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契約解除の種類・違約金

売主が知っておきたい注意点

契約には解除権があり、どのような契約においても解除に関する取決めを契約書において定めておきます。

不動産売買契約は取引金額が大きなものであり、契約解除に係る違約金なども大きなものとなります。

ここでは契約解除の類型にしたがい、解除権の内容や範囲について解説します。ぜひ売買契約時の理解に役立ててください!

契約解除の種類

契約解除には下記の6つのパターンがあり、売主・買主に双方に解除権があるものと、いずれか一方にしかないものがあります。

また違約金や損害賠償を伴うものと、白紙解除になる場合があり、それぞれの違いを理解しておく必要があるのです。

手付解除

売主・買主には契約締結後も契約を解除する権利があり、それぞれ次のような方法によります。

 1.売主は受領した手付金額の2倍の金額を買主に支払い解除ができます

 2.買主は支払った手付金を放棄することにより解除できます

解除できる期間は、相手方が契約の履行に着手するまで、または契約書において定めた期日までとなります。

「相手方が契約の履行に着手するまで」

法律用語なのですこし解釈が面倒なのですが、たとえば次のようなことは「履行の着手」とは認められていません。

・売主が引っ越しの準備をはじめた

・買主は決済の準備をするため定期預金を解約した

履行の着手については明確な基準がなく、たびたび裁判にもなっています。

参考:一般財団法人 不動産適正取引推進機構「手付解除と「履行の着手」についての一考察」

以上のように「履行の着手前」をもって手付解除期限とするのは実務上問題があり、売主・買主の合意により具体的な期日を指定することが望ましいといえます。

引渡し前の滅失・損傷による解除

地震・台風などの天災や火災などにより対象不動産が滅失または損傷が生じた場合、買主の購入目的が満たせなくなります。

軽微な損傷であり補修によって当初の目的を満たすことができる場合は、売主の負担により補修をおこなうことが一般的で、契約条項にはそのような記載がされています。

しかし損傷が激しくまたは倒壊・崩壊など滅失した場合は、補修により復旧することは負担が大きく合理的でないことから、売買契約を白紙解除することが一般的となっています。

また滅失や損傷が、売主・買主どちらの責めに帰すことができない事由であることは、いうまでもありません。

契約は白紙解除なので売主は受領した手付を、無利息で買主に返還します。

契約違反による解除

売主と買主のどちらかに債務不履行があった場合、相手方は自分の債務を履行したうえで相当な期間を定めて債務の履行を催促します。

しかし債務履行の催促に応じない場合には、契約を解除できます。

また、債務を履行しなかった方に責めがある場合に限り、違約金の請求ができますが損害賠償などの請求はできません。

すでに買主に所有権が移転され引渡し済の場合には、抹消登記のうえ物件の返還をおこなわなければなりません。

 

このような内容の契約条項が記載されますが、たとえば売買代金を支払ったのに所有権移転をしない。あるいは所有権移転をおこなったのに売買代金を支払わないなど、わかりやすい契約違反は少なく、契約違反と認定するには裁判による判断を待たなければならない事例が多いものです。

また契約違反と認定された場合であっても、損害額を簡単に決めることがむずかしく、あらかじめ設定した損害額を「違約金」として損害を補填する方法がとられています。

ただし、契約不適合責任による解除の場合は違約金を超える損害賠償が認められるようになります

反社会的勢力排除による解除

平成16年から平成23年にかけて、全国の自治体(特に都道府県)において制定された「暴力団排除条例」にもとづき、売買契約書に「反社会的勢力排除」に関する契約条項が加えられるようになりました。

売主または買主が契約条項に違反していた場合、契約は強制解除され違反した当事者には違約金の支払いと、制裁金の支払いも義務づけされています。

一般的に違約金は売買代金の20%とし、制裁金は売買代金の80%とされています。

売主が宅地建物取引業者であり買主が反社勢力であった場合は、売主は制裁金を受け取ることができないので注意が必要です。これには理由があり、宅地建物取引業法第38条によります。

宅地建物取引業法第38条

宅地建物取引業者が売主の場合、損害賠償や違約金を定める場合、売買代金の20%を超えてはならない、と規定されています。

参考:e-Gov「第38条 損害賠償額の予定等の制限」

融資利用の場合による解除

買主が融資を利用して不動産を購入する場合、予定していた融資が受けられず売買代金の支払いができなくなります。このことは買主に責めがあることは少なく、やむを得ないケースがほとんどです。

このとき売買契約は自動解除となり契約は白紙に戻り、売主は受領した手付を無利息で返還します。

ただし、買主が故意に融資審査を遅らせ期限までに融資承認が降りないようにした、あるいは虚偽の書類を提出したことにより承認されなかった、などの場合は自動解除になりません。

このような特約条項を契約書に記載し、買主保護の措置をとるのですが、融資利用の特約による解除については期限を設けることが一般的です。

期限が経過したのちに融資が承認されなかった場合は、この特約は無効となるので契約前に買主との協議を充分おこない、期限を設けることが大切です。

契約不適合責任による解除

取引対象不動産に不具合や数量・品質・種類など、契約目的と異なる内容があった場合、買主は契約解除することができます。

契約解除には損害賠償請求も加わることがあり、売主は誠実な取引と対象不動産の状況を正確に買主に伝える必要があります。

契約解除以外にも次のような責任が売主にはあります。

    1. 契約不適合部分(契約の内容と異なる部分)については買主から修補を請求されます
    2. 契約不適合部分に売主の責めがない場合以外、損害賠償請求されます
    3. 契約不適合部分が軽微でない場合、買主から契約解除されます
    4. 契約解除にあたっては損害賠償請求があります
    5. 契約不適合に関し、損害賠償や契約解除ではなく代金の減額請求されることもあります

売主には重い責任がありますが、いつまでもこの責任を持つことはありません。

民法では1年以内とされており、特約により引渡し後一定期間を定めることができます。さらに物件の状態や売主の事情によって免責とすることもあります。

契約解除の方法

契約解除すべき状態となったときは、文書でおこなうことが原則です。さらに契約解除は裁判に発展する場合もあり、証拠能力を満たすため「配達証明付き内容証明郵便」でおこなうことが望ましいです。

