
実家じまいを検討し始めたものの、手順・費用などわからないことが多く、お困りの方がいらっしゃると思います。
実家じまい完了までには多数の検討事項や手続きがあるため、全体像を把握して、ご自身にとって負担の少ない計画を組み立てたいですよね。
今回は宮城県・福島県・茨城県で多数のご家族の実家じまいをサポートしてきた不動産会社『イエステーション』が、実家じまいをスムーズに進める方法をわかりやすくお伝えします。
思い出を大切にしながら、実家の管理・維持の負担をすっきりと手放すために、ぜひ最後までごらんください。
宮城県・福島県・茨城県で実家じまいを検討中の方は、イエステーションへご相談ください。
実家の片付け・各専門家に依頼が必要な手続きなども含めてワンストップでサポートし、スムーズな実家じまいを実現いたします。
目次
Toggle実家じまいの手順|相続前or後の違い

「実家じまいとは所有者の親族が実家を処分すること」といった情報がインターネット上にありますが、本来の実家じまいは以下のような広い意味です。
- 所有者ご本人が、親族にとっての実家を売却・賃貸などに転用
- 所有者の親族が実家を売却・賃貸などに転用
- 所有者ご本人と親族が協力して、実家を売却・賃貸などに転用
そのため、実家じまいの手順は、「相続前or後どちらのタイミングで実施するか」で変わります。
具体的な手順を紹介するので、ご自身に該当する状況に応じてご確認ください。
実家じまいは何から始めればいいのか、いつから始めればいいのか
実家じまいは、「実家じまいの主役」を決めることから始めましょう。
相続前・後どちらの実家じまいであっても、以下のような項目を実施するうえで、ご親族の中心となる方が必要です。
- 最終的な意思決定
- ご親族間の各種調整
- 専門家への相談や依頼 など
また、実家じまいには、一般的に半年〜1年半ほどの期間が必要です。
特に「相続後の実家じまい」の場合は、「相続開始→遺産分割協議→相続税の納税」の期限が10ヶ月と長いため、実家じまいの期間を長く見積もっておくと、余裕を持って実家じまいに取り組めます。
相続前or後の実家じまいの手順の違い

政府が5年ごとに実施している「空き家実態調査」によると、相続によって空き家になる住宅のうち、相続前の段階で維持・管理などの対策をしている空き家は、わずか2割ほどです。
〈参考〉国土交通省ウェブサイト『令和6年空き家所有者実態調査』令和6年空き家所有者実態調査 結果のポイント
このデータを参考に、今回は「これまでご親族間で、実家じまいに関する話し合いをまったくしたことがない」と仮定して、相続前or後の実家じまいの手順を紹介します。
| 相続前の実家じまい | 相続後の実家じまい |
|---|---|
| – | 【相続発生直後】 遺言書がある場合は「開封せずに家庭裁判所の検認を受ける」など、正式な手続きを経てから実家じまいを検討し始める ↓ 【相続発生〜4ヶ月以内】 被相続人(実家所有者)の所得税を申告・納税 |
| 手順①「実家をどうするか」を決める | |
| 所有者に「実家をどうしたいか」の意思確認 ↓ 実家じまいの方法(売却・賃貸など)に応じて、費用※1を確保 ↓ 所有者の住み替え先を検討・決定 ↓ 所有者の住み替え手続き | 遺産分割協議で実家の相続人を決定 ↓ 実家の相続人全員で以下を協議(相続人全員の同意が必要) ・実家をどうするか ・実家じまいに必要な費用※1の負担割合 ・必要に応じて各種手続きの役割分担 ↓ 【相続発生〜10ヶ月以内】 相続税の申告・納税 ↓ 実家の名義変更(相続登記) |
| 手順②実家の片付け・売却などを同時進行 | |
| ・売却・賃貸など実家じまいの方法に応じて書類を探す(権利書など) ・「残すもの・譲るもの・捨てるもの」に分けて、実家を片付け(室内・屋外どちらも) ・必要に応じて近隣の方へこれからの動きを伝えておく ・実家の所有中は維持・管理(庭の手入れ・郵便物の整理など)を継続 【売却・賃貸の場合】 ・実家売却・賃貸の仲介を依頼する不動産会社を選ぶ ・売却の場合は、査定を受ける ・賃貸の場合は、詳細な条件を決める ・売却・賃貸の広告活動 ・必要に応じてリフォームを実施 【解体して土地売却or土地活用の場合】 ・解体を依頼する業者を選定 ・近隣の方へ解体日などを伝えて挨拶 | |
| 手順③実家じまいの方法に応じて確定申告・納税が必要 | |
| 売却の場合は翌年のみ・賃貸の場合は毎年、確定申告・納税が必要となるため、納税資金を確保 【売却の場合】 ・売却の翌年3月15日までに、譲渡所得税の確定申告・納税 ・売却の翌年6月頃に住民税の納税通知書が郵送で届くので、期限に応じて納税 ・実家所有中は毎年4〜6月頃に固定資産税の納税通知書が郵送で届くので、期限に応じて納税 【賃貸の場合】 ・毎年3月15日までに、不動産所得の確定申告・納税 ・住民税・固定資産税に関しては売却の場合と同様 | |
※1 実家じまいの費用は、のちほど「実家じまいの費用|費用を軽減できる国・自治体の補助金・減税制度も確認」で確認できます。
「相続前に実家じまいをする手順」については、「実家の所有者に意思能力がある」と仮定して紹介しました。
所有者に意思能力がない状態で売却・賃貸などの契約をする場合には、「成年後見制度を利用※or相続発生まで実家じまいを延期」を検討する必要があります。
実家じまいのベストタイミングは、相続前・後のメリット・デメリットを把握して検討

