住宅ローンの支払いに
困ったらどうする?

住宅ローンは長い年月をかけて返済することが多いので、その間には予期していないいろいろなことがおこることがあります。出産や育児で共働きが難しくなったり、転職、病気、事故にあったりなど予測できないことがおきてしまうことがあるからです。そのようなときには、住宅ローンの返済が重荷になることがあります。しかし、どのようなときにも救済方法は必ずあるので、あきらめないことが大事です。

この記事では、住宅ローンの返済に行き詰ったときに覚えておきたいことや、対処法について解説します。

まずは金融機関に相談

住宅ローンの支払いに困ったら、まずは金融機関に相談することが大切です。

金融機関では、返済期間の延長や返済額の減額などの救済措置を提案してもらえる可能性があります。

ただし、これらの措置は返済に猶予を設けるだけで、元本の減額や免除はありません。

返済総額は増えてしまうデメリットもありますので、注意が必要です。

 

もし金融機関との交渉が難しい場合や、返済方法の変更だけでは解決できない場合は、住宅の売却を検討するのも一つの方法です。

住宅の売却には、仲介で売却する方法と任意売却する方法があります。

仲介で売却する場合は、自分で不動産会社を選んで売却活動を行います。

任意売却する場合は、金融機関の同意を得て、債務の一部を免除してもらいながら売却します。

どちらの方法もメリットとデメリットがありますので、自分の状況に合わせて選ぶ必要があります。

 

住宅ローンの支払いに困っているときは、早めに対策を講じることが重要です。

滞納が続けば、競売にかけられてしまう恐れがあります。

競売になると、住宅の価格が大幅に下がり、残債が残ってしまう可能性が高くなります。

また、競売にかけられたことは周囲に知られてしまうこともあります。

住宅ローンの返済が困難になったら、まずは金融機関に相談しましょう。

住宅ローンの支払いが遅れたらどうなる?

住宅ローンの支払いが遅れたら、以下のような影響があります。

  • 遅延損害金が発生します。

遅延損害金とは、住宅ローンの返済が遅れたことで金融機関に与えた損害を賠償するためのお金です。

遅延損害金は、遅延した元金に対して年率13%〜15%の割合(金融機関との「金銭消費貸借契約によって定めた利率によります。」)で支払うことになります。

例えば、遅延損害金の割合が13%として、遅延した月の返済元金が10万円で、遅延日数が10日だった場合には次のように計算します。

(1年を365日として計算しています。)

10万円×13%×10÷365≒356円

  • 優遇金利が解除される可能性があります。

住宅ローンは、毎月安定して返済することを前提に契約を結んでいるため、延滞すると信用が下がってしまいます。

そのため、金融機関は、延滞した場合に優遇金利の適用を解除することができます。

優遇金利の適用が解除されると、返済額や総返済額が増えることになります。

  • ブラックリストに登録される可能性があります。

ブラックリストとは、信用情報機関が管理する事故情報のリストのことです。

事故情報とは、住宅ローンの滞納や貸倒れ、破産などのことを指します。

一般的には、61日以上の延滞、または3回目の支払い日を超える延滞でブラックリストに登録されます。

ブラックリストに登録されると、今後の住宅ローンやクレジットカードなどの借入が困難になります。

  • 競売にかけられる可能性があります。

住宅ローンの滞納が続くと、金融機関は家を売るための法的な手続きに入ります。

この手続きを競売と呼びます。

競売では、裁判所が家を差し押さえて、入札にかけて売却します。

競売になると、家の価格が大幅に下がり、残債が残ってしまう可能性が高くなります。

 

住宅ローンの支払いが遅れたら、早めに対策を講じることが重要です。

滞納が続けば、家を失うだけでなく、信用情報にも悪影響が及びます。

任意売却の手続き

任意売却とは、住宅ローンなどの担保権を設定した借入金が返済できなくなった場合に、担保権者(金融機関など)の同意のもと、担保として提供した不動産(自宅など)を売却する方法です。

任意売却は、債権者に強制的に不動産を売却される競売よりも、債務者の希望や生活設計を反映できる余地があり、メリットが大きいと言えます。

任意売却の手続きは、大きく分けて以下の5つのステップになります。

  1. 金融機関からの督促等

住宅ローンの支払いが滞ると、金融機関から連絡や督促状が届きます。

最終的には、一括返済を求める書面や競売の手続きへ進む通知書等が届きます。

  1. 任意売却の相談

任意売却をしたいと思ったら、任意売却を専門とする不動産会社や弁護士などに相談します。

専門家は、債務額や債務者の経済状況の把握、物件の市場価値調査などを行い、暫定的な販売価格を決めます。

  1. 債権者との交渉

任意売却になる場合、債権者である金融機関の同意が必要となります。

専門家は、債権者との交渉を通じて、販売価格の調整、加えて、残債務の返済方法などを、債権者の同意を得られるように交渉します。

  1. 販売活動

任意売却で不動産を販売するときには、「早く売り切る」ことが特に重要となります。

債権者が、すでに競売の申し立てをしているときには、競売の開札期日の前までに競売を取り下げてもらえる状況を作らなければなりません。

不動産会社がインターネットなどの広告活動を通じて、買い手を探します。

  1. 売買契約・決済

売買契約の後、代金の決済を行います。

販売代金は、債権者の同意を得た控除金額(費用など)を除き、返済に充てられます。

引越し費用も売却額から捻出できる場合もあります。

 

