家の売買契約後にしなければ
いけないことは?

家を売却したいと考えたら不動産会社などに仲介を依頼して購入希望者をさがしてもらいます。購入希望者が見つかれば売買契約をすることで売買が成立して一安心です。しかし、無事に売買契約を結んでも売主にはその後にもしなければならないことがたくさんあるので、のんびりとはできません。この記事では、家を売却する際売買契約が終わった後にしなければならないことについて解説します。

売買契約が終わった後にしなければならないこと

家の売買契約が終わった後には、以下のような手続きが必要です。

  • 火災保険の解約や移行
  • 水道・電気・ガスなどの公共料金の解約や移行
  • 郵便物の転送手続き
  • 住民票の転出届や転入届
  • 固定資産税の清算
  • 譲渡所得の確定申告

譲渡所得税は不動産の所有期間によって税率が異なり、必要な申告をしなければペナルティが課されますので注意しましょう。

なお、譲渡所得には、3,000万円の特別控除や買い換え特例などの減税制度があります。

譲渡所得の確定申告には、以下の書類が必要です。

  • 確定申告書第一表・第二表
  • 確定申告書第三表(分離課税用)
  • 譲渡所得の内訳書
  • 不動産購入時の売買契約書のコピー
  • 不動産の取得費用が分かる領収書のコピー
  • 不動産売却時の売買契約書のコピー
  • 不動産の譲渡費用が分かる領収書のコピー
  • 登記事項証明書
  • 本人確認書類
  • 源泉徴収票

売買代金の決済日にすること

不動産売買において「決済」とは、売買代金などの清算を行い、物件の引き渡しをすることをいいます。

不動産売買の決済日には、売主と買主が物件の引渡しと金銭の授受を行い、不動産の所有権が移転します。

決済日までに準備すること

決済日までに不動産売買に関わる方たちは次のような準備をしていきます。

  • 売主は、権利証(登記済証または登記識別情報通知書)や実印、印鑑証明書、本人確認書類などの登記に必要な書類を用意します。

また、抵当権が設定されている場合は、金融機関に連絡して抵当権抹消の書類を準備してもらいます。

さらに、鍵や固定資産税・都市計画税の納付通知書、管理費・修繕積立金などの清算金の計算書なども準備します。

固定資産税・都市計画税、管理費・修繕積立金など不動産に関わる費用の清算は決済日を基準にして計算するのが原則です。

  • 買主は、住宅ローンを利用する場合金銭消費貸借契約を済ませて融資実行の準備をします。

また、印鑑や住民票、本人確認書類などの登記に必要な書類を用意します。

さらに、残代金や清算金、登記費用、仲介手数料などの支払いに必要な金額を準備します。

  • 媒介業者は、売主と買主の間で決済日時と場所を調整し、決済に必要な書類や領収書を用意します。

また、司法書士や金融機関などの関係者と連絡を取り合って、決済の流れをスムーズに進めます。

決済日当日の流れ

決済日当日の流れは、以下のようになります。

  1. 司法書士による本人確認と書類の確認
  2. 金銭の授受(売買代金、固定資産税・都市計画税、管理費・修繕積立金などの清算金など)
  3. 領収書の授受
  4. 鍵や必要書類の引渡し
  5. 司法書士・不動産仲介会社への報酬の支払い
  6. 最終確認

家を売却したときの確定申告

家を売却したときに利益が出れば確定申告をしなければなりません。

ただし、自宅や親が住んでいた家を売却したときには特別控除を受けられるので利用しましょう。

自宅を売却したとき

自宅を売却したときの確定申告や特別控除については、以下のようなことがあります。

  • 自宅を売却して譲渡所得が発生した場合、その譲渡所得から最高3,000万円までの特別控除を受けることができます。

この特別控除を受けるためには、確定申告をする必要があります。

  • 自宅の所有期間が10年を超えている場合、譲渡所得の税率が軽減されます。

この軽減税率は、3,000万円の特別控除と併用することができます。

  • 自宅を売却して新たに自宅を購入する場合、買い換え特例を受けることができます。

この買い換え特例を受けると、譲渡所得の課税が猶予されます。

ただし、この買い換え特例は、3,000万円の特別控除と併用することができません。

  • 自宅を売却して譲渡損失が発生した場合、その譲渡損失を他の所得から差し引くことができます。

この譲渡損失の損益通算や繰越控除には、一定の条件があります。

詳しくは、国税庁のホームページや税理士に相談するとよいでしょう。

No.3302 マイホームを売ったときの特例|国税庁

No.3223 譲渡所得の特別控除の種類|国税庁

相続した親の自宅を売却したとき

相続した親の自宅を売却したときに使える特別控除は、主に以下の2つがあります。

  • 居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除

マイホーム(居住用財産)を売ったときに、所有期間の長短に関係なく譲渡所得から最高3,000万円まで控除できる特例です。

ただし、売却した不動産が居住用不動産の要件を満たす必要があります。

相続した実家で、相続人が相続後全く住んでおらず空き家状態の場合には、この特例の適用はありません。

  • 相続した空き家を譲渡した場合の3,000万円の特別控除

相続人が、被相続人が1人で住んでいた建物及びその敷地を相続により取得し、その空き家を売却した場合に、一定の要件を満たすときは、譲渡所得から最高3,000万円まで控除できる特例です。

この特例は、令和9年12月31日までの間に限り適用されます。

これらの特別控除の詳細については、国税庁のホームページや税理士に相談してみましょう。

No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例|国税庁

不動産売却利益の計算方法

不動産を売却するときに3,000万円で売れた場合には、売買代金の3,000万円がそのまま「売却利益(譲渡所得)」になるわけではありません。

一般のモノの売買でも売り値から仕入れ値が差し引かれるのと同様に、不動産売却でも「仕入れ値」が控除されます。

譲渡所得の計算方法

不動産売買の売却利益とは、不動産を売却したときに得た譲渡所得のことです。

譲渡所得は、売却代金から取得費と譲渡費用を差し引いた金額です。

つまり、譲渡所得は次のようにして計算します。

譲渡所得=売却代金-(取得費+譲渡費用)

取得費

取得費とは、不動産を購入したときにかかった費用のことで、購入代金や仲介手数料、税金、リフォーム費用などが含まれます。

譲渡費用

譲渡費用とは、不動産を売却したときにかかった費用のことで、仲介手数料や税金、登記費用などが含まれます。

建物の取得費の計算方法

また、建物の取得費は、購入代金や建築代金から「減価償却費」相当額を差し引く必要があります。

減価償却費相当額とは、建物の価値が経年劣化によって減少した分のことです。

減価償却費相当額の計算方法は、建物の用途や構造によって異なります。