月額平均は11,243円となっています。ところが、現在の積立額が長期修繕計画に比べて不足しているマンションが 34.8%あり、不足の割合が20%を超えているマンションが15.5%あります。この不足する額を、実際に大規模修繕工事を行なう際に所有者が補てんすることになります。
国土交通省「平成30年度マンション総合調査結果」
https://www.mlit.go.jp/common/001287061.pdf
- なぜ修繕積立金に不足が生じるのか
修繕積立金の額はマンションの所有者の合意で決まります。新築時は特に初期の負担をおさえたい希望が多いので、だんだんと修繕積立金の額を増やす方法を選ぶことが多いのが理由といえます。また、材料費や工事費が値上がりしたために修繕費用全体が上がり不足が生じることもあります。
- マンションの老朽化により修繕費用も高くなる
マンションが老朽化してくると補修個所が増えてきますし、エレベーターの交換となると多額の費用が必要です。このため建築後年数がたてば、それだけ修繕積立金も高くなることになります。
- 修繕積立金を使いきってしまった
前回の大規模修繕工事に予定外の費用がかかってしまったので、次回に繰り越す予定だった修繕積立金を使いきってしまうことがあります。このような場合、今回の工事費の不足分を補てんする他に、次回のために修繕積立金を増額して積み立てることが必要になります。
大規模修繕の売買への影響
- マンション売却価格の下落
修繕積立金が高くなると毎月の支出も増えるため、売却には不利。そのためマンションの売却価格を下げざるを得なくなってしまいます。
例えば、3,000万円の分譲マンションを金利1%、35年の住宅ローンで購入しようとすると、月々の返済額は8.4万円程度ですが、これとは別に毎月修繕積立金が発生します。仮にマンション価格が同じで修繕積立金が1万円の物件と2万円の物件があるとすると、実質負担額は前者が9.4万円程度、後者は10.4万円程度になります。修繕積立金が高くなるほど売れにくくなるため、マンションの売却価格も安くせざるを得ないことがあるのです。
例えば、売却価格を2,700万円に下げた場合、同じ条件の住宅ローンだと約7.5万円の支払となり、修繕積立金が2万円の場合でも合計約9.5万円の負担に抑えられます。
このように、分譲マンションでは、修繕積立金の額を考慮して売却価格を調整する必要があるのです。
- 修繕積立金の残高の少なさは買主様の不安要素
大規模なメンテナンスに備えるための修繕積立金が、どれくらい積み立てられているかは、購入を検討している買主様にとって非常に重要な判断基準となります。積立残高が明らかに少ないとなれば、当然不安を感じる方もいます。工事に必要な費用が積立残高で賄えないと、毎月の修繕積立金の値上げや、不足分を補うために臨時徴収する可能性があるからです。
売却にあたっては、毎月の修繕積立金の額だけでなく、現在どの程度の額が積み立てされているかも確認しておく必要があります。
- マンション売却は大規模修繕前がベスト
大規模修繕工事の実施後は、積立額が一気に減り、修繕積立金を増額する可能性が高くなります。そのため、マンションを売却するなら、大規模修繕工事の実施前がベストです。
マンションの売却を検討されている方は、お住まいのマンションの長期修繕計画がどのようになっているのか、しっかり確認し、
売却のタイミングを見極めましょう。
イエステーションはマンションの売却も行っておりますので、お気軽にご相談ください。
親子間売買をする際の注意点は?
