今回は、那珂市にある【一乗院】をご紹介します。正式名は「真言宗 智山派 法満山 一乗院」で、「身代わり不動尊」の名前もあります。

一乗院の最大の特徴は、日本一の大きさを誇る毘沙門天(びしゃもんてん)像です。鮮やかなエメラルド色に輝く像の高さは13メートル、台座を含めると16メートルあります。2007年に建立されました。表を走る道路からもよく見え、初めて行った方は、車から下りるとすぐ歩いていって見上げてしまうでしょう。

たくさんの仏がまつられています

足元に邪鬼を踏みつけ、右手に宝棒、左手に宝塔を持ち、ぐっと正面を睨む姿はかなりの迫力があります。左に従えているのは妃の吉祥天、右は子の善尼師(ぜんにし)童子です。

拝観料はかかりません。境内を歩いて行くと、正面には石仏の「身代わり不動尊」も鎮座しています。

そして一乗院の境内には、他にもたくさんの仏がまつられています。多くの如来と菩薩像をはじめ、七福神(恵比寿・大黒天・毘沙門天・弁財天・布袋・福禄寿・寿老人の七神)、水子地蔵、ペットの碑まであり、ここに来ればどんな願かけもできてしまいそうです。ホームページを見ると、他には車の安全祈願、合格修飾祈願、縁結び祈願なども受け付けています。

鎌倉時代の名仏師・運慶の作

那珂市は県庁所在地の水戸市よりやや北方に位置し、那珂川と久慈川にはさまれた肥沃な那珂大地が中心を占めています。そのため一乗院の歴史も古く、西暦1386年に現在地よりやや北方、常陸大宮市石沢に建立されたと言われています。

一乗院には、ご本尊として高さ160センチの木造毘沙門天像もあります。鎌倉時代の名仏師・運慶の作とも言われ、一乗院の長い歴史を物語る代表仏ともなっています。

 

なお一乗院はさまざまなイベントでも知られており、椿・もくせい・さるすべりなどの花を鑑賞する「花の寺」、毎月第4日曜日に駐車場で開かれる弘法市(骨董品販売、フリーマーケット)、だるま市、境内の講堂で行われる寄席など、文化施設としての役割も果たしています。

最初は、毘沙門天像のあまりの迫力に圧倒されてしまいますが、数多くの御仏が鎮座する一乗院は、流行りのお寺と捉えられがちですが、由緒ある伝統の寺院でもあるのです。