現在空家となっている家の取得理由は相続で取得したものが約55%でトップとなっており、相続人の居住地と離れているため空家のまま利用されずにいることが、空家増加の原因となっています。
空家政策の現状と課題及び 検討の方向性
管理不全空家を改善するための方法
空家のまま放置しておけば税制上のメリットが享受できなくなるデメリットだけでなく、景観の悪化や防犯リスクが高まることなど地域にも悪影響を及ぼすおそれがあります。
ここでは、管理不全空家を改善するための方法について、主な対策をご紹介します。
管理不全空家を改善するための主な対策
主な対策として次のような方法があります。
- 定期的な点検と清掃
建物の劣化を防ぐために、定期的に点検を行い、必要に応じて修繕をします。
敷地内の清掃や庭木の剪定、郵便物の確認・整理なども重要です。
- ライフラインの維持
電気、水道、ガスなどのライフラインを定期的にチェックし、通水や通気を行うことで、建物の劣化を防ぎます。
- 空家の活用
空家を売買用の住宅や、用途替えをしてカフェなどの商業施設として活用することも可能です。
- 解体と跡地利用
建物が著しく劣化している場合は、解体を行い、跡地を広場や駐車場、新しい建物の敷地として活用することができます。
- 自治体との協力
「空家等対策の推進に関する特別措置法」に基づき、自治体からの指導や勧告に従い、管理不全空家とならないように対策を講じます。
- 補助金や税制措置の活用
空家の活用や除却に関する補助金や税制措置を活用することで、経済的な支援を受けることができます。
これらの方法を通じて、管理不全空家の問題を改善し、地域社会に悪影響を及ぼすことを防ぐことができます。
具体的な対策については、地域の状況や空家の状態に応じて最適な方法を選択することが重要です。
さらに詳しい情報や支援が必要な場合は、お住まいの市区町村の担当部署に相談すると良いでしょう。
空家を活用するためのアイデア
空家を活用するためのアイデアは多岐にわたります。
以下にいくつかのアイデアをご紹介します。
- 戸建て賃貸
空家をリフォームして、家族向けの賃貸住宅として提供することができます。
- 賃貸アパート・マンション
複数の住戸に分けて、賃貸アパートやマンションとして運用することも可能です。
- 太陽光発電
屋根や敷地を利用して太陽光パネルを設置し、発電した電力を売電することで収益を得ることができます。
- 福祉施設
地域に必要な福祉施設として活用することで、社会貢献と収益の両立が可能です。
- トランクルーム
不要な物の保管スペースとして提供し、トランクルームとして運営することができます。
- コインランドリー
地域にニーズがあれば、コインランドリーとして活用することも一つの方法です。
- 駐車場
敷地が広ければ、駐車場として貸し出すことで安定した収入を得ることができます。
- 民泊
観光地や都市部では、民泊として提供することで高い収益を期待できます。
- コワーキングスペース
リモートワークの普及に伴い、コワーキングスペースとして提供することも良い選択肢です。
これらのアイデアは、空家の状態や立地、地域のニーズに応じて選択することが重要です。
また、自治体の補助金や税制措置を活用することで、リフォームや運営のコストを抑えることができる場合もあります。
詳しい情報や具体的な事例については、専門の相談窓口やウェブサイトで確認すると良いでしょう。
空家の活用や除却に関する補助金や税制措置
空家の活用や除却に関する補助金や税制措置には、以下のようなものがあります。
- 空家対策総合支援事業
空家法の空家等対策計画に基づき、市区町村が実施する空家の除却・活用に係る取り組みや、事業者が行うモデル性の高い空家の活用・改修工事等に対して支援が行われます。
- 固定資産税等の住宅用地の特例
住宅やアパートなど、人が居住するための家屋の敷地として利用されている土地(住宅用地)に対して、税負担が軽減される特例があります。
- 空家の譲渡所得3千万円の特例
令和5年度税制改正により、空家の譲渡所得に対して3千万円の特例が設けられています。
- 市区町村の補助金制度
市区町村でも、空家の活用を目的としたリフォームを支援する補助金制度が実施されており、国の補助金制度との併用も可能です。
これらの補助金や税制措置を活用することで、空家の活用や除却にかかる費用を抑えることができます。
詳細な情報や申請方法については、お住まいの市区町村の窓口や国土交通省の公式サイトで確認すると良いでしょう。
「空家等活用促進区域制度」
「空家等活用促進区域制度」とは、空家や空き地などの有効活用を促進し、地域の活性化を図るために設けられた制度です。
この制度により、市町村は空家等の活用を重点的に行うエリアを「空家等活用促進区域」として指定し、その区域内で空家の所有者に対して活用を働きかけたり、建築基準法などの規制の合理化を図ることができます。
具体的には、以下のような措置が講じられます。
市町村は、空家等の所有者に対して、経済的社会的活動の促進のために誘導すべき用途としての活用を要請することができます。
市町村は、都道府県と連携して、建築基準法等の規制の合理化を図り、空家等の用途変更や建替え等を促進することができます。
地方住宅供給公社や都市再生機構(UR)などが、空家の買取分譲、所有者と活用希望者のマッチング、サブリースなどの業務を実施することが可能です。
この制度は、空家等が地域の活力を低下させることなく、逆に地域の活性化に寄与するような活用が期待されています。
詳細なガイドラインや対象エリア、特例適用要件などは、国土交通省の公式文書や市町村の計画によって定められています。
まとめ
空家は年を追うごとに増えており、適正に管理されずに空家のまま放置されていると建物の劣化が早まり、倒壊の危険、ゴミの放置、放火や不法侵入などの犯罪リスクの高まりなどさまざまなリスクが高まります。
このようなリスクは近隣住民や地域に悪影響を及ぼすばかりか、所有者自身にも固定資産税の増加などのおそれがあります。
今回の記事でご紹介したように、空家を有効活用するための補助制度もありますから有効に活用し、また、建物の解体や売却なども考慮することで、空家を負の財産から有益な資産へと転換を図ることを検討されてはいかがでしょうか。