メリットとデメリット
長く暮らしてきた愛着のある我が家をできれば子供に引き継いでもらいたい、そう考える方も多いでしょう。
どのようなときに親から子供へ名義を変えたいと思うのでしょうか。親子間の売買で注意すること、親子間の売買のメリットとデメリットを紹介します。
親子間の売買を考える3つの場合
- 親にお金を渡したい
親が住宅ローンを組んでいたり、事業のために借り入れをしていたりして、高齢や病気・事故のために返済が苦しくなることがあります。そのようなときに、引き続き親に自宅に住んでもらうために子供が親の借金を肩代わりする目的で売買を検討することがあります。
高齢になった親の介護施設への入所費用や医療費をねん出するために自宅を売却したいけれど、他人に売却するのは抵抗があるので子供に買ってくれないかと相談することがあります。
- 相続対策
親が高齢になると相続対策も考えておく必要があります。相続人が複数いる場合には不動産だと遺産分割の協議が整わなくて、なかなか相続手続きができないことがあります。そこで同居している子供に買い取らせることで自宅を手当てしてあげることも有効でしょう。
- 贈与の代替
親としては、不動産をただであげても良いけれど、贈与税がかかるので売買をして贈与税を回避することもあります。売買をした場合には譲渡した親に譲渡益があれば不動産譲渡所得税が課税されますが、贈与税よりは少なくなることが多いです。
親子間の売買で気をつけること3つ
売買の当事者は親子間ですから、お互いに気心も知れて安心して取引ができます。しかし、親子間の売買だからこそ気をつけなければならないことがあります。
- 贈与税がかからないように注意しましょう。
売買契約書は第三者に対して売買があったことを証明することができる確実な証拠です。売買をすれば翌年に税務署に対して申告をする必要がありますが、その際に提出する書類になります。
親子間だから利益よりも情が優先されて、なるべく安く売買したいと思うものです。しかし、売買価格はその実勢価格(時価)でなければなりません。実勢価格よりも大幅に安い金額で売買をすると税務署はその差額について贈与だと認定し、贈与税を課します。
そのため、次のことに注意しましょう。
実勢価格は近隣類似の実際の不動産の売買事例によります。
そのため不動産会社や不動産鑑定士による適正な評価をしてもらうと安心です。
- 不動産会社や不動産鑑定士に依頼すると費用がかかるので避けたい場合には国土交通省の公示地価を参考にしたり、税務署が公表する路線価を参考にしたりして売買代金を決めることもあります。
この場合路線価を1.25倍した金額を下回らない方が無難です。
路線価は実勢価格の8割だとすることが根拠です。
路線価額そのままでもよいとする裁判例もありますが、トラブルをさけるために上記の基準によって売買価格を決めるのがよいでしょう。
- できるだけ不動産会社や税理士などの専門家に詳しいことを相談することをおすすめします。
国税庁『著しく低い価額で財産を譲り受けたとき』
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4423.htm
親子間の売買だから売買代金の支払もルーズになりがちです。
しかし、実際に代金の授受がなければ税務署は売買ではなく贈与だと認定し、贈与税を課税します。
そのために、売買代金は現金での授受はさけて、振込などの客観的な証拠を残しましょう。また、領収書も発行してください。
- 住宅ローンが通りにくい
親子間の売買では住宅ローンを組みにくいことが多いです。親子間の売買では不動産会社を仲介として利用しないことが多くあります。
仲介業者は重要事項説明書を作成し、その不動産の用途地域やガスや水道の供給、土砂災害警戒区域などの防災情報等を提供しますが、融資する金融機関にとって、この情報は不動産評価をするための重要な情報になります。ただし仲介業者が不在ならこの情報が手に入りません。
また、親子間の売買を仮想して不正な取引が行われるのではないかと危惧して融資に消極的な金融機関もあります。
- 他の相続人に話をしておく
特に相続対策として子供の名義に変える場合には、名義にしない他の兄弟などとよく話をして、わだかまりがないようにしておくことが大事です。いざ相続が始まった時に、無用なトラブルがないようにしたいものです。
親子間の売買のメリット5つ
親子間だからこそのメリットがあります。
- お互いに知っているので安心して売買できる
第三者である他人との売買ではないので、境界確認や隠れた瑕疵の確認、売却による売主の義務に対しての不完全履行を請求される心配がありません。
- 支払いや引渡しの条件を柔軟にできる
売買代金の支払時期や不動産の引渡し時期、瑕疵担保責任などの条件をお互いが納得できるように厳しくしてもゆるくしてもよく、柔軟に定めることができます。
- 相続対策としても活用できる
相続開始までに親の意向を反映して名義を変更できます。複数の相続人がいれば遺産分割協議がなかなか整わないこともありますが、スムーズに相続手続きができます。