仲介する不動産会社に口頭で伝え、間接的に相手方に伝える方法は有効といえず、必ず直接意思表示することが重要です。

ただし契約解除の決断をするにあたっては、不動産会社と相談し場合によっては不動産会社の顧問弁護士などとも相談のうえ、慎重に決断するようにしたいものです。

契約解除は契約よりも厳密に判断しなければなりません。契約には解除権が留保されていますが、契約解除は撤回ができないのです。契約解除の意思表示が相手に到達して時点で解除は有効とされ、そのご一方的に撤回はできないと民法540条に定められています。

まとめ

契約解除6つの類型について解説しました。白紙解除になるケースや違約金・損害賠償・制裁金が課されるケースもあります。

契約にさいしては契約解除に関する約束ごとを理解し締結することが重要です。売主の責任範囲が広がりましたので、充分理解していただき契約に臨んでください。

ONO SAKI アドレス株式会社 法務部 部長
2006年早稲田大学卒業 イエステーション・アドレスに新卒入社
不動産売買仲介営業部へ配属。その後、総務、経理、賃貸などを歴任し
2020年より法務部の新設とともに初代責任者に就任

わかりづらい不動産売却と消費税の関係をやさしく解説

不動産を売った場合、売主が個人の場合は消費税がかからないといわれます。

これは半分真実ですが、半分は間違った解釈です。

ここでは消費税のしくみと課税・非課税の違いや、消費税に関わる届出など、不動産売却と消費税について解説します。

消費税の課税のしくみ

消費税の課税対象をおさらいします。

        • 課税される対象者は国内の「事業者」
        • 対象となる事業の内容は「資産の有償譲渡と有償貸付」「有償の役務提供」「外国貨物の引取り」

上記の事業のうち非課税となる取引が以下のとおり定められています。

        1. 土地の譲渡と貸付
        2. 有価証券の譲渡
        3. 貨幣・紙幣・小切手・約束手形など
        4. 利息・信用保証料・信託報酬・保険料・共済掛金など
        5. 郵便切手・印紙・証紙
        6. 商品券・プリペイドカード
        7. 登記・免許・検査・試験・証明などの交付手数料
        8. 外国為替取引手数料
        9. 健康保険・労災保険・自賠責保険の対象となる医療
        10. 介護保険による介護サービス
        11. 社会福祉法にもとづくサービス
        12. 助産サービス
        13. 火葬・埋葬にかかわる役務
        14. 身体障害者用物品の譲渡や貸付
        15. 学校教育
        16. 教科用の図書
        17. 居住用の住宅貸付

上記のものは「非課税」であり「不課税」ではないことに注意が必要です。

消費税は最終的に消費者が負担するのですが、納税行為を行うのは課税される対象となる事業者であり個人事業者と法人になるわけです。

土地の売買に消費税はかからない

土地は前述のとおり “非課税” になります。したがって土地の売買において、土地代金に含まれる消費税はないのですが、目にみえない形で消費税が含まれている場合があります

たとえば土地を更地で取得し造成工事を行ったうえで販売する場合、造成工事費には消費税が含まれており、売主は消費税を含んだ造成工事費を上乗せして土地の販売価格を決めます。

結果的に土地価格には消費税が含まれる部分があるのですが、消費税として納税する義務は売主にも土地を購入した消費者にもありません。造成工事にかかわる消費税は造成工事業者が納税するわけです。しかし土地代金を支払う消費者が最終的に消費税分を負担していることに変わりはありません。

同様に事業者が支払う土地取得時の仲介手数料や消費者が土地を購入するときの仲介手数料は不動産会社が納税者となり消費税を納税し、消費者は手数料を支払うときに消費税を最終的に負担しているのです。

建物にはどんな場合でも消費税は課税される

建物はどのような場合でも課税されます。住宅を建築する時、購入する時には必ず消費税が課税されており、消費税を上乗せした価格で取得しています。

では、中古住宅として売却する場合にはどのようになるのか。2つのケースがあります。

        1. 中古住宅を事業として販売する場合は課税される
        2. 個人の所有者が事業として販売しない場合は非課税となる

消費税の課税対象は “事業者” に限られているので、事業者ではない個人が所有する不動産を売却する場合は、消費税は非課税になるのです。

繰返しますが、個人だから非課税ではなく、事業者ではない個人だから非課税となることに注意してください。

消費税にかかわる各種の届出

消費税課税事業者には納税義務を免除される場合があります。

2年前の事業期間の課税売上高が1,000万円以下の場合は、原則的に免除されます。

逆にいうと1,000万円を超える売上があった場合、2年後に事業をおこなっている人は、課税事業者になることに注意が必要になってきます。

事業者と消費税の手続きについて次のような種類があります。

  1. 消費税課税事業者届

消費税課税事業者になったとき

  1. 消費税課税事業者選択届

消費税非課税業者があえて課税事業者になるとき

  1. 消費税の納税義務者でなくなった旨の届出

消費税課税業者が非課税業者になったとき

  1. 消費税課税事業者不適用届出

非課税業者があえて課税業者になりその後元の非課税業者に戻るとき

1番と3番と2番と4番が次のように対になります。

  課税業者になる時 課税業者でなくなる時
法定 消費税課税事業者届 消費税の納税義務者でなくなった旨の届出
任意 消費税課税事業者選択届 消費税課税事業者不適用届出

課税事業者になるとき、ならないとき、いずれの場合も届出が必要になるのです。

不動産投資と消費税

不動産投資として賃貸物件を取得し賃貸事業をおこない、物件入れ替えのときに物件を売却する場合など、消費税課税事業者となってしまうことがあります。

  1. テナント物件など非居住用の賃貸事業
  2. 中古住宅や中古マンションなど賃貸用物件の売却

個人であっても上記に該当する事業をおこなっている場合、2年前に課税売上高1,000万円以上か、1年前の1月から6月までの期間に1,000万円以上の課税売上高があると、その年は課税事業者になってしまいます。

