不動産の取得費が
分からない時はどうする?

不動産の取得費がわからなければ、その分高い税金を払わなければならなくなってしまうことがあります。不動産を売却したときに不動産の取得費が必要になるからです。今回は、不動産の取得費とはなにか、わからないときの対処法について解説します。

不動産の取得費とは

不動産の取得費とは、不動産を取得したときにかかった経費です。

売買で取得したときには、つぎのような費用が取得費となります。

  • 土地の購入代金
  • 建物の購入代金や建築費
  • 購入したときの仲介手数料
  • 売買契約書に貼った印紙代
  • 取得時の登録免許税や司法書士報酬
  • 不動産取得税
  • 住宅ローンの利息(一部)

このうち建物の購入代金や建築費については減価償却をした金額になるので購入や建築したときの金額そのままではないので注意しましょう。

契約書や支払ったときの領収書があればよいのですが、領収書などがみつからなくても購入時の通帳など他の資料で支払が確認できれば費用として認められることがあります。

そのため領収書とあわせて通帳なども保管しておくとよいでしょう。

No.3252 取得費となるもの|国税庁

自分で購入・建築した不動産なら売買契約書や領収書などをきちんと保管してあることが多いでしょうが、親が取得した不動産を相続して売却するような場合に保管場所がわからず取得費が計算できないことがあるのです。

親が元気なときに大事なものの保管場所を確認しておくとよいでしょう。

不動産譲渡所得税が高くなる

不動産を売却したときにかかる不動産譲渡所得税は不動産譲渡によって得た利益

(売却価額-取得費用-譲渡費用)

に対して課税されます。

そのため、取得費が多いほど所得が減り、税金も安くなるのです。

取得費がわからないときの算出方法

取得時の売買契約書や領収書がないときでも、取得費がゼロになるわけではありません。

以下のような方法で取得費を算出することができます。

  • 税務署が認める概算取得費
  • 市街地価格指数
  • 建物の標準建築価額
  • 不動産取得費査定
  • その他の方法
  • 住宅ローンの借入額

これらの算出方法のうち、最も有利な方法で計算しましょう。

税務署が認める概算取得費

親や祖父母が購入した不動産など取得費がわからないときには売却金額の5%を取得費として計算できます。

No.3258 取得費が分からないとき|国税庁

昭和30年代に日本は高度経済成長を経験し貨幣価値が大きく変動したことや都市開発によって不動産価格が上昇していることから、たとえ取得費がわかっても概算取得費を利用した方が有利な場合もあります。

この場合には実際の取得費がわかっても5%の概算取得費を活用することができるので申告前に十分な検討を行いましょう。

市街地価格指数

一般社団法人日本不動産研究所の「市街地価格指数」では全国の主要都市の市街地価格変動指数が公表されているので、この指数を利用して取得時の価格を算定することもできます。

建物の標準建築価額

国道交通省では建築着工統計として「構造別:建築物の数,床面積合計,工事費予定額」を公表しているので、この資料から建築当時の工事費を計算し減価償却をしたうえで取得費を算出する方法です。

不動産取得費査定

税理士や不動産鑑定士が不動産の取得費を査定してくれることがあるので相談してみましょう。

その他の方法

その他、過去の路線価を調べて取得時の土地価格を算出したり、登記記録にある住宅ローンの借入額から取得費を算出したりする方法などがあります。