- 外部に経済状況がもれない
親の債務整理のために親子間の売買をする場合に、親子間で契約から決済まで完了するので、第三者に経済状況がわかりません。
- 住み続けることができる
親子間の売買ですから、売買が完了しても引き続き親の希望でその家に住み続けることができます。家賃を定めることも自由にできます。
親子間の売買のデメリット5つ
親子間の売買にはデメリットもあります。
- 贈与を疑われやすい
注意点で説明しているように、親子間の売買は贈与ではないかと注目されやすいので、売買契約をきちんと作り、その支払も明確にしましょう。
- 税務上の特典が使えない
親子間の売買では第三者との売買と比べて使えない税務上の特典があるので注意が必要です。
- 自宅の売買でも3000万円の特別控除などが使えません。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3302.htm
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3305.htm
- 住宅ローンが残っているマイホームの売却の譲渡損失の特例が使えません。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3390.htm
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1214.htm
- 子供が自分の住宅ローンを組めなくなるおそれがある
親子間の売買で住宅ローンを組んでいれば、子供が自宅を購入したいときに子供の名義で住宅ローンを組めないおそれがあります。持家は1個とするのが金融機関の原則です。
また返済能力から重ねてローンが組めないこともあります。
- 買主が自分で住まなければ税金が高い(減税がない)
自分で住む住宅を購入した場合には登録免許税や不動産取得税の軽減が適用されて減税されますが、自宅として使用しない場合には適用がありません。たとえば、自宅として購入した条件に適合する建物の移転登記の登録免許税の税率は3/1000ですが、自宅でない場合には20/1000の税率で計算されます。
- 専門家が関与しないと不備があるおそれ
親子間の売買ということで、費用をなるべくおさえるために自分たちだけですすめることが多いですが、どうしても不備があって時間やお金が余分にかかることがあります。
できるだけ、専門家に相談をしながらすすめましょう。
- 税金・・・・・税理士
- 契約書・・・・宅地建物取引士(不動産会社)
- 登記手続・・・司法書士
その空き家の火災保険、
本当に大丈夫ですか?
知っておきたい空き家の火災保険
今あなたが所有している『空き家』は、火災保険に入っていますか?空き家になっている理由はいろいろあると思います。
一時的な転勤なので、そのまま空き家にしている場合。
親から相続したものの、自宅が別にあるので空き家になっている場合。
空き家になっている理由と管理の状況によっては、せっかく火災保険に入っていても、いざ必要な時に保険金が支払われない場合があります。
なぜ空き家に火災保険が必要なのか
いろいろな理由によって、現在空き家になっている家屋にはどのようなリスクがあるのか整理してみましょう。空き家を適切に管理していくためには、空き家のリスクを正確に把握しておく必要があります。
空き家の3つのリスク
- 犯罪
人が常時住んでいないため充分に管理できない家屋だと、不審者が知らない間に不法侵入していてもわかりません。不法侵入による被害は盗難だけではなく、火の不始末による火災の原因になることもあります。また、だれも住んでいない家だから、といたずらに放火をされるおそれもあります。
放火及び放火の疑いがある火災が平成29年では5833件おきています。
消防庁『平成30年消防白書』P.80
https://www.fdma.go.jp/publication/hakusho/h30/items/h30_hakusyo_all.pdf
*量が多いPDFのため通信料に注意してください。
- 建物の老朽化
建物が古くなると倒壊のおそれが高くなります。また倒壊まではしなくても瓦が落ちたり、塀が壊れたりして通行人に被害を及ぼすおそれもでてきます。
空き家で管理ができない状態だと雨漏りにも気づけずに放置される可能性もあり、建物のいたみがすすんでしまいます。
- 衛生・外観
長い間空き家になっていて管理できていない建物は換気も悪くダニやゴキブリなどの害虫やシロアリが繁殖しても気付くことができません。
また瓦や外装材がはげ落ちて外観が悪くなってもそのままになってしまうことになります。
以上3つのリスクの中でもとりわけ火災のリスクが大きいものです。
いったん火災が起きると、『重過失』がなければ法律上の責任を負わない(『失火ノ責任ニ関スル法律』)とはいえ、近所の方に謝罪する必要もありますし、火災がおきた建物をそのまま放置すると迷惑をかけることになるため、早急に解体撤去をしなければなりません。しかし、保険金が支払われなければそれらの費用を全て自分で準備しなければならなくなります。