任意売却は、競売に至る前に、債権者との話し合いのもと、物件を売却する方法です。

任意売却を成功させる上では、債権者との交渉がもっとも重要です。

任意売却を検討している場合は、早めに専門家に相談することをおすすめします。

任意売却にはどのくらい時間がかかるか

任意売却にはどのくらい時間がかかるかは、個々のケースによって異なりますが、一般的には以下のような流れと期間が考えられます。

  • 住宅ローンの滞納から期限の利益の喪失までの期間:約6カ月
  • 債権者との交渉期間:数週間から約1カ月
  • 債権者の同意後の売却活動期間:3カ月~6カ月
  • 売買契約から決済までの期間:1カ月~2カ月

以上のことから、任意売却には最短で約10カ月、最長で約15カ月かかると見積もることができます。

ただし、これはあくまで目安であり、債権者や買主との交渉の進み具合や市場状況などによって変動する可能性があります。

任意売却の期限は、競売の開札日の前日までです。

競売の開札日は、債権者が競売の申し立てをした後、裁判所が決定します。

競売の申し立てから開札までの期間は、約3カ月から6カ月が一般的です。

したがって、競売の申し立てがされた後では任意売却を成功させるのは難しくなります。

任意売却を成功させるためには、早めに専門家に相談し、債権者との交渉や販売活動をスムーズに進めることが重要です。

不動産会社の選び方

不動産会社を選ぶときには以下の点に注意しましょう。

  • 不動産会社の実績や評判を確認する

不動産会社は、取り扱う物件の種類やエリア、サービス内容などによって特徴が異なります。

そのため、自分の目的や希望に合った会社を選ぶことが重要です。

不動産会社の実績や評判は、インターネットや口コミなどで調べることができます。

これらの情報を参考にして、信頼できる不動産会社を選ぶようにしましょう。

  • 不動産会社の対応や提案力を見極める

不動産会社を選ぶ際は、実績や評判だけでなく、対応や提案力も重要なポイントです。

不動産会社の営業担当者は、物件の紹介や契約の手続きなど、不動産取引のすべてに関わる人です。

そのため、営業担当者の対応や提案力は、不動産取引の満足度や成功率に大きく影響します。

営業担当者の対応や提案力を見極めるには、以下のような点に注意しましょう。

  • 物件の情報や相場を正確に把握しているか
  • 自分の希望やニーズに応えてくれるか
  • 丁寧で迅速に対応してくれるか
  • 信頼できる根拠や理由を示してくれるか
  • 他の不動産会社との比較や交渉をサポートしてくれるか
  • 不動産会社の費用やサービス内容を比較する

不動産会社を選ぶ際は、費用やサービス内容も比較することが大切です。

不動産会社によって、仲介手数料やその他の費用、物件の広告や売却活動の方法、アフターサービスなどが異なります。

そのため、自分にとって最もお得で安心できる不動産会社を選ぶためには、複数の不動産会社の費用やサービス内容を比較する必要があります。

費用やサービス内容を比較するには、以下のような点に注目しましょう。

  • 仲介手数料は物件価格の何%か
  • その他の費用は何がかかるか
  • 物件の広告や売却活動の方法はどのようなものか
  • 売却後のアフターサービスはどのようなものか

以上のように、不動産会社を選ぶ際のポイントは、実績や評判、対応や提案力、費用やサービス内容などが挙げられます。

これらのポイントを押さえて、自分にとって最適な不動産会社を選ぶようにしましょう。

任意売却以外の債務整理する方法

任意売却は、債務整理の一種であり、任意整理の一つの方法として利用できます。

任意売却以外の債務整理する方法としては、以下の4つがあります。

いずれの方法も事故情報としてブラックリストに一定期間残るため、新たに借入をするのが難しくなります。

  • 任意整理

債権者と直接交渉して、借金の金額や利息、返済期間などを減額や変更する方法です。

裁判所を通さないので、手続きが比較的簡単で費用も安く済みます。

しかし、債権者の同意が必要であり、全ての債権者と交渉する必要があります。

  • 特定調停

裁判所に申し立てをして、調停委員の指導のもと、債権者と借金の減額や返済条件の変更について合意する方法です。

裁判所が間に入るので、任意整理よりも債権者の合意が得やすいというメリットがあります。

しかし、手続きが複雑で費用も高くなります。

  • 個人民事再生

裁判所に申し立てをして、裁判所が認めた計画に基づいて、借金を大幅に減額し、分割で返済する方法です。

住宅ローンを除く借金を約2割に減額できるというメリットがあります。

また、住宅ローンを継続して支払うことで、自宅に住み続けることができます。

しかし、手続きが非常に複雑で費用も高くなります。

  • 自己破産

裁判所に申し立てをして、借金の免責(帳消し)を受ける方法です。

借金から完全に解放されるというメリットがあります。

しかし、手続きが複雑で費用も高くなります。

また、自宅や車などの財産を失うことになります。

以上のように、任意売却以外の債務整理する方法には、それぞれメリットとデメリットがあります。

自分の状況や希望に合わせて、最適な方法を選ぶ必要があります。

債務整理は複雑で専門的な知識が必要なため、弁護士や司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

まとめ

住宅ローンの返済に困ってしまうと一人で悩んでしまいがちですが、今回紹介したように様々な対処法があります。

まじめな方ほど一人で悩んでしまい追い込まれてしまいがちですが、言い方は悪いですが「たかが借金」です。

救済方法は必ずあるので、金融機関や弁護士、司法書士など専門家に相談してみましょう。