たとえば今年、アパート1棟を3,000万円で売却した場合、建物は800万円と仮定します。2年前には4,000万円でアパート1棟売却していました。建物価格は1,200万円です。

課税事業者になるかどうかの判定は2年前の課税売上です。この場合1,200万円が課税売上でしたので、今年は課税事業者となり、売却した建物800万円に含まれる消費税=約73万円は納税義務のある消費税になります。

ただし今年は1棟のアパート売却だけで終わると、課税売上は800万円なので2年後は課税事業者とはならないので、「消費税の納税義務者でなくなった旨の届出」を提出しなければなりません。

なお売買契約においては、売却価格の土地と建物の区分をおこなうのは当然ですが、区分されていない場合には固定資産税評価額などで按分して計算します。

以上のようにマイホームを売却するなどの場合は、売主に消費税が課税されることはありませんが、売却した物件が中古住宅・中古マンションであっても「事業」と見なされる場合は、課税事業者になってしまうことがあります。

まとめ

消費税が10%になったことで、将来も税率が上昇する可能性があります。

また、課税される場合と課税されない場合とがあり複雑でわかりにくい税制ですが、消費税が制度化されすでに30年が経過します。

一般の個人が売却する不動産に課税されることは少ないですが、賃貸事業や不動産投資として物件の取得・売却を繰り返す場合は知らぬ間に課税事業者になっていることがあります。

課税事業者は届出が義務になっていますので、不動産売却の際には税務署に問い合わせするなど、確認するようにしましょう。

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ONO SAKI アドレス株式会社 法務部 部長

2006年早稲田大学卒業 イエステーション・アドレスに新卒入社
不動産売買仲介営業部へ配属。その後、総務、経理、賃貸などを歴任し
2020年より法務部の新設とともに初代責任者に就任

120年ぶりの民法改正

不動産売買に与える影響とは!?

2020年4月から、民法改正により不動産売買契約が大きく変わりました。

これから不動産の売却を考えている方は、ぜひご一読ください。

 最大の変更は「瑕疵担保責任」から「契約不適合責任」という言葉に変わった点です。

では早速具体的に確認してみましょう!

瑕疵担保責任とは?

「瑕疵」とは売買契約の目的物が通常有すべき品質・性能を欠くことをいいます。「不具合」「キズ」などとも言われます。雨漏りやシロアリなどをイメージしていただければわかりやすいですね。

不動産売買において瑕疵担保責任の対象となるのは、買主様が通常の注意を払ったにも関わらず発見できなかった「隠れた瑕疵」が対象です。

また、買主様が売主様に請求できることが、・損害賠償請求(無過失)・契約解除(無過失)の2点。

(無過失)となっているのは、つまり買主様に知らされていなかった場合に、売主様がその責任を負う、ということです。あらかじめ不具合やキズ告知していれば、「瑕疵」には当たらない、という訳ですね。

契約不適合責任とは?

これは「契約の内容に適合しない場合の売主の責任」の略です。

契約不適合責任は、「種類、品質または数量に関して契約の内容に適合しないものがあるとき」に売主様が責任を負い、買主様が保護されるという制度です。簡単にいうと、契約と異なるものを売却した場合は売主様が履行責任を負う、ということです。

また、買主様が売主様に請求できることが、「追完請求」、「代金減額請求」、「催告解除」、「無催告解除」、「損害賠償請求」の5つに増えます。

契約不適合責任では、例えば雨漏りについて買主様が了承しており、契約内容に「この建物は雨漏りしています」という内容を書き込んでいれば、契約不適合責任は負わないことです。

一方で、買主様が雨漏りのことを事前に知っていたとしても、雨漏りがないことが前提の契約書であれば、契約内容とは異なるものを売ったことになり、売主様は責任を負うことになります。
つまり今まで以上に「どんな内容で契約を結ぶか」がとても大事になってくるということです!

なお、従来の「瑕疵担保責任」同様、この規定も「任意規定」となる為、当事者が合意すれば、一部免責・全部免責を特約とすることも有効です。但し、その場合でも契約書にはその旨きちんと記載する必要があります。

いかがでしたか?ちょっとした知識でも知っていると安心ですよね!

売却後のトラブルを防ぐためにも、契約内容をしっかりと確認すること、そしてトラブルが無いよう法改正にきちんと対応した契約書類を作成してくれる会社に依頼することが、売却成功のカギとなってきます!

ONO SAKI アドレス株式会社 法務部 部長
2006年早稲田大学卒業 イエステーション・アドレスに新卒入社
不動産売買仲介営業部へ配属。その後、総務、経理、賃貸などを歴任し
2020年より法務部の新設とともに初代責任者に就任

不動産売却後にやってくる
「〇〇〇〇」とは!?

「不動産の売却が終わり一安心・・・」とほっと一息つきたいところですが、売主様には売却後に大切な手続きが残っております!

それが「確定申告」です。

確定申告とは

確定申告とは、1月1日から12月31日までの1年間の所得にかかる税額を計算し、納税するための手続きのこと。

不動産の売却後に確定申告が必要になる場合とは、売却益が発生した時です。

売却益とは、売却代金から取得費や諸経費(譲渡費用)を差し引いて、売却代金がプラスになった時のことを言います。 売却益は「課税譲渡所得」として区分され、売却益に応じた「譲渡所得税」を納める必要があります。「譲渡所得税」とは税金の総称で、これらを分解すると「所得税」と「住民税」に分けられます。   税金の計算の元となる「課税譲渡所得金額」は、以下の計算式により算定されます。

課税譲渡所得金額=売却代金-(取得費+譲渡費用)-特別控除額(一定の場合)

「売却代金」:買主様に売却した金額です(売買契約書に記載されています)。

「取得費」:売却した土地や建物をもともと購入した時にかかった代金や仲介手数料、登記費用等を合計したもの。

「譲渡費用」:今回の売却に要した仲介手数料の他、測量費、貸家を売却した場合に支払った立退料、建物を取り壊して土地を売った場合の解体費用等が含まれます。 

「特別控除額」:国税庁のホームページを参照して下さい。

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3223.htm   

https://www.nta.go.jp/publication/pamph/koho/kurashi/html/05_2.htm 

 

上記の計算で算出された「課税譲渡所得金額」に税率をかけて税額を計算しますが、その税率は土地、建物の所有期間によって変わります。

短期保有(5年以下)の場合:所得税30%(30.63%)、住民税9% 長期保有(5年超)の場合:所得税15%(15.315%)、住民税5%。

※ご自身が実際に所有していた期間のほか、相続や贈与で引き継いだ土地や建物の場合は、以前の所有者の所有期間をそのまま引き継ぐことが出来ます。 

 

不動産売却で利益を得たにも関わらず、翌年3月15日までに申告をしていない場合には無申告税が加算され、納付すべき税額に対して、原則50万円までは15%、50万円超だと20%を余分に納めることになります。早めの申告を心がけましょう!  

