DX戦略について
現状の認識
昨今、デジタル技術の進化により、近隣相場を知る我々不動産会社の独占業務であった市場相場観による不動産査定は、AIやビッグデータの活用により自動化が進んでいます。
また、お客様の属性や地域ごとの嗜好性、特性や行動予測に関するデータを持ち、それらを基に効果的に潜在的・顕在的なお客様に対してアプローチをするデジタル化された企業やIT企業(いわゆる不動産テック企業)が、それらを持たない非デジタルの企業に対して優位にビジネスを展開しています。
不動産業界においては、2000年以前のデジタル化がそれほど進んでいない状況下においては同じ地域で営業活動を展開する同業他社がライバル企業であったのに対し、現在ライバルと認識すべき対象は新たな顧客を獲得する為の集客媒体を販売するIT企業と認識せざるを得ません。理由としては、利益を生み出す一連のプロセスにおける一番上流をこれらの企業が握っている為です。
そこでアドレス株式会社(以下当社)では、下記のビジョン・方向性を持ってDXに向けて取り組んでまいります。
経営ビジョン
「長期事業構想書」の実現に向け、最大限デジタルツールを活用し、ビジネスモデルを変革するとともに、新たな企業文化・風土を確立し、競争優位を築いてまいります。
ビジネスモデルの方向性
- デジタルツールの活用により既存ビジネスの生産性を改善し、競合他社に対して競走上の優位性を見出す方向性です。
- 蓄積されたデータの活用により新たな顧客価値を創造し、IT企業に依存しない集客チャネルを確立します。
- デジタルツールの活用により社内インフラを構築し、過疎地域における不動産流通業および賃貸管理業の体制と仕組みを築き、地方の「空家問題」解決の選択肢の一つとなれるよう取り組みます。(『空家等に関する施策を総合的かつ計画体に実施するための基本的な指針』より参照)
ビジネスモデル実現に向けた戦略
- バックオフィスにおいてデジタルツールの最大活用により、全社効率化を図り、人的資源を創出いたします。
- 創出された人的資源によって、顧客との対面・会話の時間を最大化させ、顧客満足度の向上を図ります(フロントオフィス強化)。
- 自社のみならず、 自社DXをステークホルダーへ波及させ、地域DXの牽引企業としてブランディングし、地域課題解決に貢献できるよう取り組みます。
データ活用
『全社効率化』
集客から契約、さらには契約後のフォローアップまでの一連の情報と集客媒体ごとの費用をkintoneに蓄積・可視化し、分析することにより効果的な集客媒体を探り集中投資します。部署間の情報の伝達をスムーズにすることにより「業務の待ち時間」を削減し、スループットを高めます。営業スタッフ一人ひとりへの送客数をコントロールすることにより担当案件数を最適化し、各営業スタッフが抱える業務量の平準化を図ります。
『顧客満足度』
顧客満足度を測るツールのひとつとしてGoogleクチコミを活用します。すべての店舗において「★4」以上の評価を目指し、書き込まれたクチコミには必ず返信を行います。
体勢・組織及び人材の育成・確保
効率的にDX推進を図るため、2023年7月10日付で取締役会直下に「DX推進室」を設置いたしました(下図を参照)。
DX推進室社員を中心に、デジタルツールの活用人材の育成を進め、組織横断的に社内DXを推進します。また、定期的にSaaS連携ベンダーとの情報交換、サポートのもと、デジタル人材の育成・確保していきます。加えて、上記の進捗等について定期的に取締役会に報告します。

具体的な方策
当社では積極的にSaaS(kintone、LINE WORKS、Google Workspace、チャットワーク)を導入しており、さらなる活用に取り組んでまいります。
1.業務システムの全体最適化
SaaSの利用により集客から契約、さらには契約後のフォローアップまでの一連の業務プロセスにおいて一貫したデータ管理を行い、顧客に対し標準化されたサービスを提供いたします。
2.業務プロセスの変革
SaaSの利用により、業務プロセスの分業化を推し進め、専門性の高い社員を常時育成し、サービス品質の向上を図ります。また自社のみならず、顧客および取引業者に対してもSaaSの利用を共有し、安全かつ迅速な情報の受け渡し手段を確立いたします。
3. リアルタイム経営
蓄積された業務データをリアルタイムで集計・数値化することにより、一連の業務におけるボトルネックを正確かつ迅速に把握します。加えて、蓄積した業務データおよび数値をリアルタイムで見える化し、データに基づく経営判断の基盤を築いてまいります。
4. 業務遂行体制の向上
SaaSの条件分岐とソート機能を活用することにより、例えば、ベテラン社員の勘と経験に依存しない判断が可能となるような組織を確立し、属人的な業務を減らし、安定的な業務遂行体制を確保します。
指標
1.顧客満足度の向上(Googleクチコミ評価★4以上)
2.人時生産性の向上 (売上高総粗利益÷従業員総労働時間)
3. デジタル人材の育成・確保(2023/6期 1名→2026/6期 2名)
4. DX セミナー等への登壇 (3回/年)