そのため空き家であっても必ず火災保険に入っておく必要があるといえます。
空き家と火災保険
空き家の場合の3つのリスクを整理しましたが、これらのリスクのために空き家だと火災保険に入れないこともあります。
火災保険では建物の利用状況によって次の3つに分類しています。
- 住宅物件
住むために利用している家屋。転勤などで一時的に空き家になっている建物や定期的に使用している別荘などは住宅物件に分類されます。
- 一般物件
店舗や事務所など住居以外に利用している建物。
- 併用物件
上記住宅と一般物件とを併用している物件
相続した親の実家は本来『住宅物件』なのですが、ほとんど使用していない状態であれば火災保険の契約上では『一般物件』に分類されてしまいます。
このため、いままで親がかけていた火災保険をそのまま継続していても「火災保険に入っているから安心」ではありません!保険会社に住宅物件として認定してもらえなければ、いざ火災にあったからと火災保険を請求しても保険金が支払われないおそれがあります。
火災保険料は住宅物件よりも一般物件の方が割高になるのが一般的です。火災保険には火災や風災を補償するものと、日常の災害や突然の事故による破損までカバーするものとがあります。補償内容を充実させた方がいろいろなトラブルに対応できるので安心ですが、保険料も割高になります。補償内容が不充分だと万一のときにせっかく入っている火災保険が役にたたないおそれもあります。
また共済など、空き家だと火災保険に入れない保険会社もあります。けっして自分だけの判断で安心だと決めつけないで、保険会社とよく相談しながら、今のままの火災保険でよいのか、どのような条件の保険に入ればよいのかを充分に検討することが大切です。
空き家だと地震保険に入れない
地震によって火災がおきても火災保険が適用されません。そのため空き家でも地震保険に入っておきたいものですが、地震保険は被災した後の住宅再建を目的とした保険であるために、一般物件とされた空き家では火災保険とセットでは地震保険に加入できないことに注意してください。
ただし、一般物件でも地震保障特約をつけることができる保険商品もあります。親がかけていて、そのまま継続している火災保険とセットになっている地震保険についても、今のままの管理状況で保険が適用されるのか、保険会社とよく打ち合わせをしておいて、万が一のために備えをしておきましょう。
相続と生前贈与どっちがいいの?
生前贈与のメリットとデメリット
『生前贈与』とは、生きている間に、無償であげる、もらうと双方の意思が合致することからなる契約です。いつでも、だれでもすることができます。
しかし、生前贈与にはメリットだけではなく、デメリットもあるので、しっかりと確認をしておく必要があります。
生前贈与のメリット2つ
- 相続財産を減らせる(相続税の節税)
(ア)110万円の暦年贈与を使う
1年間に110万円までは贈与をしても贈与税がかかりません。
相続税を心配するのですから、子供が2人として基礎控除額の 3,000万円+600万円×2の合計で少なくとも4,200万円以上の財産があるので、それと比較すれば110万円はわずかだと思うかもしれません。しかし、子供だけではなく、孫たちに長年の間110万円を贈与していけば相当な額を贈与することができます。
例えば毎年110万円を10年間続ければ1,100万円を贈与することができます。
(イ)収益のある不動産を贈与する
収益がある不動産の場合は年々収益がたまっていくので、それだけ相続財産が増えてしまいます。生前贈与を行なうことで相続財産が増えるのを防ぐことができます。
- いつ、誰に、何を、贈与するかを選択できる
贈与をする人の意思でいつでも、誰にでも、何を贈与しても構いません。(もちろん贈与は契約ですから相手の承諾は必要です。)
(ア)そのため、事業を継がせたい子供に事業のための不動産や会社の株式を生前贈与することで親の意思を反映できます。
(イ)不動産などは遺産分割協議が整わなければ名義を変えたり換価したりすることが難しいので、生前贈与をすることで相続時のトラブルを防ぐことができます。
しかし、他の相続人の同意を得ておかないと逆に紛争がおこるおそれもあります。
不満がある相続人は『遺留分減殺請求』をして遺留分に満たない額を請求することができます。
生前贈与のデメリット3つ
- 贈与税がかかる
年間110万円を超える贈与には贈与税が課税されます。贈与税は相続税よりも税率が高いので、一般的には相続よりも贈与の方が多く税金を納めることになります。
- 登録免許税、不動産取得税がかかる
不動産を贈与されたときは登記を行ないます。この不動産の贈与登記の際に登録免許税を不動産評価額に対して20/1,000の税率で納付しなければなりません。
相続登記の税率が4/1,000ですので、贈与の方が割高の登録免許税を納めることになります。
