権利証が無い場合の引渡し方法

所有権移転には「権利証」が必要です。権利証が見あたらないとき、紛失してしまったときどうしたらよいのでしょう。売買契約が近づいているのに権利証がなく困っている売主さんに、権利証がなくても不動産を売却できる方法について解説します。

また紛失した場合は悪用される危険性が心配です。そのような緊急時の対策についてもお伝えします。

 

 

不動産登記済権利証または登記識別情報の役割

「権利証」とは不動産の所有権を証明する書類と思われがちですが、正式には『登記が済んだことの証明書』をいいます。つまり『権利証を持っている人が所有者』ではありません。

普通は所有者本人が「権利証」を保管していますが、所有者以外が保管していることもあるわけです。他人に所有していることを証明するには、法務局から交付してもらう「登記事項証明書」によってできるのです。

では権利証の役割はなにかというと、所有権を制限する権利などを設定するさいに、他人が勝手に登記することのないよう、権利設定のさいに次の3点を揃えて申請しなければならないようにしています。

      1. 登記済権利証
      2. 実印を押印した登記申請書
      3. 実印であることを証明する印鑑証明書

つまり権利証の役割とは、『不動産の所有者本人であることを証明する3つの要件のひとつ』といっていいでしょう。

現在、登記事務はすべてコンピューター化されていますが、コンピューター化のなかで権利証も「登記識別情報」に、平成18年から平成20年の期間で変わっていきました。

登記識別情報の役割は登記済権利証と同じです。

 

 

権利証や登記識別情報通知を紛失したら

登記済権利証は登記申請したときの副本が所有者のもとに戻ってきたものですが、登記識別情報は「符号」のことであり書類ではありません。そこで「登記識別情報通知書」という書類として所有者のもとに、登記が完了すると交付されます。

では権利証や通知書を紛失した場合、どのような危険があるかについて解説します。

 

 

権利証紛失の危険性

権利証を紛失した場合であっても、実印と印鑑証明書を紛失していなければ心配いりません。

前述したように『権利証は所有者本人であることを証明する3つの要件のひとつ』ですので、実印と印鑑証明書が他人の手に渡っていなければ、権利証の悪用はできません

また権利証の再発行はできないので、売却するときにはほかの方法によって、所有者本人であることを証明します。

登記識別情報通知を紛失したときは、「登記識別情報の失効申出」をすることにより、登記識別情報として記載されていた符号を無効にすることができます。権利証と違い他人がなんらかの手段で悪用しようとしても何もできなくなるのです。

 

 

権利証のないときの所有権移転登記

所有権移転に必要な権利証がない場合は、登記をおこなう司法書士が所有者の証明をする方法があります。

本人確認証明情報」といいますが、代理資格のある司法書士が作成し、登記申請時に法務局へ提出します。

司法書士は運転免許証などの本人確認書類により所有者本人であることを確認し、その確認した事実を書面にして証明するものです。

この方法以外に以前から用いられた「事前通知」という方法がありますが、法務局との間で郵便によるやり取りをするため時間がかかります。そのため現在では「本人確認証明情報」により権利証がなくても登記が可能になっています。

ただし「本人確認証明情報」の作成には数万円の費用がかかります。

時間の余裕がある場合は、公証人による「本人確認情報制度」のほうが費用は安くなりますが、公証役場に出向かなければならないのが難点です。

 

 

登記識別情報を新しく発行するには

権利証を紛失したあるいは登記識別情報通知が見当たらない場合、登記識別情報を新たに発行してもらうには、登記をおこなうと可能です。

      • 地目変更
      • 分筆登記
      • 合筆登記
      • 相続登記

など、不動産の売却前に必要な登記があるケースでは、事前に登記手続きをおこなうので、そのときに新たに登記識別情報が発行されます。

これら売却前の登記は時間的に余裕があるので、前述の「本人確認証明情報」によらず「事前通知」により登記をおこなうと費用が安く済むのです。

事前通知制度とは

権利証や登記識別情報通知を添付しないで登記申請をおこないます。このとき権利証などがない理由を記載して申請します。すると法務局から所有者あてに「事前通知書」が郵送されてきます。この通知書は本人限定受取郵便なので他人や家族が受け取ることはできません。

本人が受取り、通知書に実印を押印して返送することにより、法務局は所有者本人の意思確認ができ、登記を実行するのです。

 

 

 

実印や印鑑証明書を紛失した場合

権利証とともに実印や印鑑証明書をなくした場合は、法務局に「不正登記防止申出書」を提出します。この制度は他人が登記申請をおこなった場合、法務局から通知が来ます。

通知が来ても登記そのものを止めることはできません。登記を止めるには裁判所に処分禁止の仮処分を申立てる必要があります。また法務局においても「不正登記防止申出書」がある場合は、登記申請人に対して本人確認をおこない、登記申請を却下する可能性もあるのです。

不正登記防止申出書の提出にあたっては、紛失した権利証や印鑑などの被害届と、印鑑登録廃止届けが必要です。申出をおこなうと有効期間は3ヶ月ですが、紛失した印鑑証明書の有効期限を経過するので、被害を防ぐことができるのです。

 

 

まとめ

権利証は大事な書類ですが万が一紛失したりした場合、権利証だけでは悪用の心配は少ないものです。

再発行はできませんが、権利証に代わる「所有者本人」を証明する3つの方法があります。

      • 本人確認証明情報
      • 本人確認情報制度
      • 事前通知制度

所有権移転の前に登記の必要がある場合には、新たに登記識別情報を交付してもらえることもでき、権利証がなくても不動産の売却は可能です。

実印や印鑑証明書も紛失した場合は危険性が高まるので、不正登記防止申出書により悪用を防ぐ方法もあるので不動産会社や法務局に相談してください。

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