石切山脈は、茨城県笠間市にある稲田石の採掘場跡地です。この広大な採石場は、現在では観光地として一般公開されており、その壮大な景観と歴史的な背景から多くの人々を魅了しています。
壮大な石の景観:石切山脈の概要
石切山脈は、茨城県笠間市に位置する、花崗岩の一種である「稲田石」の採掘場跡地です。正式名称は「稲田採石場」ですが、その規模と景観から「石切山脈」と呼ばれ親しまれています。
この地で採れる稲田石は、「白い御影石」として知られ、日本橋や東京駅、国会議事堂、最高裁判所など数々の著名な建築物に使用されてきました。その歴史は古く、明治時代から本格的な採掘が始まり、日本の近代建築を支える重要な役割を担ってきました。
現在は観光地として一般公開されており、その広大な敷地内には、切り立った岩肌、巨大な石のブロック、そして雨水が溜まってできたエメラルドグリーンの池など、独特の景観が広がっています。まるでSF映画の世界に迷い込んだかのような、非日常的な空間は、訪れる人々を圧倒します。

稲田石の歴史と文化:日本の近代建築を支えた白い御影石
稲田石の歴史は、江戸時代にまで遡ると言われています。しかし、本格的な採掘が始まったのは明治時代に入ってからです。鉄道の開通により、大量の稲田石を全国へ運搬することが可能になり、日本の近代化を象徴する建築物の建設に貢献しました。
特に有名なのは、国会議事堂への使用です。約20年の歳月をかけて建設された国会議事堂には、約20万トンの稲田石が使用されたと言われています。稲田石は、その美しい白色と高い耐久性から、日本の近代建築の象徴とも言える存在となりました。
石切山脈では、かつて多くの人々が採掘作業に従事していました。彼らの手によって、巨大な石が切り出され、全国へと出荷されていきました。現在でも、当時の採掘の様子を偲ばせる道具や写真が展示されており、その歴史と文化に触れることができます。また、採石場としての役割を終えた現在も、一部では採掘が続けられており、現役の採石場としての一面も持ち合わせています。
石切山脈の見どころ:絶景スポットと体験
石切山脈の最大の魅力は、その壮大な景観にあります。まず訪れたいのが「採掘場展望台」です。ここからは、広大な採掘場全体を見渡すことができ、その規模に圧倒されます。特に、切り立った岩肌と、そこに広がるエメラルドグリーンの池のコントラストは息をのむ美しさです。
エメラルドグリーンの池は、採掘によってできた窪地に雨水が溜まってできたもので、「古代遺跡のような景観」「地図にない湖」などと呼ばれています。光の加減によって色が変化し、時間帯によって様々な表情を見せてくれます。湖畔には遊歩道が整備されており、間近でその神秘的な色合いを楽しむことができます。
また、敷地内には「石のオブジェ」が点在しており、アート作品として楽しむこともできます。これらのオブジェは、稲田石を加工して作られており、石の持つ可能性を感じさせてくれます。
石切山脈を最大限に楽しむには「プレミアムツアー」がおすすめです。一般の見学では立ち入れないエリアを巡り、より深く採石場の魅力に触れることができる、特別な体験コースです。
石切山脈 プレミアムツアーの主な内容
- 専用車での採石場奥部への案内
- プレミアムツアーの最大の特徴は、専用の車(オフロード車やマイクロバスなど)に乗って、一般非公開の採石現場の奥地まで入っていける点です。
- 岩山の悪路をダイナミックに進んでいくため、まるでアドベンチャーのような体験ができます。
- 現役の採掘現場を間近で見学
- 現在も採石が続けられているエリアに案内され、大型重機による掘削作業や、石を切り出す様子を間近で見学できる場合があります。
- 時期やタイミングによっては、実際に稼働している現場の迫力を肌で感じることができます。
- 専門ガイドによる解説
- 専属のガイドが同行し、稲田石の歴史や特徴、採掘方法、さらには採石場の秘密など、詳しい解説をしてくれます。
- 一般的な見学では得られない、専門的な知識や裏話を聞くことで、石切山脈への理解が深まります。
- MVやCMの撮影現場へ案内
- 近年、石切山脈はその壮大な景観から、ミュージックビデオ(MV)やCM、映画、ドラマなどのロケ地として頻繁に利用されています。
- プレミアムツアーでは、実際に撮影が行われた場所や、特に絶景が広がる岩壁など、一般では立ち入れないフォトスポットにも案内してもらえます。人気のアーティストのMVのロケ地を訪れることができるのは、ファンにとっては特に嬉しいポイントです。
- 「地図にない湖」を様々な角度から堪能
- 石切山脈のシンボルともいえる、雨水が溜まってできたエメラルドグリーンの湖「地図にない湖」を、一般見学コースとは異なるアングルから眺めることができます。