実家じまいの手順を確認したことで、「相続前・後どちらのタイミングで実家じまいをするとしても、メリット・デメリットがありそう」と感じた方がいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで次に、現時点で実家じまいのタイミングを選べる状況の方へ、ベストタイミングの判断に役立つ情報をお伝えします。
- 実家じまいを検討するべきタイミングは主に7パターン
- 相続前に実家じまいをするメリット・デメリット
- 相続後に実家じまいをするメリット・デメリット
実家じまいを検討するべきタイミングは主に7パターン
実家じまいは、一般的に以下のような状況で緊急性が高まり、実行されるケースが多数です。
- 実家に居住している方の健康上の問題で、居住を継続できない(施設入居など)
- 実家に居住している方の高齢化などにより、管理を継続できない(掃除・庭木の手入れなど)
- 実家に居住している方の世帯構成・ライフスタイルの変化により、住み替えが必要(自動車免許返納など)
- ご親族との同居などをきっかけに、実家を売却して資金を確保したい
- 実家の老朽化により、安全に暮らせない(耐震性が低いなど)
- 世帯構成が高齢者のみの場合、防犯面への強い不安を感じるようになった(侵入犯罪など)
- 既に空き家になった実家の、「3,000万円控除の特例※」を適用できる期限が迫ってきた
※「3,000万円控除の特例」とは、所有者ご自身がマイホームを売却する際に、譲渡所得税を大幅に減額できる減税制度です。
こちらの記事で、詳細な適用条件などを確認できます。
〈関連ページ〉自宅売却の税金がかからない場合は主に2パターン|3000万円控除の特例、申告方法など簡単解説
ただし、本来は緊急性がない段階でも、所有者・親族間で実家じまいの話し合いをしておくのがベストです。
理由は、相続前の実家じまいには「所有者の意思能力※」が必須のためです。
所有者の意思能力がない状態※で実家じまいに関連する契約等を結ぶと、契約が無効となる可能性があります。
※「所有者の意思能力がない状態」とは、「認知症が進行して契約の内容を理解できない」などの状態のことです。
相続前に実家じまいをするメリット・デメリット