ちなみに確定申告の時期は、原則2月16日~3月15日までとされていますが、その時々で期限が延長になる場合があります。 今年は新型コロナウイルスの影響で延長が発表されました。 https://www.nta.go.jp/data/030202kigenencho.pdf    

 

このように不動産売却後には確定申告の必要性があることを覚えておきましょう! 売却益が出た時は、確定申告は必須事項となります。

詳しい確定申告のケースはこちらの記事で解説しています。

一方で、売却益が出なかった場合も、税金を抑えることが可能となる場合があるので、忘れずに確定申告をしましょう。

ONO SAKI アドレス株式会社 法務部 部長
2006年早稲田大学卒業 イエステーション・アドレスに新卒入社
不動産売買仲介営業部へ配属。その後、総務、経理、賃貸などを歴任し
2020年より法務部の新設とともに初代責任者に就任

相続登記が義務化!?違反すれば過料も!!

2021年2月10日に、法制審議会(日本の法務省に設置された審議会)で、相続や住所・氏名を変更した時に土地の登記を義務付ける法改正案を答申しました。

改正案の中には、相続から3年以内に申請しなければ10万円以下の過料を科す、等の内容が盛り込まれております。

国土交通省が平成28年に実施した地籍調査では、所有者不明の土地は全国の約2割に上り、そのうち3分の2は相続登記が行われていないもの、残りの3分の1は所有者の住所変更の未登記などによるものでした。高齢化の進展に伴い、所有者不明の土地は今後さらに増えることが予想されます。

所有者がわからないと取引ができず、再開発や公共事業等、土地の有効活用の妨げともなってしまいます。

そこで、これ以上所有者不明の土地が増えないように、「相続登記を義務化しよう」という流れになっているわけです!

 

※改正案※

相続時の登記を義務化

取得を知ってから「3年以内」に登記申請

→違反すれば10万円以下の過料

10年間、遺産配分未定なら法定割合で分割

■住基ネットで行政が死亡情報を登記

■死亡者が名義人の不動産一覧を行政が発行

土地の所有権を放棄しやすく

建物や土壌汚染がなければ国庫に返納可

■審査手数料と管理負担金を納入

住所・氏名変更 法人の移転登記も義務化

■2年以内に申請

→違反すれば5万円以下の過料

■本人意向を確認後、行政が登記変更可

■海外居住者は国内連絡先を登記に記載

所有者不明の土地・建物を活用

■公告を経て他の共有者で管理や変更も

補修や短期の賃貸借を共有者の過半数で決定

裁判所の許可で管理人を選べば売却も

2月10日付の日本経済新聞の報道によれば、政府は3月にも改正案を閣議決定し、国会で成立後、2023年度にも施行される方向で調整に入ったとのことです。
 今後、相続登記と住所変更登記の義務化が本格的に進む方向です。義務化されるまでにできる対策を早めに行っていきましょう。

ONO SAKI アドレス株式会社 法務部 部長
2006年早稲田大学卒業 イエステーション・アドレスに新卒入社
不動産売買仲介営業部へ配属。その後、総務、経理、賃貸などを歴任し
2020年より法務部の新設とともに初代責任者に就任

「買取」のメリット、デメリットは?

ご所有の不動産を急いで現金化したいという方には、私たち不動産会社が買い取るという方法があります。

ただし、売主様にとってはメリットやデメリットもありますので、そのうちのいくつかをご紹介します。

ご自身の売却理由を考慮しながら不動産会社に「買取」を依頼するのか、「仲介」で依頼するのかご検討ください。

売主様にとってのメリット

1.すぐに現金化できる

 売主様と不動産会社との間で買取価格が折り合えば、不動産会社は社内稟議などの手続きを経て、購入します。よって売主様には仲介で依頼するよりも早く手元に現金が入ります。仲介の場合は、販売期間に3ヶ月から6ヶ月、一般的に買主様は住宅ローンを利用するので、その手続きに1~2ヶ月、そうなると売主様のお手元に現金が入るのが、売りに出してから早くても4ヶ月後、市場価格よりも高く売り出した場合は1年以上かかることもあります。離婚や買い替えなどで、早めに現金が必要で、「価格」より「スピード」が優先ということであれば、買取りを依頼してもいいでしょう。  

2.仲介手数料不要

 不動産会社が買い取りますので、仲介で依頼する際に必要となる「仲介手数料」は不要です。

3.面倒が少ない

 仲介で依頼すれば、購入希望者が物件を見に来ますので、ご自宅を住みながら売却するような場合は、週末を中心にその対応が必要となります。内覧の前に掃除をする、不要なものを片付けるなどの手間がかかります。買取りであれば、その手間がなくなりますので、これも売主様のメリットと言えるでしょう。却の理由によっては、ご近所に知られたくないという売主様もおられます。そのよう

な場合は買取を検討することもいいでしょう。仲介での売却を依頼すれば、不動産会社は買主様を探すためにインターネットサイトに広告を掲載したり、買主様をご案内したりしますので、ご近所に知られてしまう可能性があります。売却の理由によっては、ご近所に知られたくないという売主様もおられます。そのような場合は買取を検討することもいいでしょう。仲介での売却を依頼すれば、不動産会社は買主様を探すためにインターネットサイトに広告を掲載したり、買主様をご案内したりしますので、ご近所に知られてしまう可能性があります。