また、相続によって不動産を取得したときには不動産取得税はかかりませんが、贈与の場合には課税されます。土地の場合は固定資産税の評価額の1/2、建物の場合は評価額のままが課税対象となり、住宅の場合は3/100の税率で納めることになります。
- 遺留分減殺請求をされるおそれ
兄弟姉妹以外の相続人(具体的には子供や配偶者等)は、法定相続分の一定割合を遺留分として保護されています。
親が亡くなる前に相続人に対して贈与したものは、亡くなる前10年間に行なった財産は相続財産に割戻して計算することになります。(民法1044条3項)
利用できる特例と贈与をするときの注意点
-
生前贈与をするにあたって、有利に使える特例があります。特例を利用するには必ず申告が必要です。
利用できる税制5つを紹介します。
- 相続時精算課税制度
60歳以上の親等から30歳以上の子や孫に2,500万円を限度に贈与時に贈与税を課税しないで相続時に贈与した額を相続財産に加算して相続税を計算する特例です。
2,500万円を超す贈与に対しては一律20%の税率で贈与税が計算されます。
また、相続時精算課税制度を選択した以降は110万円の暦年贈与の特典を受けることができなくなります。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4103.htm
- 居住用不動産の配偶者控除
婚姻期間が20年以上の夫婦間では住宅用の不動産または購入資金の贈与をしても2,000万円まで控除されます。暦年贈与の110万円も加算できます。
同じ配偶者間では一生に一度だけ利用できます。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4452.htm
- 住宅取得資金の贈与
親等から子や孫に対して最高1,500万円まで住宅用家屋の取得資金として贈与をしても非課税になる特典です。
もらう側に所得制限があり、現在のところ令和3年12月31日までが適用期間とされているので要件を確認のうえ利用してください。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4508.htm
- 教育資金の贈与
親等から30歳未満の子や孫に対して1,500万円を限度に贈与しても贈与税が課税されません。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4510.htm
- 結婚・子育て資金の贈与
親等から20歳以上50歳未満の子や孫に対して結婚や子育て資金を贈与しても1,000万円までは非課税となります。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4511.htm
贈与するときの3つの注意点
相続するまで待つか、生前贈与を選択するか、悩むところですが、決める前にまず次のことを考慮してください。
- 相続税がかからないなら節税対策で生前贈与をしない
そもそも相続税の節税対策のために生前贈与を考えるのなら、相続税を収める必要があることが前提です。
万が一相続開始した時に、相続税をいくら払うことになるのか、試算してみましょう。
配偶者が相続する場合は、法定相続分または1億6,000万円のどちらか高い額まで相続税がかからないので、こちらも念頭に置いて計算しましょう。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4158.htm
そのうえで、生前贈与にかかる贈与税やその他費用を比較して、どれくらいのメリットがあるかを考えるのが得策です。
- 定期贈与とみなされないように
毎年同じ時期に暦年贈与額110万円を贈与していくと税務署がはじめから一定額を贈与することになっていたと認定して贈与税を加算されるおそれがあります。また相続税を逃れるために贈与を仮装しているのではないかと疑われることもあります。
そのため、毎年贈与契約書をきちんと作成し、その都度振込などで贈与の事実が証明できるようにすること、また、贈与されたものが金銭ならば、贈与を受けた側が自分で通帳などを保管し管理することが大事です。
- 死亡前3年以内の贈与は相続税の対象
相続開始前3年以内の贈与は相続税を計算するうえではなかったことになり贈与した財産も相続財産として計算されます。
(ア)『相続を受けた人』が贈与を受けた財産が対象となるので、相続人ではない孫などが受けた贈与は対象になりません。
(イ)次の特例税制を利用した贈与は対象になりません。
➀配偶者控除
➁住宅資金の贈与
➂教育資金の贈与
④結婚・子育て資金の贈与
(ウ)贈与をしたときの価格を加算するので相続時の価格ではありません。
(エ)贈与をしたときに納めた贈与税は、相続税から控除されます。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4161.htm
相続がいいのか、生前贈与がいいのか、各人の個別の状況によって変わってきますので、悩んでいるかたはまず税理士など専門家に相談することをお勧めいたします。
急な転勤…持家はどうする!?