緊急性が高い中での実家じまいは焦りが先に立ちますが、ご家族の状況に応じて相続前or後どちらがベストタイミングなのかを冷静に判断する必要があります。
相続前に実家じまいをするメリットは、以下のとおりです。
- 思い出の品を、所有者の意思を確認しながら丁寧に分配できる
- 不動産は定期的にさまざまなコスト(固定資産税・火災保険など)が発生するため、売却などによって所有者の手元に残る資金が増える
- 所有者ご自身が3000万円前後の価値の実家を売却する場合、減税制度によって、納税負担※を大きく減額できる可能性がある
- 近年、都市部では不動産価格が上昇傾向で、郊外でも不動産価格の高値が維持されているケースが多いため、好条件での売却・賃貸などへの転用が実現する可能性がある
- 実家を現金化すると相続時に1円単位での分配が可能なので、相続争い回避につながる
- 次の世代に実家じまいの負担・空き家管理の負担を残さずに済む
※実家売却時の納税負担を軽減できる制度を、のちほど「実家じまいの費用を軽減できる減税制度|相続税・譲渡所得税・固定資産税など」で確認できます。
相続前に実家じまいをするデメリットは、以下のとおりです。
- 相続税の減税制度「小規模宅地等の特例※」が適用されなくなるため、実家の価値が高い場合は、現金化によって相続税が高額になる可能性がある
- 相続税計算時の不動産評価額は時価の7〜8割だが、実家売却によって現金化すると評価額が100%となるため、実家の価値が高い場合は相続税が高額になる可能性がある
- 実家売却の利益額によっては、翌年の「住民税・介護保険料・医療費の窓口負担」が大きく増加する可能性がある
- 将来価値が上昇する不動産を売却する場合は、現金化によって価値上昇の恩恵を受けられなくなる
※「小規模宅地等の特例」とは、330㎡までの宅地等の相続税評価額を80%減額できる、相続税の減税制度です。
相続前の実家じまいは、以下のようなケースに向いています。
- 現時点で所有者が実家に住んでいるor実家が空き家になって間もない
- 実家の価値が3000万円以下で、実家のほかに高額な資産を所有していない
- 所有者の住み替えが必要で、資金を確保したい
- ご親族間で話し合いながら、ゆっくり実家じまいをしたい
相続後に実家じまいをするメリット・デメリット

相続後に実家じまいをするメリットは、以下のとおりです。
- 実家の価値が高い場合は、減税制度によって相続税を大幅に減額できる可能性がある
- 実家所有者の住み替え負担がない
- 実家の市場価値の上下を見極めながら、売却のタイミングを判断できる
- 実家所有者が実家じまいの費用を負担しないので、手元資金を残しやすい
相続後に実家じまいをするデメリットは、以下のとおりです
- 譲渡所得税の計算に必要な「取得費(実家購入費用など)」の書類保管場所がわからない場合、譲渡所得税の計算の決まりで、「高額の譲渡益を得た」とみなされるケースがある
- 実家じまいが完了するまで、相続人が維持・管理の負担をすることになる
- 売却する場合、売却時の登記だけではなく相続登記も必要なため、実家の相続人に費用負担が発生する
- 実家の所有権をめぐって相続トラブルが起きるケースがある
相続後の実家じまいは、以下のようなケースに向いています。
- 実家の価値が高く、売却時の減税よりも相続時の減税のほうが、納税負担が少ない
- 実家じまいが完了するまでの間、無理なく維持・管理できる
ここまで紹介してきたとおり、相続前or後どちらのタイミングで実家じまいをするべきかを判断する際には、譲渡所得税・相続税などの知識が欠かせません。
特に「実家の価値が3000万円以上」「相続人が少数」「実家以外にも高額な資産がある」といった場合には、各相続人の税負担が重くならない対策をするのがベストです。
そのため、実家じまいのタイミングは税理士・弁護士へ相談しながら検討することをおすすめします。
宮城県・福島県・茨城県で実家じまいを検討中の方は、イエステーションへご相談ください。
地域専門の担当者が、実家のスムーズな売却はもちろん、実家じまいに関する手続きなどをワンストップでサポートいたします。
実家じまいの費用|費用を軽減できる国・自治体の補助金、減税制度も確認