4.近所に知られずに売却できる

 売却の理由によっては、ご近所に知られたくないという売主様もおられます。そのような場合は買取を検討することもいいでしょう。仲介での売却を依頼すれば、不動産会社は買主様を探すためにインターネットサイトに広告を掲載したり、買主様をご案内したりしますので、ご近所に知られてしまう可能性があります。

売主様にとってのデメリット

1.買取価格

 今回の不動産売却が「価格重視」であれば、不動産会社に仲介を依頼して売却したほうがいいでしょう。不動産会社は商品として買取りますので、市場価格で購入するとビジネスにはなりません。また、購入した物件がいつ売れるか分からないというリスクを負うことにもなります。所有している間の固定資産税等や買取る際、また販売する際の諸費用も考慮するので、売主様から買い取る価格は市場価格より安くなるのが一般的です。

2.買取出来ない場合もある

不動産会社は商品として仕入れますので、再販が見込めない不動産(再建築が出来ないエリア等)は買取が出来ない場合もあります。

 上記のように買取には、それぞれメリットとデメリットがございます。また、そのメリットとデメリットもお客様の「売却理由」「売却目的」により変化致します。買取を検討する場合は、まずはその会社が「買取」できる会社か否か(買取自体を行っていない不動産会社もあります)、買取できる場合は「いくらで買い取ってもらえるのか」をご確認ください。「仲介」と「買取」の価格を比較検討したい!という場合は、両方出してもらうことをおすすめします。いずれにせよ、お客様の売却目的をよく考えて、「仲介」と「買取」どちらがより良いのかを親身に相談に乗ってくれる不動産会社、営業担当を選ぶことがポイントです。

売買IT重説4月から本格運用

it重説とは

国土交通省は、これまで行ってきたIT重説(ITを活用した重要事項説明)の社会実験を踏まえ、2019年から実用化されている賃貸取引に続き、売買取引についてもIT重説を本格運用する方針を示しました。IT重説(ITを活用した重要事項説明)とは、「宅地建物取引業法第35条に基づき宅地建物取引士が行う重要事項説明を、テレビ会議等のITを活用して行うこと」を指します。簡単に言うと、重要事項説明を必ずしも対面ではなく、テレビ電話や非対面でも可能としますよ!ということですね。

新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、業界内外で非対面ニーズが高まっていることや、昨年の菅内閣発足以降、急ピッチで行われているデジタル庁設置の動きを鑑みても、納得のニュースといえます。IT重説は今後ますます注目が集まると思われます。

 同省は2019年10月から「個人を含む不動産売買取引におけるIT重説社会実験」と「賃貸取引における書面のデジタル交付社会実験」を実施しておりました。

 売買取引社会実験は、2020年12月の時点では登録業者数が854社、実施件数(アンケート回収件数)が2,289件。当初は登録業者数が59社で、期間は同年10月までとしていましたが、新型コロナウイルス感染症の拡大を受けてニーズや注目度が上昇。登録事業者や実施件数も急増し、期間を延長した経緯があります。

国土交通省が挙げているIT重説のメリットは大きく4つ

・遠隔地の顧客の移動や費用等の負担軽減
・重説実施の日程調整の幅の拡大
・顧客がリラックスした環境下での重説実施
・来店困難な場合でも本人への説明が可能

国交省の報告によると、実証実験におけるトラブルは、宅建士、相手方ともに約9割が「なかった」と答え、トラブルが発生した場合でも、結果的に対処、解決がなされているとのことでした。

 ただし、IT重説に要した時間が「30分未満」という回答が19.7%あったことや、「事前に内覧はしなかった」ケースが71.0%あったことなどに懸念を示す声も複数上がったようです。IT重説自体についての問題ではないものの、通常の重説や取引時と比べ、説明や検討を省略あるいは簡素化している様子がうかがえる、という判断のようです。

 こうした結果と検証議論も踏まえ、同省は実験のサンプル数とトラブル発生状況については問題ないと判断し、今後も取引態様を注視しつつ、売買におけるIT重説も本格運用へと移行していく流れのようです。

 新型コロナウイルス等の影響により、不動産業界は今後もさらに変化していくと思われます。

下落に転じた2021年の公示地価

下落に転じた2021年の公示地価

3月23日、国土交通省が2021年1月1日時点での公示地価を発表しました。住宅地、商業地などをあわせた全用途の全国平均は前年より0.5%下がり、6年ぶりに下落に転じる結果となりました。前年は1.4%の上昇でしたが、新型コロナウイルス感染拡大による来日客の激減や外出自粛の影響で、都市部を中心に大きく下落しました。

特に大きな落ち込みが目立ったのが、東京・大阪・名古屋の三大都市圏の商業地で、前年までは外国人観光客の増加や大規模な金融緩和による投資資金の流入で、都市部ではホテルや商業施設などの開発需要が高まっていましたが、新型コロナウイルスの影響で状況は一変。来日客の激減と外出自粛でホテルは不振に陥り、都心の繁華街では時短営業を余儀なくされた飲食店の撤退が相次ぎ、地価が下落する結果となったようです。

 また地方圏も、大都市圏ほどではありませんが、全用途で0.3%下落し、4年ぶりの下落となりました。再開発などで高い上昇率を維持してきた札幌、仙台、広島、福岡の地方主要4市も平均2.9%上昇と、前年の7.4%上昇より上昇幅は縮小しました。

福島県の公示価格

福島県内に目を向けてみると、県内全用途の平均では0.2%下落し、こちらも8年ぶりに下落に転じました。県内の地価は東日本大震災、原発事故で落ち込んだ後、復興需要を背景に上昇が続いていましたが、新型コロナウイルスによる経済活動の停滞と一昨年の東日本台風(台風19号)の影響が浮き彫りとなったようです。

住宅地では東日本台風で浸水被害を受けた地域では需要の減退が続き、10.5%と県内最大の下落率となったいわき市平下平窪三丁目は全国でも2位の下落率でした。一方、住宅地の上昇率を市町村別で見ると、富岡町が2.4%上昇でトップ、浪江町は同1.2%上昇と続きました。富岡町では廃炉関連の事業所・宿舎用地の取引が活発化しているようです。

商業地では新型コロナウイルスによる営業自粛などで売上が落ち込んだ飲食、宿泊、観光の各業種で下落が顕著に見られました。特に夜型の飲食店が多く立ち並ぶ福島市や郡山市などでの下落率が大きかったようです。評価にあたった国土交通省地価公示県代表幹事の佐藤栄一県不動産鑑定士協会副会長は「台風被害については当面、プラスになる要素はなく、商業地については新型コロナの収束次第という面が強い」と指摘しております。

新型コロナウイルスの影響が長期化すれば、全国的な下落傾向は長引く可能性があり、

「コロナの感染拡大をいかに抑止できるか」が今後の地価動向の行方を左右すると思われます。

お家を売却するときの残置物はどうするべき?

