福島県庁から徒歩10分歩くと阿武隈川沿いにマンションや住宅地が立ち並ぶ御倉町があります。そこにひっそりと佇んでいるのが旧日本銀行福島支店長の役宅の御倉邸です。福島市が取得し一般公開しており、今では福島市民の憩いの場であり、観光名所の一つとなっています。御倉邸の見所を紹介します。

貴重な戦前の日本銀行役宅を無料で一般に開放

福島県は江戸時代から全国有数の生糸産地でした。明治時代は欧米向けの良質な生糸を手に入れるために全国の商人が県内に拠点を設けていたほどです。当時の福島市は経済も活発で、1899年に東北初の日銀店舗が開設されました。1911年には福島支店へと昇格。同時期に支店長の役宅が御倉邸の場所に構えられました。その後、1927年に建て替えられ現在の姿となりました。

役宅は接客機能も備え、大規模な建物となり、戦時中は疎開した日銀職員の寄宿舎として、戦後は連合国軍総司令部(GHQ)が使用しています。

1999年まで歴代支店長が暮らし、福島市が2000年に取得して一般開放し御倉邸と名付けられ無料で一般開放されるようになりました。戦前の日銀役宅が現存するのは御倉邸と新潟県の2つだけで貴重な建物です。

阿武隈川を背景とした美しい日本庭園も見所

御倉邸は純和風建築の木造平屋です。中庭を中心に接客機能も備えてあったため11部屋もあります。部屋は小さく戦前の日本家屋の匂いが色濃く感じれます。また、こだわりの細工も昔ながらの雰囲気を残しています。部屋からは阿武隈川を見ることができます。美しい日本庭園も見所です。御倉邸内から庭園を眺めたり、庭園から御倉邸を眺めたり、ロケーションを変えて楽しめます。

御倉邸の敷地内には今では珍しい人力車の車夫の待機場所である「供待」も残されています。ここから人力車が走り出したのかと歴史を感じれます。

江戸時代の舟運の石積み護岸の船着き場を再現

御倉邸から阿武隈川の川岸に降りることができます。そこには昔の石積み護岸の船着場が再現されています。福島城があった時代は阿武隈川を利用した舟運が盛んに行われていました。板倉藩の城主蔵、年貢米などがこの船着場から運ばれていたのです。会津藩、米沢藩もこの船着場をよく利用していました。

御倉邸も貴重な建物ですが、江戸時代から使われてきた石積み護岸の船着場も福島市の貴重な歴史を感じることができるスポットです。

御倉邸内で座ってゆっくりするのもいいですが、展望デッキで阿武隈川の流れを見ながらゆっくり過ごすのも贅沢な時間となります。お休み処として「おぐら茶屋」も敷地内にあるので、ドリンクを頼んでのんびりしてみてください。軽食やお土産も買うことができます。

天気が良ければ阿武隈川の川岸に降りて、石積み護岸の船着場を眺め、散歩しても気持ちがいいです。福島県庁を目指して歩けば、福島城の名残である土塁なども見ることができます。

お茶会や演奏会などのイベントとしても活用

地元協議会による演奏会などのイベントも開催されており、歴史的な建造物で音楽も楽しめます。また、結婚式や成人式の前撮りなどで使用することもできます。純和風建築でコスプレしての撮影も面白いですね。会議や勉強室としても借りられます。福島市の中心部は昔の面影はほとんどありません。しかし、御倉邸や福島県庁付近は昔の福島を知ることができる貴重な場所です。ぜひ、訪れてみてください。

▶御倉邸

〒960-8064 福島市御倉町1番78号

電話:024-522-2390

Fax :024-522-2390

https://www.city.fukushima.fukushima.jp/kouen-kanri/machizukuri/koenhiroba/koen/1825/index.html

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