実家じまいのベストタイミングを判断する方法を確認してきましたが、「実家じまいの費用もタイミングの判断に影響する」とお考えの方がいらっしゃると思います。
次に、実家じまいの「費用」「費用を軽減する方法」も一緒に確認しましょう。
実家じまいの費用相場|売却費用・解体費用・片付け費用など
実家じまいの手順の中で発生する費用をピックアップして、一覧表で相場を紹介します。
| 項目 | 費用相場 |
|---|---|
| 家庭裁判所で遺言書の検認を受ける費用 | ・ご自身で手続き:3千円前後 ・弁護士等に代理を依頼:10万円前後 |
| 被相続人(実家所有者)の所得税 | 被相続人の所得による (相続人全員が相続割合に応じて納付し、相続税計算時に相続財産から差し引く) |
| 遺産分割協議の代理人費用 | 状況に応じて依頼先を検討。 ・弁護士:ご自身の相続額の10〜20%前後(難航する場合に依頼) ・司法書士:遺産総額の1〜2%前後(実務的な手続きを依頼) ・税理士:遺産総額の1%前後(相続税申告に関連する手続きを依頼) ※最低報酬が設定されているのが一般的です。 |
| 実家売却時に不動産会社へ支払う仲介手数料 | 売却価格 × 3.3%〜5.5% (税込) |
| 実家売却時の登記費用 | 5万円前後 |
| 相続登記の費用 | 20〜30万円前後 |
| 所有者の住み替え費用 | ・引っ越し費用:10〜30万円前後 ・賃貸の場合:家賃×5ヶ月程度 |
| 実家の片付け費用 | ・ご自身で片付け:数万円〜10万円前後 ・遺品整理業者などプロに依頼:20〜50万円前後 |
| 売却・賃貸にあたってリフォームする費用 | ・ハウスクリーニングのみ:10万円前後 ・水回り交換:300万円前後 など |
| 住宅の解体費用 | 8万円/坪前後 (例:延床面積30坪の場合は240万円前後が相場) |
| 実家売却の譲渡所得税・住民税 | 譲渡所得※1×20〜39%前後 |
| 実家賃貸の不動産所得税・住民税 | (収入-経費)×15〜30%前後 |
※上記の費用はあくまでも相場で、実際の費用は状況によって変わることを、あらかじめご了承ください。
※「譲渡所得」を簡単にいうと、「売却価格」から「実家取得から売却までに発生した費用」を差し引いたものです。
〈参考〉仲介手数料:国土交通省ウェブサイト『<消費者の皆様向け>不動産取引に関するお知らせ』
こちらの記事で、実家売却時の解体費用相場・解体費用の負担者などを確認できます。
〈関連ページ〉古家付き土地を売却する際の解体費用相場|解体費用は誰が払うのか・本当に解体するべきかなど注意点も解説
実家じまいの費用を軽減できる国・自治体の補助金

実家じまいの費用の中で特に高額な「住宅の解体費用」「住宅のリフォーム費用」については、自治体が独自の補助金事業で支援をしている場合があります。
お住まいの自治体のホームページなどで、最新の補助金情報を確認しましょう。
今回は例として、実家じまいに活用できる宮城県・福島県・茨城県の補助金を紹介します。
| 自治体例 | 補助金概要 |
|---|---|
| 宮城県仙台市 | 仙台市特定空家等除却促進補助事業 ・補助額:最大50万円 ・対象:空き家の解体 |
| 福島県郡山市 | 郡山市空家地域活用支援事業補助金 ・補助額:最大100万円 ・対象:空き家を地域コミュニティの維持・再生に活用できる施設(滞在体験施設・交流施設など)にリフォーム |
| 茨城県日立市 | 空き家解体補助金(利活用型) ・補助額:最大50万円 ・対象:空き家を解体後に売却など |
〈参考〉
・仙台市トップページ>検索窓に「仙台市特定空家等除却促進補助事業」と入力して検索
・郡山市トップページ>検索窓に「郡山市空家地域活用支援事業補助金」と入力して検索
・日立市トップページ>検索窓に「空き家解体補助金(利活用型)」と入力して検索
実家じまいの費用を軽減できる減税制度|譲渡所得税・相続税