持家をどうするかの選択肢はどのようなものがあるのでしょう
転勤になったら持家はどうすれば良いのでしょうか。
5つの例でそれぞれのメリットとデメリットを整理してみましょう。
1 単身赴任
2 家族全員で引っ越す
① 売却
② 賃貸
③ 空き家
④ 管理委託
転勤をするにあたって単身赴任をした場合に家賃補助や帰省手当てなどの会社からの補助はどれくらいあるのでしょうか。
他の家族はどのような意見でしょうか。
子供が幼ければ問題も少ないでしょうが、進学を控えていれば進路のことが気になりますし、子供は友達と離れることに抵抗を感じてしまいます。
住宅ローンはどれくらい残っているでしょうか。
売却しなければ自宅を持ち続けることによって住宅ローンを引き続き支払う必要があります。
転勤の期間が決まっているのでしょうか。
どのくらいの期間が予想されるかによって選択肢も変わってくるでしょう。
また、転勤が終わっても持家に戻る気持ちがあるでしょうか。
単身赴任
メリット
- 家族が引き続き自宅に住み続ける場合は、住宅ローンの借主が国内に単身赴任なら住宅ローン控除がそのまま使えます。
住宅ローンの借主が国外に単身赴任をする場合には自宅を購入した時期によって違いがあります。
➤ 赴任先が海外なら使えない場合もある
No.1234 転勤と住宅借入金等特別控除等
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1234.htm
- 子供や家族は今まで通りに生活ができます。
- 引き続き家族が住むので自宅の掃除や風通しなどの管理の心配をしなくてもすみます。
デメリット
- 住宅ローンが残っていれば単身赴任先の生活と二重生活なので、家具や自宅に帰る移動費用、食費などが二重の負担になってしまいます。
- 家族が離れ離れになることで単身赴任をする人に精神的な悪影響がある場合もあります。性格的に単身赴任に合わない人もいるでしょう。
- 料理が苦手な人もいるので外食が続いてしまう場合は、健康にも食費にも心配がでてきます。
家族全員で引っ越す
家族全員で引っ越しをして、自宅は売却や賃貸を考える場合に共通するメリットとデメリットがあります。
メリット
- 家族がずっと一緒にいられることは最大のメリットといえるでしょう。
デメリット
- 住宅ローンは住宅として利用する目的で不動産を買うための資金です。
家族全員で引っ越しをすればその利用目的からはずれることになるので、住宅ローンの一括返済をしなければならないおそれがあります。
転勤を理由で家族全員が引っ越す場合には、やむをえない理由だとして引き続き住宅ローンが利用できる金融機関もありますので、まずは利用している
金融機関の担当者とよく相談をしてください。
相談をしないで引っ越しをしている場合は、条件違反だとして一括返済を迫られる場合もあるので注意が必要です。
- 家族全員が引っ越して自宅に住んでいない場合には住宅ローン控除が使えません。
転勤が終わって自宅に帰った場合には残りの期間については、また使えるようになります。
- マンションの場合は家族全員が引っ越して住んでいなくても持ち続ける限りは管理費や修繕積立金などの支払が必要です。
- 留守にすれば家はどうしても傷みますので、掃除や換気などの管理が必要です。
売却
家族全員で引っ越しをして転勤が終わっても自宅に帰る予定がないのなら、売却をするのもよいでしょう。
1 良い条件で売却するには『一括査定』という方法もあります
複数の会社に同時に査定額を出してもらえるのが『一括査定』です。複数社で見積をだしてもらって、最も条件がよい会社を選びましょう。
売却額の査定がでれば住宅ローンの残高と照らし合わせて住宅ローンの返済のめどをたてましょう。
2 引っ越す前に売るか、引っ越した後に売るかを決めましょう。
(ア)引っ越し前だと居住しながら売るので購入希望者への内覧対応が必要です。
まだ自宅に住んでいるので内覧に抵抗を感じる方もいます。
(イ)引っ越し後なら家をきれいにして内覧も抵抗なくすることができます。
内覧や売却活動を自宅の地元の不動産会社に一任することができるので、引っ越し先でゆっくりとすることができます。
3 売却をする場合には税金に注意をしてください。
(ア)短期譲渡
取得後5年以内の売却は短期譲渡といい、譲渡所得がでる場合には5年越しの売却と比べて高額の譲渡所得税を納める必要があります。
(イ)自宅を引っ越してから3年以内に売却すると特例があり、譲渡所得税の軽減をうけることができます。
① 損益通算
② 3,000万円特別控除
No.3302 マイホームを売ったときの特例
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3302.htm
メリット
- 自宅を売却することにより不動産を現金化できます。住宅ローンが残っている場合には住宅ローンをまず返済しなければなりません。住宅ローンの残高を確認しましょう。
