じめじめした季節や、夏本番を迎える前に気になるのがエアコンの汚れ。「なんだか効きが悪くなった気がする」「嫌なニオイがする…」と感じたら、それはエアコン内部に汚れが溜まっているサインかもしれません。
エアコン掃除と聞くと難しそうに感じるかもしれませんが、実は自分でできる範囲の掃除もたくさんあります。今回は、ご家庭でできるエアコン掃除の簡単ステップと、安全に行うための注意点をご紹介します。
なぜエアコン掃除が必要なの?
エアコンは、室内の空気を吸い込んで温度調節をし、再び室内に送り出すという仕組みで動いています。そのため、空気中のホコリやカビ、花粉などが内部に吸い込まれ、フィルターやフィン、送風ファンなどに蓄積されていきます。
汚れが溜まると、以下のような問題が発生する可能性があります。
・電気代の上昇: フィルターにホコリが詰まると空気の循環が悪くなり、設定温度にするまでに余計な電力がかかります。これは無駄な電気代に直結するため、こまめな掃除が省エネにも繋がります。
・効きの悪化: 冷暖房の効果が低下します。
・嫌なニオイ: カビや雑菌が繁殖し、不快なニオイを発生させます。
・健康への影響: 汚れた空気を部屋中にまき散らすことになり、アレルギーなどの原因になることも。
これらの問題を解決し、エアコンを快適に使うためにも、定期的で適切な掃除が大切なのです。
自分で掃除するメリット
専門業者に依頼するのも良いですが、自分でできる範囲を掃除することには、次のようなメリットがあります。
・費用を抑えられる: 専門業者に依頼するよりもコストがかかりません。
・手軽にできる: 汚れが気になった時にすぐに掃除できます。特にフィルター掃除は頻繁に行いたいお手入れです。
・エアコンへの関心が高まる: 仕組みやどこが汚れやすいかを知ることで、普段から意識して使うようになります。
もちろん、分解洗浄など専門知識が必要な部分はプロに任せるべきですが、日常的なお手入れは自分でも十分可能です。
掃除を始める前に!準備するものと安全確認
掃除を始める前に、必要なものを準備し、何よりも安全の確保を最優先で行いましょう。
準備するもの
・掃除機
・メラミンスポンジ
・マイクロファイバークロス(複数枚あると便利)
・中性洗剤(必要に応じて)
・使い古しの歯ブラシ
・新聞紙やビニールシート(床や壁の養生用)
・バケツ
・ゴミ袋
・ゴム手袋
・脚立や踏み台(安定したものを使用)
・マスク、メガネ(ホコリやカビの吸い込み、落下物防止)
掃除前の安全確認
・最重要! 必ずエアコンのブレーカーを切る! コンセントを抜くだけでは不十分な場合があります。感電や故障を防ぐため、必ず分電盤のエアコン専用ブレーカーを切ってください。
・安定した足場を確保する。
・本体や床、壁が汚れないように新聞紙やビニールシートで養生する。
・換気を良くする。


簡単ステップ!自分でできるエアコン掃除
それでは、具体的な掃除の手順を見ていきましょう。これらの掃除は、エアコンの使用頻度にもよりますが、フィルターは2週間に1回程度、ルーバーや吹き出し口、本体カバーは月に1回程度を目安に行うのがおすすめです。
ステップ1:フィルターの掃除
最もホコリが溜まりやすく、自分で簡単に掃除できるのがフィルターです。
- フロントパネルを開ける: エアコン本体の下側や側面に開けるためのツメやボタンがあります。取扱説明書を確認して、無理な力をかけずに開けてください。
- フィルターを取り外す: フィルターはツメで固定されていることが多いです。破損させないように慎重に取り外します。
- ホコリを吸い取る: フィルターの外側(エアコン本体側と反対側)から掃除機を使ってホコリを吸い取ります。こうすることで、吸い取ったホコリが目詰まりするのを防ぎます。
- 水洗いする: フィルターの内側(エアコン本体側)からシャワーなどで水を流し、残ったホコリや汚れを洗い流します。油汚れなどが気になる場合は、中性洗剤を薄めた液で優しく洗っても良いでしょう。
- しっかり乾燥させる: 洗った後は、カビの発生を防ぐため、陰干しで完全に乾燥させます。直射日光はフィルターを傷める可能性があるので避けてください。
ステップ2:ルーバー・吹き出し口の拭き掃除
エアコンの風が出てくるルーバー(風向きを変える羽根)や、その周辺の吹き出し口もカビやホコリが溜まりやすい場所です。