お家を売却するときの残置物はどうするべき?

最近、売主様から多くいただくご質問の中で、以下のようなものがあります。

「家の中にいらない荷物がいっぱい残ってるんだけど、このままでも売れるの・・・?」 

とくに、相続したご実家の売却相談を受ける際に非常に多く聞かれます。何十年もお住まいになっていたお家には、たくさんのお荷物(今後使用する予定のないもの)が残っているのは当然です。いざ売却をしようと考えたとき、その大量に残された荷物に頭を悩ませている売主様が多くいらっしゃいます。こういった建物内部に残されている動産を、一般的には「残置物」と呼ばれます。

では、残置物は放置したまま物件を販売できるのか、できないのか?撤去する場合はどのように処分すればよいのか?をご紹介したいと思います。

 

結論から言うと、残置物の処分については、その不動産を「誰が買うか」によって変わってきます。具体的には以下のケースです

不動産会社が売主様から直接「買取」する場合

不動産会社に買い取ってもらう場合は、売主様は残置物を処分しなくていいケースが多いです。(※買取条件の内容によっては、売主様ご自身で処分していただくケースもございます)不動産を現状のまま買い取って、売主様の代わりに不動産会社が処分をいたします。ただし、不動産会社が「買取価格」を見積もる際に、その処分費用は差し引いて買取価格を提示いたします。

・自分で処分する時間が無い

・手間をかけたくない

・遠方なので業者を手配するのが面倒

・今すぐ売却して手放したい

 

こういった方には、上記の「買取」で不動産会社に処分してもらうのがおすすめです。

「仲介」で売り出しをして、
一般の買主様を見つける場合

一般的には、残置物はすべて処分してお引き渡しをするのが基本です。買主様からすれば、例え売主様が綺麗に使用していた家具や家電であっても、喜ばれるとは限りませんし、ましてや置いていかれてしまうと、処分する費用や手間がかかるので、嫌がられるケースが多いです。「仲介」で売却する際には、基本的に「動かせる、取り外しできる家具や家電」はすべて処分する、ということを念頭に置いておきましょう。

処分する場合は、自分で処分するか、専門の業者に依頼する方法があります。

処分する場合のメリット・デメリット

 

 

自分で処分する

専門の業者に依頼する

メリット

処分費用が抑えられる

時間、手間が省ける

デメリット

時間、手間がかかる

処分費用がかかる

また、処分する前に、古物商やリサイクル業者の方に、買取できるものが無いか見てもらう、というのもひとつの方法です。少しでも処分費用を抑え、現金化したいという方にはこういったやり方もおすすめです。ただし、仲介の場合だと、買主様のお引越し希望日などの兼ね合いも出てきますので、処分するにも時間的な制約が出てきますのでご注意ください。もちろん専門の業者に依頼する場合、不動産会社から取引業者を紹介してもらうことも出来ますので、その際には相談してみましょう。

・時間的な余裕がある

・労力や手間をかけても不動産は高く売りたい

・買い手がみつかるまで時間がかかってもよい

 

こういった方には、上記の「仲介」でご売却することをおすすめいたします。

 

今回は、お家を売却する際の残置物について、ご紹介いたしました。残置物の処分については、売却における準備のひとつに過ぎません。それ以外にも、分からないこと、不安なことがあれば、まずは不動産会社に相談してみましょう。

住宅ローンが払えなくなったら
どうなるの・・・!?

住宅ローンが払えなくなったらどうなるの・・・!?

収入減や、病気、定年退職等、様々な理由で住宅ローンが払えなくなってしまった・・・

そんなとき、自宅はどうなってしまうのか?

 

 家が差し押さえられ、競売にかけられてしまう前にどのような行動をするべきか、説明していきます。

住宅ローンを滞納するとどうなるの?

住宅ローンを組む時は、そのお家と土地に対して「抵当権」が設定されます。これは、お金を貸した金融機関がその不動産を差し押さえられる権利です。

 抵当権を設定するのは、万が一住宅ローンが払えなくなった場合に、金融機関が抵当権を行使して、不動産を売却し、その売却した代金で住宅ローンの残債を回収する為です。

 

住宅ローンを滞納しても、すぐに差し押さえられる訳ではありません。最初は、金融機関から数回の催促があり、それでも支払いがなされない場合は、最終的に競売にかけられることになります。

任意売却という方法

住宅ローンの滞納が始まってから、競売にかけられる前は、一般的には半年から1年ほどかかります。この間、ただ何もしなければいずれは競売にかけられてしまいますが、「任意売却」という方法で不動産の売却を進めることもできます。

対処は早い方がいいのですが、住宅ローンを滞納する前は売却できないことがあります。抵当権が設定された住宅を売却する為には、そもそも住宅ローンの完済が条件になるからです。

その点、任意売却は、売却しても住宅ローンを完済できない、という場合でも、金融機関の同意を得た上で、売却を進めることができます。

住宅ローン滞納後の一般的な流れ

①滞納1~3か月目 催告書、督促状が届く

滞納すると、金融機関から電話や通知書が届き、それでも返済がなされないと、催告書や督促状、来店依頼状が届くようになります。

 