- 売却することにより自宅の固定資産税やマンションの管理費などの維持費がかからなくなります。
- 空き家のように換気や掃除など自宅の管理をする必要がなくなります。
- 賃貸にした場合と比べてリフォームや家賃の回収の心配がなく賃貸管理が不要です。
- 売却により住宅ローンが完済できれば住宅ローンから解放されます。
デメリット
- 一度自宅として住んでいるため中古物件となり、購入時よりも安くなるのが一般的です。
- 売却には手間や費用がかかります。すぐに買い手がみつかるとは限りません。
- 売却価格が住宅ローン残高よりも安ければ住宅ローンを一括返済できないおそれがあります。手元資金の持ち出しが必要になり、手元に資金がない場合には住宅ローンよりも利率が高い借り入れをする場合もあります。
- 転勤が終わってもとの職域に戻った時に住むところを一から探さないといけなくなります。
➤ 新しく購入するときは、自宅を買った時と同じように仲介手数料などの費用と手間がかかります。
➤ 気に入って購入した現在の家と同じ物件は二度と手に入らないこともあります。
賃貸
普通に住宅として賃貸契約をすると簡単には賃貸契約を解約することができなくなります。一定期間に戻ってくるなら必ず『定期借家契約』にすることが大事です。
メリット
- 家賃収入が得られます。
- 賃借人が住むので家の管理維持の手間が省けます。
- 引き続いて不動産を持ち続けることができます。
デメリット
- 他人に賃貸し、自宅を使われることに抵抗感がある人がいます。
- すぐに賃借人が見つかるとは限りません。
特に定期借家契約だと借りられる期間が限られるため借りたい人が限られます。
また、借りる人が限定的だと貸し出す家賃も低くなってしまいます。
- 賃借人がいれば元の職域に戻ってもすぐには持家に住むことができません。
明け渡してもらうまでは戻ってきても自宅に住むことができなくなります。
また長期になればリフォームやハウスクリーニングが必要になることもあります。
賃借人が代わったときのリフォームは原則家主の負担です。
特別に乱暴に扱ったために残った傷みを除き、普通に使用しての劣化は賃借人に請求することができません。
自宅を賃貸にする場合には住宅ローンが利用できなくなるおそれがあります。
ローンを組みかえて収益物件の借り入れにすると利息が高くなることが通常ですので、以前と比べて月々の返済額が上がることになります。
賃料収入が増えるとはいえ、どれだけの収支があるかを予測しましょう。
- 賃借人によっては家賃滞納のリスクがあり、乱暴な賃借人だと自宅を荒らされるリスクもあります。
- 途中で売る気になっても売却しにくいことがあります。
借家人がいれば収益物件の扱いになるため、売却価格が空き家に比べてさがるおそれがあります。
また、収益物件の場合はファミリータイプだとワンルームに比べて収益性が低いために売却しにくいのが一般的です。
空き家
メリット
- 持ち続けていれば好きな時にいつでも戻ってこられます。
- 自宅に荷物をそのまま置いて行かれるので、転勤先には必要なものだけ持っていくことができます。
- 売却しないので自宅をそのまま持ち続けることができます。
- そのまま持ち続けるので売買契約や賃貸契約などの面倒な手続きがいりません。
デメリット
- ローンが残っていれば転勤先の家賃などと二重の支払をする必要があります。
- 空き家にしておくと家の傷みが早いので、風通しをしたり自宅に帰るための費用や補修費など管理維持のための手間や費用がかかります。
- 空き家にしていればどうしても家の劣化が早まるおそれがあります。
管理委託
誰にも貸さないで第三者に管理を委託することも考えられます。
その場合は次の共通のメリットとデメリットがあります。
メリット
- 他人に使われなくてすみます。
- 自宅なので自分の都合に合わせて戻ってこられます。
デメリット
- ローンが残っていれば転勤先の家賃などと二重の支払をする必要があります。
- 委託管理費のコストがかかります。
- 賃料収入がないのでローン負担が重くなります。
管理会社に委託する場合には次のメリットやデメリットがあります。
メリット
- プロだと安心して管理をまかせることができます。
- 管理会社所定の管理メニューに従う必要があるのでこちらの都合どおりにはいきません。
デメリット
知り合いに管理を依頼する場合には次のメリットやデメリットがあります。
メリット
- 管理会社に依頼するよりも管理コストに融通がきくでしょう。
- また管理の内容もお互いに話ができるので融通がききます。
デメリット
- そもそも頼める人がいない場合もあるでしょう。
- 依頼をされる側は素人なので、どうしても目が届かないところもあるでしょうし、限界があります。
転勤は社内での飛躍のチャンスですが家族に与える影響も大きいもの。メリットとデメリットを家族全員で話し合い、後悔しない転勤をなさってください。
防災マップと不動産取引の関係とは?
