深い緑に包まれた福島県いわき市勿来に、とても歴史ある國魂神社があります。この神社では、毎年、夏になると「夏詣(なつもうで)」という特別な行事が行われ、訪れる人たちに心地よい感動と心のやすらぎを与えています。2025年6月30日(月)から8月17日(日)まで、1200年もの長い歴史を持つこの場所は、およそ1,500個もの風鈴と、約200個の苔玉(こけだま)で、もっときらめきます。都会のざわつきを忘れて、日本の昔からの文化と自然の美しさが一つになった、夢のような空間で、特別な夏の時間を過ごしてみませんか?

國魂神社の深い歴史とつながり:二つの神様が守る場所

國魂神社の歴史は、遠い昔の大同元年(806年)までさかのぼります。その頃の菊多の国造(くにのみやつこ)という地域のえらい人が、日本の神話の中心である出雲大社(いずもたいしゃ)から神様たちを招いて、お祀りしたのが始まりと言われています。出雲大社といえば、人と人との縁を結んでくれる神様として有名で、大国主大神(おおくにぬしのおおかみ)という日本の古い神様が祀られている、とても大切な場所です。遠い場所から神様たちを迎え入れたこと自体が、当時のこの地域がどれほど重要で、神様を大切に思う気持ちが強かったかを表しています。それ以来、代々の国造が自らお祭りを取り仕切り、地域の信仰の中心として大切に守られてきました。

さらに、保元二年(1157年)には、当時のリーダーだった国井政広(くにいまさひろ)さんが、今の奈良県にある春日大社(かすがたいしゃ)から神様を招き、この國魂神社に一緒にお祀りしました。春日大社は、藤原氏という昔の有力な家族の守り神として、国が平和であることや子孫が栄えることを願う神社です。その神様たちを迎え入れたことで、國魂神社は、地域のリーダーだけでなく、全ての人たちの平和や幸せを願う場所として、さらに深く大切にされるようになりました。

出雲の神様と春日の神様、二つの種類の神様をお祀りしているその歴史は、この神社が持つ心の奥深さと、たくさんの人たちの願いを受け入れてきた広さを表しています。長い歴史の中で、病気や災害、戦争など、いろいろな大変なことを乗り越えてきた人たちの願いが、この場所にずっと生き続けているのです。國魂神社は、地域の人たちにとって、ただお祈りをする場所というだけでなく、苦労を乗り越えて、未来へ希望をつなぐ心の支えであり続けてきたと言えるでしょう。

「夏詣」に込められた願いと五感を魅了する風鈴の音色

夏詣」とは、一年の真ん中あたりにあたるこの時期に、過ぎた半年の間に何もなかったことに神様へ感謝し、残りの半年の間も平和に過ごせるよう願うという、日本ならではの心温まる昔からの行事です。最近では、全国のいろいろな神社でこの取り組みが広まっていて、年の前半の悪いものや汚れを清め、後半へと気持ちを新しく切り替える意味も持っています。國魂神社の夏詣は、そんな大切な意味に加えて、目や耳など五感で楽しめる美しい工夫が大きな魅力となっています。

神社の入り口から本殿へと続く道に吊るされた約1,500個もの風鈴は、風が吹くたびに一斉に涼しい音色を響かせ、夏の暑さを忘れさせてくれます。チリン、チリンという透き通った音は、まるで神様が話しかけているかのようで、心を洗い流してくれるようです。それぞれの風鈴には、お参りに来た人たちの願いが書かれた色とりどりの短冊(たんざく)が揺れていて、たくさんの願いが風に乗って神様のもとへ届けられるようです。この涼しい音色は、日本の夏の風景を象徴するものです。都会のうるさい場所から離れて、静かな境内でその音色に耳を傾けることで、日頃のストレスから解放され、深い癒しを感じることができるでしょう。

また、風鈴と一緒に参拝者を出迎えるのは、鮮やかな緑色が目を引く約200個の苔玉(こけだま)です。手のひらサイズのかわいらしい苔玉が、風鈴の音色と一緒に目に涼しさを与え、神社の境内全体を命あふれる緑の空間に変えてくれます。みずみずしい苔の緑と、風鈴の透明な音、そして夏の光が合わさった景色は、まさに日本の夏の美しさを表すかのようです。苔玉の一つ一つに宿る小さな命の輝きを感じながら、自然と一つになった気持ちを味わうことができるでしょう。これらの工夫は、ただ飾ってあるだけでなく、お参りに来た人の心を穏やかにし、神聖な場所へと誘う大切な役割を持っています。

國魂神社のいろいろな魅力と一年を通じた活気

國魂神社は、夏詣以外にもたくさんの見どころがあり、一年中、元気いっぱいの様子を見せてくれます。

年間を通して様々なお祭りや行事が定期的に行われていて、りっぱな例祭(れいさい)や、悪いものを追い払い福を招く節分祭(せつぶんさい)など、それぞれのお祭りには地域の文化や信仰が強く表れています。

また、國魂神社でもらえるお守りもいろいろな種類があり、訪れる人たちの様々な願いに寄り添う気持ちが伝わってきます。「勿来守り(なこそまもり)」といった地域にちなんだお守りをはじめ、「縁結び」「安産・子宝」「厄払い・方位除け」「願いが叶う」「心と体の健康」「運気アップ」「心の願いが叶う」「交通安全」といった一般的なものから、お子さん向け、スポーツ、お仕事関係、お金運、魅力を高めるもの、さらにはペット向けのものまで、幅広い願いに対応したお守りが用意されています。これほどたくさんの種類のお守りがあるのは珍しく、今の時代を生きる人たちの様々なニーズに応えようとする神社の思いやりが伝わってきます。お参りの証として集める人も多い御朱印(ごしゅいん)も人気があり、季節限定のデザインや特別な御朱印がもらえることもあって、訪れるたびに新しい発見があるかもしれません。

國魂神社は、いわき神社巡礼「神玉(かみだま)」の一つにもなっていて、地域全体の信仰と観光を盛り上げることにも貢献しています。これは、いわき市内にある複数の神社を巡り、それぞれの場所で特別な「神玉」を集めるという面白い取り組みで、地域の文化と歴史を深く知る良い機会となるでしょう。

アクセスについて

國魂神社への行き方も比較的簡単で、電車やバス、車でも気軽に訪れることができます。JR常磐線勿来駅(なこそえき)からタクシーで約10分、常磐自動車道いわき勿来インターチェンジからは車で約5分と、福島県の内外から来る人たちにとってもとても便利です。駐車場もきちんと整備されているので、車で来る場合も安心です。

観光情報誌「旅色(たびいろ)」にも紹介されるなど、その魅力は広く知られています。夏詣の期間中は、風鈴の音が響く夢のような空間を楽しむことができますが、それ以外の季節に訪れても、歴史ある建物や豊かな自然に触れることができ、一年を通して様々な表情を見せる國魂神社の魅力をたっぷりと味わえるでしょう。

この夏、歴史ある國魂神社で、清らかな風鈴の音色と緑豊かな苔玉に包まれながら、特別な夏詣を体験し、心も体もスッキリさせてみませんか?1200年もの長い時を超えて受け継がれてきた祈りの場所で、新しい半年の平和を願う時間を、ぜひ過ごしてみてください。

開催について

  • 期間: 2025年6月30日(月)~8月17日(日)
  • 場所: 國魂神社(福島県いわき市勿来町窪田馬場72)
  • 電話: 0246-65-2384