不動産売却のための広告の種類と特徴

 不動産を売却するためには、売却物件の情報を多くの人に知ってもらう必要があります。一般の商品と同じように不動産の売却でも広告が行なわれます。
 今回は不動産売却のための広告にはどのような種類があり、それぞれどのような特徴があるかを解説します。

不動産広告の種類

 不動産の広告は様々な方法で行なわれています。

 ここでは利用する媒体ごとにどのような広告が行なわれているのかを紹介して、後ほど広告ごとの特徴を解説します。

広告媒体ごとで行なわれる広告の種類

 広告の手法には実際に人が動いて看板を設置したりビラを配ったりする実動広告、雑誌やテレビなどマスメディアを利用する方法、インターネットを利用する方法などがあります。

 実動広告

 ● 電柱ビラ・捨て看板
 ● ポスティング
 ● オープンハウス
 ● 現地看板・店頭看板・ポスター

 メディア利用

 ● 折り込みチラシ・新聞広告
 ● 情報誌
 ● テレビ広告

 ウェブ広告

 ● 自社のホームページに掲載
 ● レインズ
 ● リスティング
 ● SNS
 ● バナー広告

広告費用の負担は誰がする?

 広告をすると聞くと費用負担が心配になりますが、不動産の広告は基本的には仲介を依頼された不動産会社が負担して行います。そのため売却を依頼する所有者が負担することは特殊な場合を除いてありません。売主が特別に通常行わない方法で広告を希望する場合には広告費用を負担しなければなりませんが、こだわりの方法がある場合には不動産会社に相談してみましょう。

不動産広告の種類ごとの特徴と効果

 広告の方法によってはターゲットになる地域や年齢層などが異なります。売却を依頼する不動産会社が、売却物件に適した広告方法をとることができるのかも販売戦略として重要です。不動産会社が利用している広告方法にどのようなものがあるかを紹介します。

実動広告

 実際に不動産会社のスタッフなどが動いて広告をする方法です。目にする人の範囲はその地域に限られます。

 ● 電柱ビラ・捨て看板
 お客様を誘導するために駅や大通りの電柱などに広告ビラや看板を貼ってあるものを見かけることがありますが、多くの場合違法な行為です。
 このような広告をする会社には注意が必要です。

 ● ポスティング
 各戸の家のポストにチラシを配布する方法です。
 不動産会社のスタッフが直接配布する方法や専門業者に委託して数万枚を配布することも可能です。

 ● オープンハウス
 休日などに売却物件を直接見てもらう方法です。
 オープンハウスの場合には事前にチラシなどで広告をしていますから興味をもって訪問される方にはもちろん効果的ですが、近所の方にもアピールすることができ、知人などに紹介をしてもらえて売却につながる可能性もあります。

 ● 現地看板・店頭看板・ポスター
 売却物件の現地に看板を設置する現地看板では、興味がある人が立ち寄りますから広告効果が高い方法です。
 店頭看板やポスターでは、潜在的な顧客である地域の方たちに訴求する効果があります。

メディア利用

 ● 折り込みチラシ・新聞広告
 確実に家庭に届くことが特長です。
 チラシには1枚に複数の物件情報を載せるものと一つの物件だけを載せるものとがあります。
 一つの物件だけを載せると当然一物件当りの広告単価が高くなりますからターゲットになる地域を限定して配布することになります。

  情報誌
 駅の構内やコンビニで配布される無料の不動産情報誌に広告を載せます。
 無料ですから興味を持つ方が手に取りやすいのが特長です。
 発行日が限られていますから、広告頻度は情報誌の都合によることになります。

 ● テレビ広告
 広く目にする広告ですが、一つの物件ではコストが合わないため不動産会社自身や新築マンションプロジェクトなどを広告する方法に利用されます。

ウェブ広告

 ● 自社のホームページに掲載
 販売を委託する不動産会社が運営しているホームページに売却物件が紹介されます。興味がある人が閲覧者なので効果的な方法といえますが、多くの方が閲覧する機会がある会社が有利であり、検索にヒットしやすいこと、見栄えが良い写真などを準備してくれるかどうか、既存のページで運営状況を確認しましょう。
  ○ ダイレクトメール
   ダイレクトメールは古くからある顧客誘導の方法ですが、インターネットでも行なわれています。
   郵便で行なうと費用がかかりますがインターネットでは郵送料がかかりません。
   新規物件のお知らせやオープンハウスのお知らせなど既知の顧客に対して行なわれる広告方法です。

  ○ リマーケティング広告
   一度自社のホームページを訪問した人が他のサイトをみている時に広告を表示させる方法です。

 ● レインズ
 不動産流通機構が運営している不動産会社専用のネットワークシステムです。一般の方は利用できませんが、不動産会社同士の情報交換に利用されており物件情報が一元化されています。

 ● リスティング
 GoogleやYahoo!などの検索エンジンの検索結果に表示される広告をいいます。
 料金は1クリックごとにカウントされる仕組みです。

 ● SNS
 FacebookやLINEなどのSNSを利用する広告方法です。ターゲットとする顧客層や広告配信地域を絞って広告をすることが可能で、比較的安く広告をすることができるため問い合わせ率はそれほど期待できないとはいえ、費用対効果の面では優良な方法です。

 ● バナー広告
 特定のWebメディアにバナーリンクを設置する方法です。期間単位での契約になるため比較的高額になります。

広告規制

 広告には一般にも規制がありますように不動産でも同様に規制があります。不動産会社が違法な広告をしているようでは信用がおけません。

 どのような規制があるかを解説します。

規制の種類

 不動産広告では宅地建物取引業法第32条〜34条や表示規約第21条によって誇大広告などが禁止されています。実際のものよりも著しくよいものであるように誤解させるような広告や実際には契約できない物件情報を掲載するおとり広告などが禁止されています。また建築確認が通っていない建物(新築)は広告をすることができないことになっています。なお不動産広告には必ず表示しなければならない事項も規定されています。例えば、新築・中古の別、価格、駅までの距離、建物面積などです。

違反した時の罰則は?

 不動産会社がこのような業法違反をおかして広告した場合は、指示、業務停止、重いときは免許取消しなどの処分を受けることがあります。さらに、6ヶ月以下の懲役や100万円以下の罰金などの罰則も定められています。

 このように不動産の広告には様々方法がありますが、売却を依頼する前に、その不動産会社がどういった広告活動をしてくれるのか、どういった販売活動を得意としている会社なのかをよく確認することが大切です。