防災マップとは
防災マップとは地図上でその地域にどのような災害のおそれがあるかを示したものをいいます。防災マップでは被害の影響だけではなく、避難場所や避難経路の確認ができます。
国内では昔から地震や水害などの自然災害が多くおきてきました。過去のデータから、これから想定される被害範囲をまとめることで地域の人に注意喚起し、少しでも被害を防ぐことが防災マップの目的です。
防災マップの入手方法3つ
1.国土交通省のサイト
国土交通省では『ハザードマップポータルサイト』を公開しています。
https://disaportal.gsi.go.jp/
このサイトでは①『重ねるハザードマップ』と②『わがまちハザードマップ』が用意されています。
①重ねるハザードマップでは洪水、『土砂災害』、『高潮』、『津波』、『道路防災情報』、『地形分類』の項目ごとに表示でき、お互いを重ね合わせて表示することもできます。
また過去と現在の航空写真を比べて造成工事の様子をみることができますし、高低差も色分けでわかりやすく表示できるようになっています。
また過去の代表的な災害情報もこちらで入手できます。
②わがまちハザードマップではそれぞれの市町村のハザードマップに案内されます。
2.各自治体のサイト
各市町村で独自に防災マップを準備していますので、『市町村名+防災マップ』で検索してみてください。
参考に福島県、宮城県、茨城県がそれぞれ公開している防災マップへのリンクを紹介します。
福島県
https://www.pref.fukushima.lg.jp/sec/16025b/bousaimap.html
宮城県
https://www.pref.miyagi.jp/soshiki/kasen/ki-kouzui-hm.html
茨城県
https://www.pref.ibaraki.jp/doboku/kasen/keikaku/shinsui.html
3.市町村役場・役所の窓口
各市区町村役場・役所では紙の防災マップを配布していますのでお出かけの際に確認されることをおすすめします。
災害リスクは契約前にする重要事項説明項目
宅建業法により、不動産会社は買主に対して、土砂災害や津波災害について売買契約成立前に説明することが義務付けられていましたが、新たに2020年8月以降は水害についても説明義務が追加されました。
地震については、その予測が難しいためでしょうか、今のところ重要事項説明の対象になっていません。
重要事項説明は契約成立前に行う
重要事項説明は売買契約成立前にしなければならないとされています。そのため、買主がその物件を契約するか否かの判断材料となります。
事前の調査で納得して買う
購入の検討をはじめるときに災害リスクの情報を把握しておくことで、新築であれば災害リスクを軽減する対策を施工会社に求めることができますし、中古住宅であればリスク対策の費用として売買価格を交渉してくる買主もおります。
自身で災害リスクを把握しておくことで、「リスクはあっても希望条件にあっているから購入したい。」「同じリスクがあるならこちらの物件の方が条件がよい。」と選択できる余裕ができます。
不動産は高額な買い物です。事前に十分な調査をし、選択のうえで納得したと満足できる買い物をしたいものです。
査定への影響
例えば防災マップに浸水被害が予想されるとあっても、今までの取引事例や公示地価などは、既に災害情報をおりこんでいるため、査定への影響はありません。
しかし、新たに土砂災害のリスクがあると指定されたり、直近に実際に水害にあったりすれば買い手の需要が少なくなるため、どうしても売買価格に影響を及ぼすことは免れません。
それでも駅に近いとか、商業地に近いとか、リスクと利便性との比較によって売買価格への影響の大小が違ってきます。
販売のプロに相談
防災マップの災害リスクがある地域に分類されているとか、以前災害にあった土地だとか、売却にあたりいろいろと心配される方もいらっしゃることでしょう。そういったときこそ、経験豊富な不動産売却のプロに相談しましょう。
どうすれば買い手がつくか、良い条件で売却できるか一緒に考えてもらえます。