国は「空き家問題解消」「不動産の流通促進」などを目的とする減税制度を実施していて、実家じまいに活用できる可能性があります。
| 減税制度 | 概要 |
|---|---|
| 譲渡所得税 | |
| 居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例ほか※ | 所有者ご自身が居住している住宅を売却する場合に、譲渡所得税の計算のもとになる「売却益」から3000万円を差し引ける |
| 被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例 | 相続で被相続人が居住していた住宅を取得し令和9年末でに売却する場合、譲渡所得税の計算のもとになる「売却益」から3000万円を差し引ける |
| マイホームを売ったときの軽減税率の特例 | 所有期間が5年以上・10年以上の、ご自身が居住している住宅を売却する場合、譲渡所得税の計算のもとになる「税率」が低い割合になる |
| 特定の居住用財産の買換えの特例 | 所有者が居住&所有期間10年以上の住宅を売却して買い替えをする場合に、譲渡所得税の納税を、これから購入するマイホームを売却するときまで延期できる |
| 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例 | 相続によって取得した土地・建物、株式などの財産を一定期間内に売却した場合、相続税の一部を譲渡所得税の計算をする際の取得費に加算できる |
| 相続税 | |
| 小規模宅地等の特例 | 被相続人などが居住していた宅地等を相続した場合、面積に応じて一定割合を相続税の計算のもとになる「課税価格」から差し引ける |
〈参考〉
譲渡所得税上から
・国税庁『No.3302 マイホームを売ったときの特例』
・国税庁『No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例』
・国税庁『No.3305 マイホームを売ったときの軽減税率の特例』
・国税庁『No.3355 特定のマイホームを買い換えたときの特例』
・国税庁『No.3267 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例』
相続税
・小規模宅地等の特例:国税庁『No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例』
※「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」は土地・建物を売却する場合に最も減税額が大きい制度で、ほかにも特殊なケースに対する減税制度が複数あります。
減税制度は要件に概要する方が正しく手続きをすることで必ず適用されますが、以下の点に注意が必要です。
- 複数の減税制度を併用できないケースがあるため、ご自身にとって最もお得な制度を選択する必要がある
- 適用要件が非常に細かく複雑なため、事前の確認が必要
減税制度の専門家は、税理士・会計士・弁護士です。
実家の売却が譲渡所得税・相続税の納税負担を重くする可能性がある場合には、専門家へのご相談をおすすめします。
実家じまいの手順を進める中でよくあるトラブル・後悔回避法

ここまで、実家じまいの手順・費用など実務的な情報をお伝えしてきましたが、「片付けが進まないなど、実家じまいの開始前には予測しづらい問題も発生するのでは?」と不安をお持ちの方もいらっしゃると思います。
そこで次に、実家じまいの手順を進める中でよくあるトラブル・後悔、その回避法も紹介します。
- 「実家じまいが寂しい」などで片付けが進まず発生する、維持・管理トラブル
- 単独名義or共有名義の選択で発生するトラブル
- 田舎の実家が売れない・活用方法がわからないなどで発生する、費用面・精神面のトラブル
- 売却or賃貸、住宅の解体、リフォーム実施など実家じまいの方法に後悔
「実家じまいが寂しい」などで片付けが進まず発生する、維持・管理トラブル
「実家がなくなるのが寂しい」といった感情面の問題・「長年蓄積した物が多すぎる」といった物理的な問題で、実家じまいに必須の片付けが進まないケースが多数あります。
実家じまいのための片付けは、終了期限を決めて完了させましょう。
実家を所有している期間に発生する「維持・管理負担」「維持・管理を怠ることで発生するトラブル」を親族間で共有すると、協力を得やすくなります。
| 維持・管理例 | 維持・管理を怠ることで発生するトラブル例 |
|---|---|
| 定期的に庭木を整備 | 隣地に枝が伸びる・害虫の発生などで、近隣の方からクレームを受ける |
| ポストのチラシを定期的に片付ける・屋内の一部の電気を点灯しておくなど、無人であることがわからない工夫をする | 敷地内への侵入・空き巣などの被害を受ける |
| 老朽化した塀の補強など、災害時に隣地などへ迷惑がかからない対策が必要 | 地震発生時に家屋・塀が倒壊して隣地の住人・通行人などが被害を受ける可能性がある |
| 室内へ定期的に風を入れて湿気を排除 | カビの発生などで住宅の老朽化が進行 |
また、空き家期間の維持・管理状況によっては自治体から「管理不全空き家」と判定され、以下のような問題が発生するケースもあります。
- 固定資産税が減税される「小規模住宅用地の特例」が適用されず、固定資産税が本来の額になる(小規模宅地の特例適用時の6倍になる)
- 解体などの勧告を受けるケースがある など
単独名義or共有名義の選択で発生するトラブル