- 湖のほとりまで降りて、その神秘的な色合いを間近で感じる機会がある場合もあります。
- 所要時間と予約
- ツアーの所要時間は約1時間です。
- 人気のツアーであるため、事前予約が必須です。特に休日などは早めに予約することをおすすめします。
- ツアーは1日複数回開催されています(例:9:30~、11:00~、13:30~、15:00~)。冬季(1月~3月)は13:30~が最終となります。
料金と注意点
- 料金: プレミアムツアー料金は大人1,000円、中学生以下500円(※2025年7月現在の情報)。これに加えて、別途一般入場料(大人300円、中学生以下無料)が必要です。
- 服装: 足場が悪い場所や滑りやすい場所もあるため、歩きやすい靴と動きやすい服装で参加することが推奨されます。
- 天候: 雨天時など、天候によってはツアー内容が変更になったり、中止になる可能性もありますので、事前に確認が必要です。
石切山脈のプレミアムツアーは、ただの観光では味わえない、奥深い採石場の魅力を体感したい方や、映像作品のロケ地を巡りたい方にとって、非常に価値のある体験となるでしょう。
絶景と共に味わうモンブラン
茨城県笠間市は栗の名産地としても知られています。敷地内にあるU-A Cafe では石切山脈の広大な採石場の景色を眺めながら、地元笠間産の栗を贅沢に使用したモンブランを味わうことができます。屋外のテラス席で、切り立った岩肌やエメラルドグリーンの湖を背景にモンブランを楽しむのは、まさに非日常的な体験です。モンブランは稲田石でできたお皿に乗せられて提供されることもあり、視覚的にも楽しめます。
注文を受けてから目の前で栗のペーストを絞り出してくれます。これにより、ふわふわでとろけるような、作りたてならではのフレッシュな食感を味わうことができ、「賞味期限5分」と表現されるのも頷けます。栗のペーストは非常に細く絞られており、口どけが良いのも魅力です。
かなりのボリュームがあるため、お腹を空かせて行くことをおすすめします。シェアをしながら食べるのもいいでしょう。中には、スポンジ、生クリーム、クッキーなどが入っており、様々な食感と味わいが楽しめます。
笠間の栗は秋が旬ですが、U-A Cafeのモンブランは年間を通して提供されています。ただし、季節によっては数量限定となる場合や、フレーバーが変わる場合もあります(例:チョコや抹茶モンブラン)。

石切山脈へのアクセスと周辺情報
石切山脈は、電車と車、どちらでもアクセス可能です。
電車の場合: JR水戸線「稲田駅」が最寄駅です。稲田駅から石切山脈までは徒歩約15分から20分程度です。駅周辺にはタクシーも少ないため、時間に余裕を持って行動することをおすすめします。
車の場合: 北関東自動車道「笠間西IC」または「友部IC」から約10分から20分程度です。無料駐車場も完備されており、車でのアクセスが便利です。
周辺情報: 笠間市は、笠間焼で有名な陶芸の町です。石切山脈を訪れた際には、笠間焼のギャラリーや陶芸体験なども楽しんでみてはいかがでしょうか。また、笠間稲荷神社は日本三大稲荷の一つに数えられ、多くの参拝客が訪れます。
食事処も豊富で、地元の食材を使った料理を提供するレストランや、おしゃれなカフェなど、様々な選択肢があります。石切山脈の壮大な景色を堪能した後は、地元の美味しい食事を楽しむのもおすすめです。
石切山脈を訪れる際の注意点
石切山脈は、広大な採石場跡地であり、足元が不安定な場所もあります。動きやすい服装と、歩きやすい靴で訪れることをおすすめします。特に、雨の日や雨上がりの後は、足元が滑りやすくなるため注意が必要です。危険な場所には近づかないようにし、定められたルールを守って見学しましょう。
夏季は日差しが強いため、帽子や日焼け止めなどの日焼け対策をしっかりと行いましょう。水分補給もこまめに行い、熱中症には十分注意してください。
冬季は、場所によっては積雪や路面凍結の可能性があります。防寒対策をしっかりと行い、足元に注意して見学しましょう。
未来へ繋ぐ石の物語:石切山脈の魅力
石切山脈は、かつて日本の近代建築を支えた「稲田石」の歴史と、その壮大な景観が融合した ユニークな観光地です。切り立った岩肌、エメラルドグリーンの池、そして悠久の時を感じさせる石の存在は、訪れる人々に深い感動を与えます。
単なる採石場跡地ではなく、地球のダイナミックな営みと、人間の創造力が生み出した、まさに「生きた博物館」と言えるでしょう。
四季折々に異なる表情を見せる石切山脈は、何度訪れても新しい発見があります。歴史、文化、そして自然の美しさが詰まった石切山脈は、茨城県を代表する観光スポットの一つです。ぜひ一度、この壮大な石の景観を体感しに訪れてみてください。