  • 滞納3~6か月目 個人信用情報に事故記録が残る

催告書や督促状が届いても対応せずにいると、個人信用情報機関の金融自己記録に名前が記載されます。

 

いわゆる「ブラックリスト」ここに記載されると、クレジットカードやマイカーローンなどの審査が通らなくなってしまいます。事故記録が載る時期は金融機関により異なりますが、通常は3か月程度で登録されます。

 

  • 滞納6~7か月目 期限の利益喪失(ローンの一括支払い請求)

この時点でも無視を続けていると、「期限の利益を喪失した」旨を示す通知が届きます。

「期限の利益」とは分割して支払う権利のことで、この権利を失うということは「住宅ローン残債の一括返済」を請求されるということを意味しています。

 

  • 滞納7~9か月目 保証会社から代位弁済通知書が届く

期限の利益喪失後、保証会社から「代位弁済通知書」が届きます。代位弁済とは、滞納者に代わって保証会社が金融機関に住宅ローンの残債を一括返済することです。代位弁済通知書が届いた後は、金融機関ではなく保証会社に残債を返済しなければなりません。

 

  • 滞納9~10か月目 担保不動産競売開始決定通知

代位弁済した保証会社は、残債を回数するため、裁判所に競売の申し立てを行います。競売開始決定が出ると、債務者に「担保不動産競売開始決定通知」が送られてきます。

 

  • 滞納10~16か月目 競売入札通知書

競売にかけられた不動産に対して裁判所による現況調査が実施され、競売入札が開始されます。入札の結果、売却者が決定すると、所有者は落札者に移り、強制的に立ち退きを要求されます。

 

 

多少前後することはありますが、競売になるまでの一般的な流れはこのような期間で進んでいきます。

 

競売を避けるためには、「任意売却」という方法で不動産を売却する方法があります。

任意売却とは・・・?

任意売却は、住宅ローン滞納が始まってから競売までの間に選択できる売却方法です。競売は市場価格よりも安く売却されることが多く、競売後に住宅ローンが完済できる見込みはほとんどありません。

その点、任意売却は通常の売却と同程度の価格で売却できる可能性があります。家を失うことに変わりはありませんが、売却価格が少しでも高い方が、残債を圧縮することができます。

任意売却できるタイミングは、住宅ローンを滞納してから競売入札が開始されるまでです。

裁判所から競売入札開始の通知が送られてきてしまうと、任意売却を選択することはできません。また単に、競売入札が開始されるまでに任意売却を進めていればいいわけではなく、この時までに売却を完了させておく必要があります。

住宅を売却するためには、査定や見学希望者の案内、売買契約、買主のローン審査といった一連の流れがあります。このすべてを、競売入札開始までの間に終わらせなければいけません。

住宅ローン返済の目処が立たなくなったら、できるだけ早い段階で任意売却に向けて動き出す方が良いでしょう。

任意売却のメリット

①任意売却は競売より高く売却できる可能性がある

先述の通り、競売入札開始の前までに売却を完了しなければならないという期限があるものの、具体的に通常の不動産売却と同じ方法で売却を進めることができます。

住宅を高く売却できれば、売却後のローン残債を減らすことができ、その後の返済計画が楽になります。

 

②近所に住宅ローンの滞納を知られずに済む

競売にかけられると物件の情報が誰でも閲覧できる状態で公開されるため、近隣住民や知人に知られる可能性があります。

一方、任意売却であれば周囲に事情を知られずに売却することが出来ます。

 

③金融機関と売却後の返済プランを交渉できる

売却後に残った住宅ローンの返済方法を、債権者である金融機関と話し合って決めることができます。返済が免除されることはありませんが、経済状況に合わせて月々の返済額を考慮してもらいやすくなります。

 

また任意売却であれば、金融機関との交渉次第で、売却代金から引っ越し費用を融通してもらえる可能性があるほか、引っ越し日を金融機関や買主と話し合って決めることができます。

競売では、引っ越し費用は自分で用意する必要があるうえ、引っ越し日も決められている為、問答無用で退去しなければなりません。

 

任意売却は以下の流れになります。

 

①催告書や督促状が届く

住宅ローンを滞納すると、債権者である金融機関から電話が来たり、催告書や督促状が届きます。

②金融機関や任意売却の専門家に相談する

不動産の売却が完了するまでは時間がかかります。そのため催告書や督促状が届いたら、出来るだけ早い段階で任意売却の意向を金融機関と任意売却の専門家に相談しましょう。

③不動産の価格査定

任売却を進める方向で決まったら、通常の不動産売却と同様に不動産会社による価格査定が行われます。ただし、任意売却には期限があるため、売却が間に合わないということがないよう、適切な価格査定が必須です。

④金融機関との交渉

価格査定後、提案内容に納得できたら任意売却を任せる不動産会社と媒介契約(不動産会社に売却を依頼するための契約)を締結。その後は、不動産会社が金融機関と交渉を行います。

⑤売却活動

金融機関との交渉後、通常の不動産売却と同じ流れで売却活動が行われます。

⑥引っ越し~売買代金の清算

広告や案内などの売却活動を行い、買主が見つかったら売買契約を締結し、買主のローン審査承認が得られたら、売買残代金の支払い~引き渡しとなります。

売買残代金支払い日が決定したら、その日までに引っ越しを済ませます。この時、金融機関との交渉次第では、最大30万円まで引っ越し費用を融通してもらうことが出来ます。

金融機関にリスケジュールを相談する

住宅ローンの返済が苦しくなってきたら、まずは早期に金融機関に相談をしてください。

金融機関によっては、住宅ローンの返済期間を延ばして月々の返済額を抑えたり、一定期間だけ金利のみの返済にしたりと、リスケジュールに応じてもらえる場合があります。現実的に可能な返済計画に出来れば、競売や任意売却をしなくても済む可能性があります。

 

以上、住宅ローンを滞納してしまったらどうなるのか、競売や任意売却の流れなどをご説明しました。

住宅ローンは何十年にもわたる長丁場となります。その間には、さまざまな原因で経済状況が悪化することもあり、決して他人事ではありません。

せっかく手に入れたマイホームを追い出され、債務だけが残ってしまう、ということのないよう、返済が苦しくなったら、まずは金融機関や不動産会社に相談し、最善の策が取れるように対処していきましょう。

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住みながらお家を売却、
内覧時のポイント!