実家じまいにあたって所有者を変更する場合、「単独名義or共有名義」の選択で、実家じまい完了までの手続きが大きく変動します。
【単独名義】
単独で実家に関する契約などの意思決定をできるので、売却などの手続きがスムーズです。
ただし、単独名義には以下のようなデメリットもあります。
- ほかの相続人に「売却などによって得た利益を公平に分配しないのでは?」という不信感が生まれやすい
- 実家の価値が高い場合、名義人1人が高額な納税負担を負う
実家を単独名義にする場合には、相続・売却にかかる納税負担まで見据えた遺産分割協議が必要です。
【共有名義】
「共有名義は避けるべき」という意見をよく耳にしますが、共有名義人全員が譲渡所得税の3000万円控除を活用できるため、実家の価値が高い場合には譲渡所得税の負担を大きく押さえられるというメリットがあります。
ただし共有名義にはリスクもあることを念頭に起きながら、実家じまいの方法を決定しましょう。
- 契約などに同意しない名義人が1人だけの場合も、契約などを進められない
- 共有者の破産・離婚の財産分与などによって持ち分の一部が差し押さえられると、売却などが難しくなる
- 共有者が意思能力がない状態になった場合、売却などが難しくなる など
田舎の実家が売れない・活用方法がわからないなどで発生する、費用面・精神面のトラブル

実家じまい完了までに発生する以下のような費用面・精神面の負担が重くなり、「実家をとにかく早く手放したい」というストレスを抱えるケースがあります。
- 固定資産税の負担
- 町内会費の負担
- 実家の維持・管理のために定期的に通う費用・時間の負担
- 実家の維持・管理に必要な費用の負担
- 近隣の方とのコミュニティ維持
売却・賃貸転用などの活用が難しい地域の実家は、可能であれば早期に実家じまいの方法を決定することをおすすめします。
早期の売却を希望する場合は、不動産会社が提供している「買取サービス※」を利用するという方法もあります。
※「買取サービス」とは不動産会社が直接物件を買い取るサービスで、「早期売却が可能・一般的に条件が厳しい物件も売却できる可能性がある」といったメリットがある反面、「市場価格の6〜8割ほどの価格になる」といったデメリットもあります。
こちらの記事で、実家マンションが売れない場合の対策を確認できます。
〈関連ページ〉中古マンション(居住中)が売れないなら内覧対応・不動産会社・価格を再検討|短期間で売る方法も紹介
宮城県・福島県・茨城県で実家じまいを検討中の方は、イエステーションへお問い合わせください。
イエステーションは買取サービスも提供しておりますので、ご希望に沿う実家じまいプランを提案させていただきます。
売却or賃貸、住宅の解体、リフォーム実施など実家じまいの方法に後悔
実家じまいの方法は主に6パターンで、ご実家の状況に応じて最適な選択を検討する必要があります。
- 住宅・土地をそのまま売却
- 住宅をリフォームして売却
- 住宅を解体して土地のみ売却
- 住宅・土地をそのまま賃貸
- 住宅をリフォームして賃貸
- 住宅を解体して土地のみ別の用途に転用
売却or賃貸の判断は需要を予測しやすいのですが、解体・リフォームに関しては需要の把握が難しく、解体・リフォームによって需要が少なくなるケースもあるため注意が必要です。
解体・リフォームはご自身・ご親族間だけで判断をせず、不動産会社にご相談ください。
実家じまいの手順Q&A

最後に、イエステーションがよくいただく実家じまいに関する質問・回答を、まとめて紹介します。
Q.実家の片付けで捨ててはいけないものはある?
A.実家の片付けをする際に、以下の書類を間違って捨てないように、ご注意ください。
- 権利書(登記識別情報通知書)
- 実印・印鑑登録カード
- 新築時の図面・建築確認済証・測量図・境界確認書
- 新築時の費用がわかる書類(売買契約書、不動産仲介手数料など)
- 新築時から売却までに発生した費用(リフォーム費用・固定資産税など)
- 取り外せない家電・設備のリモコン・取り扱い説明書
- 鍵(玄関・勝手口・物置などすべて)
特に書類は本・古新聞などの間に挟まっているといったケースもあるため、慎重に片付けをしましょう。
Q.実家じまいが必要だが寂しい。どのように気持ちを整理すればいい?