- 濡らしたクロスで拭く: マイクロファイバークロスを水または薄めた中性洗剤に浸し、固く絞ります。
- 優しく拭き取る: ルーバーの表裏、吹き出し口の内部を優しく拭き取ります。汚れがひどい場合は、メラミンスポンジや使い古しの歯ブラシでこすり落とすと効果的です。特にルーバーの付け根部分はカビが発生しやすいので念入りに。
- 乾拭きする: 最後に別の乾いたクロスで水分をしっかり拭き取ります。
ステップ3:本体カバーの拭き掃除
エアコン本体の表面も意外とホコリが溜まります。
- ホコリを払う: ハンディモップなどで表面のホコリを優しく払います。
- 拭き掃除: 濡らして固く絞ったクロスで本体カバー全体を拭きます。油汚れがある場合は、薄めた中性洗剤を使って拭き、その後水拭き、乾拭きをしてください。
さらにきれいに!エアコンクリーナー(自己責任で)
最近では、エアコン内部のフィンなどに吹き付けて使うスプレータイプのエアコンクリーナーも市販されています。これを使うと、フィルターの奥の掃除もできるとされていますが、使用には十分な注意が必要です。
・必ず製品の説明書をよく読む: 使用方法や注意事項をしっかり守ってください。
・電気部品にかからないように細心の注意を払う: スプレー液が電気部品にかかると、故障の原因になります。
・換気を十分に行う: スプレーの成分を吸い込まないように注意しましょう。
・全ての汚れが落ちるわけではない: フィンの奥や送風ファンなど、手の届きにくい場所の頑固な汚れは落としきれないことが多いです。
・かえって汚れを奥に押し込む可能性: 使い方を間違えると、汚れや洗剤成分をエアコン内部に溜めてしまい、カビやニオイの悪化、故障に繋がるリスクもあります。
エアコンクリーナーの使用は自己責任となります。不安がある場合は、無理に使用せず、フィルターやルーバーなどの掃除に留めておくのが賢明です。
掃除後の確認
掃除が終わったら、取り外したフィルターやフロントパネルを元に戻します。破損がないか確認しながら丁寧に取り付けてください。
全てを元に戻したら、ブレーカーを戻し、試運転を行います。異音や異常がないか確認し、正常に運転することを確認して掃除完了です。
自分で掃除する際の注意点・NG行為
・無理な分解はしない: エアコンの構造は複雑です。専門知識がないのに無理に分解すると、元に戻せなくなったり、部品を破損させたりする危険があります。
・電装部分に水をかけない: 電気部品に水がかかると、感電や故障の原因になります。
・洗剤の使いすぎに注意: 洗剤成分が内部に残ると、カビやニオイの原因になることがあります。洗剤を使った場合は、しっかりと拭き取るか、洗い流せる部分は十分にすすいでください。
・高温高湿での作業を避ける: 熱中症のリスクがあります。涼しい時間帯を選んで作業しましょう。
・安定しない足場での作業は危険: 落下する可能性があります。必ず安定した脚立などを使用してください。
・「お掃除機能付き」エアコンに注意: 最近のエアコンに多い「お掃除機能」は、フィルターのホコリを自動で取る機能であり、エアコン内部を全てきれいにする機能ではありません。お掃除機能付きの場合、自分でフィルターを外す際に複雑な手順が必要だったり、自動お掃除ユニットを外す必要があったりします。構造が複雑なため、無理な自己清掃は故障の原因になりやすいです。取扱説明書をよく確認するか、プロに依頼する方が安心です。


おわりに
フィルターやルーバーなどの簡単な掃除であれば、ご家庭でも比較的容易に行うことができます。定期的に自分で掃除することで、エアコンを清潔に保ち、快適に使うことができます。こまめな掃除は、エアコンの寿命を延ばし、効率的な運転による省エネ効果も期待できます。
ただし、エアコン内部の奥深くや送風ファンなど、自分で掃除するのが難しい部分に汚れが溜まっている場合や、自分で掃除してもニオイが取れない、送風口の奥に黒いカビが見えるといった場合は、迷わず専門のエアコンクリーニング業者に依頼しましょう。プロは専用の洗剤や高圧洗浄機などを使用し、分解して内部を徹底的に洗浄してくれます。特に、購入から数年経って一度も内部洗浄をしていない場合や、アレルギー体質の方がいるご家庭では、プロのクリーニングを検討することをおすすめします。
ご自身のエアコンの状態や、どこまで自分でやるかを判断して、賢くエアコンのお手入れをしてくださいね。