住みながらお家を売却・・・内覧時のポイント!

売却理由は様々ありますが、住みながらお家を売りにだしているケースも珍しくはありません。

この場合、一般的な流れとしては、買主様が見つかったら売買契約を締結します。売買契約が終わり、買主様のローン承認が出たら、売主様は引き渡しの準備に入ります(転居先への引っ越し準備、借入している金融機関へ抵当権抹消の手続き依頼、室内清掃手配等)。買主様へ引き渡す準備が整ったら、最後の残金決済、所有権移転手続きをしてお取引完了、となります。

では、住みながらお家を売却する場合、買主様から内覧の希望があった際、売主様としてどんなポイントに注意すればいいのかをご説明していきたいと思います。

家の中は出来る限り、整理整頓しておく

内覧時に一番大切なのが、お家に入った瞬間の買主様の「第一印象」です。経年劣化による傷や、通常の生活で付くお家の汚れなどはもちろんあって当然です。しかし、不要なゴミが散らかっていたり、食べた後の食器がそのまま台所に放置されていたり、脱いだ洋服が床に転がっていたら・・・買主様の「第一印象」はどうなるでしょうか?

また買主様の心理として、「清潔感がないなぁ」と感じると、「値引き交渉」の原因にもつながりやすいと言われております。内覧前は、出来る限り「整理整頓」しておくようにしましょう。

電気はすべて点けて、
室内をなるべく明るくしておく

第一印象が大切というお話をしましたが、室内に入ったときに、暗い室内よりは、明るい室内の方が、第一印象も当然よくなります。「たったそれだけ」と思うかもしれませんが、電気をつけずに真っ暗な状態でご案内するよりも、家の中の電気をすべて点けて、明るい室内でご案内する方が、成約する確率も高くなります。簡単にできることなので、ぜひこちらもご協力いただきたいポイントです。

買主様が来る前に窓を開けて換気をしておく

室内にこもった生活臭は、意外と自分では気づきにくいものです。ただし、買主様がお家の中に入った瞬間に気になるポイントのひとつが「におい」です。買主様が来る前に、窓をすべて開けて換気をしておくだけで、お家に入った瞬間の第一印象が格段に変わります。忘れずに行っていただきたいポイントです。

できるだけすべてのお部屋を内覧
できるようにしておく

生活している状態を見てもらうので、売主様としては、見せたくないお部屋もあると思います。しかし、買主様は、見ることが出来ないお部屋があると、「何か傷や不具合があるんじゃないか・・・」「あのお部屋の状態が気になるなぁ」等とモヤモヤしてしまい、このモヤモヤがすっきり解決されないと購入に踏み切ることが出来ません。個人情報などはもちろん目に触れないように一箇所にまとめておく等の工夫をしつつ、お部屋の中はなるべく買主様に見ていただける状態にしておきましょう。

内覧時は外出、または席を外していただく

愛着のあるお家のご案内となると、内覧に来た買主様がどんな方なのかとても気になるところですよね。ただし、買主様も居住中のお家を見せていただくので、とても緊張しながら来ております。売主様から色々と質問されたり、ずっと見られている状態だと、気を遣ってしまい、納得いくまで内覧出来ない場合があります。前述したように、「気になる箇所」や「モヤモヤ」が解決されないと、買主様は購入に踏み切ることが出来ません。せっかく内覧に来ていただくならば、出来る限り、買主様が納得いくまでじっくり見ていただけるようにすることが、ご成約への近道となります。したがって、内覧中だけ入れ替わりで売主様に外出または席を外していただくケースが非常に多いです。

もちろん売主様のご事情によってはそういった対応が出来ないケースもあると思いますので、お住まいになりながら売却する際には、内覧時にどのように対応するか、不動産会社の担当者と事前に打ち合わせをしておくことをおすすめいたします。

 

以上、お住まいになりながらお家を内覧していただく際のポイントをいくつかお伝えいたしました。「住みながらの売却」は、買主様と内覧の予定を合わせたり、生活している状態を見られてしまうので、売主様もとても不安で、気を遣うことと思います。しかし、売主様と同じように、買主様も、住んでいる状態での内覧はとても緊張し、気を遣いながら見に来ているということをぜひ覚えておいていただきたいと思います。

2022年、住宅火災保険料が値上げへ

2022年、住宅火災保険料が値上げへ

近年、自然災害が相次ぎ、保険金の支払いが膨らんでいる為、住宅向けの火災保険料が来年度にも再び値上げされる見通しとなりました。損害保険各社が、保険料を決める目安となる「参考純率」が、1割ほど引き上げられる見込みのようです。

 

業界団体の損害保険料率算出機構が会合を開き、新たな参考純率を決め、金融庁の審査後に正式発表するようです。同機構は、保険金支払い実績などを踏まえ、参考純率が適正かどうかを毎年検証しています。直近では、2019年10月に、全国平均で4.9%引き上げており、この改定を受けて、大手損保会社は今年1月に火災保険料を6~8%値上げしたばかりでした。

 

また今は最長10年の火災保険の契約期間を最長5年に縮めることも決める見通しとのこと。短縮して、保険料の値上がり分を反映しやすくするようです。大手損保会社は、以前は住宅ローンの返済期間に合わせて36年としていた火災保険最長契約期間を、2015年には10年に縮めていました。

 

豪雨や台風など自然災害の頻発により、2018~2019年度の損保各社の保険金支払額(車両保険など含む)は2年連続で1兆円を超えたそうです。

大手損保会社の幹部によると、「参考純率の値上げ幅が、そのまま各社の火災保険の値上げ幅にはならない」としつつも、「値上げ自体は不可避」としています。損保各社は2022年度にも火災保険料値上げや、期間短縮に踏み切る見込みのようです。

 

マイホームを所有している方なら、火災保険は一生付き合っていかなければいけないもの。今後の、火災保険料の動向にもぜひ注目していきましょう。