A.実家じまいに対する気持ちの整理が難しい場合、片付けや書類作成などは専門家に任せて、実家じまいの手順に沿って行動を誘導してもらうことをおすすめします。
また、「捨てるかどうか判断が難しい物があるけど、自宅には保管できない」といった物がある場合には、レンタル倉庫・遺品保管サービスを一定期間利用して、気持ちの整理ができてからゆっくり片付けるという方法もあります。
書類・写真は、アプリやクラウドサービスで保管する方法もあります。
Q.実家の仏壇・位牌を移動する正式な手順を知りたい
A.仏壇・位牌を移動する一般的な手順は以下のとおりですが、宗派によって違う場合があるため、菩提寺へ相談すると確実な情報を得られます。
実家で仏壇の閉眼供養(魂抜き)
↓
仏壇・位牌を荷物の最後に運び出し、新居へ移動
↓
仏壇・位牌を最初に新居へ運び入れ、開眼法要(魂入れ)
Q.実家の神棚を処分する正式な手順を知りたい
A.神棚は、「お札」「社(お札を祀っている本体)」「榊立てなどのアイテム」の取り扱いがそれぞれ違います。
【お札】
お供え物を下げ、手を合わせて感謝を伝えてからお札を取り出す
↓
お札を受けた神社へ返納
※お札を受けた神社へ行けない場合には、「古札返納所(こさつへんのうじょ)」「納札所」がある神社へ返納。
【社】
神社でお焚き上げ
※お焚き上げに対応していない神社もあるので、事前確認が必要です。
【榊立てなどのアイテム】
塩でお清め
↓
地域指定の方法に従って廃棄
Q.実家じまいと一緒に墓じまいもする場合の正式な手順を知りたい

A.墓じまいは、「自治体」・「菩提寺」・「石材店」と連携して実行する必要があります。
また、墓じまいは高額の費用(20〜50万円程度が目安)が発生するため、資金計画から始めることをおすすめします。
墓じまいについて、親族の同意を得る
↓
新しい納骨先を決め、「受入証明書」を受け取る
↓
菩提寺に墓じまいの意思を伝える
↓
お墓の管理者に「埋蔵証明書」を発行してもらう
↓
お墓がある自治体で「改葬許可」の手続きをする
↓
石材店へお墓の撤去を依頼
↓
菩提寺のご住職に閉眼供養をしてもらう
↓
石材店に遺骨を取り出してもらう
↓
石材店にお墓を撤去してもらい、更地に戻した状態で管理者へ区画を返納
↓
新しい納骨先に「改葬許可証」を提出して納骨
Q.近隣のコミュニティの方々への実家じまいの伝え方を知りたい
A.実家じまいを伝える場合、「近隣のコミュニティの方々は今後もその場所で暮らし続ける」ということを念頭に置いて、言葉選びをしましょう。
【例】
- 「実家を維持したいと思い頑張ってきたのですが、最近の地震や侵入犯罪のニュースを見る度に、皆さんのご迷惑になるかもしれないと考え、泣く泣く手放すことにしました」
- 「最近は両親の足腰が弱って生活の心配をする場面が増えたので、施設に移ることにしました。寂しいですが、どなたか住んで来る方にお譲りしたいと考えています」 など
また、仲の良い方々だけではなく、自治会の会長・隣接する住宅の住人にもご挨拶をすると、好印象で実家じまいをしやすくなります。
まとめ
実家じまいの必要性を感じている方へ、「手順」「費用相場」「トラブル回避法」などを解説してきました。
実家じまい完了までにはたくさんのステップがありますが、全体像を把握しておくことで、ご親族間のトラブル・手続きの不備などを防ぎやすくなります。
今回紹介した情報を参考に、思い出を大切にしながらスムーズな実家じまいを実施していただけると幸いです。



