雨漏りする家を売りたい!
注意点と売却方法も紹介します

  実家を相続したけれど雨漏りがしていた。雨漏りがあるのはわかっているけど安くなるといやだから黙って売ろうか・・・
 不動産を売却する機会は誰もが多くあることではありませんから悩むことは多いですが、雨漏りをしていたとすればなおさら心配は多くなります。

 雨漏りがわかっていれば必ず告知を!

 売却しようとする家が雨漏りすることがわかっていれば必ずその事実を、仲介を依頼する不動産会社や買主に伝えなければなりません。

 契約不適合責任

 売買契約を行なう当事者間には売買の目的物が契約内容に適合しない場合に、その履行の追完(補修・代替物の交付など)、代金の減額・返金、損害賠償や契約解除をする責任があります。この責任は売主が知っていたか、瑕疵が外観からわかるものかを問いません。その瑕疵があることが契約に適合しているか否かの事実が問題になります。契約不適合責任を負わない特約も当事者間では有効ですが、売主が知っていて告知しなかった瑕疵は免責されません。

 告知義務

 売買仲介を担当する不動産会社には宅地建物取引業法によって告知義務があると定められています。

 告知しないことのペナルティ

 雨漏りは建物の価値を下げる「瑕疵」となり、雨漏りをする家は「物理的瑕疵物件」となります。たとえ雨漏りを修繕したとしても告知義務はなくなりませんから雨漏りしていることを必ず伝えましょう。万一引き渡しまで誰にもわからなくても契約不適合責任を追及されて、損害賠償や売買契約の解除などを請求されるおそれがあります。悪質だと判断されれば詐欺罪に問われてしまい、お金の問題だけでは済まなくなってしまいます。

 売却前に修復するべき?3つの検討事項
 いっそ売りに出す前にリフォームをして売却すればよい気もしますが、その前に以下の点を検討してください。
 1. 雨漏りの二次被害・・雨漏りのある家はカビやシロアリの危険もある
 2. リフォームする前に考えること
  a. 雨漏りの完全修復は難しい
  b. 住宅診断をうける
  c. 修繕費用はどのくらい必要?
  d. 修繕しても必ず売れるとは限らない
 3. 不動産会社に相談する

 雨漏りの二次被害・・雨漏りのある家はカビやシロアリの危険もある
 雨漏りがあったことでカビが生えたりシロアリが発生していたりと雨漏りによる二次被害が考えられます。雨漏りがあったことで湿度が高くなりシロアリが好む環境になっていたり、柱や梁など建物の躯体部分が腐食していたりすることもあります。このようなことがわかっていればもちろん告知義務の対象になりますが、外観からわかりづらいために売主も気がつかずそのまま売却してしまうことがあります。しかし、このような場合であっても契約不適合責任を免れることはできませんから充分に注意をしなければなりません。

 リフォームする前に考えること

 <雨漏りの完全修復は難しい>

 雨漏りの原因はいろいろとあります。建物の老朽化によるもの、外壁やベランダ、バルコニーの防水塗膜の劣化やひび割れ、はがれ、穴あきなど。雨漏りの原因となる全ての要因を失くさなければせっかく修理をしても雨漏りが再発してしまいます。雨漏りの修復を依頼するには複数の工事会社から相見積もりをとることが必要です。事前に確認をして、追加の工事費用の請求や工事の遅れが発生しないように充分に注意をしなければなりません。

 <住宅診断をうける>

 雨漏りを修復した後は住宅診断を実施して売りに出すことで、購入を検討する人も安心できますから売却価格も高くなることが期待できます。

 <修繕費用はどのくらい必要?>

 雨漏りの修繕にはちょっとした修繕でも数万円~数十万かかりますし、屋根を全面的に改修する必要や雨漏り以外に修繕箇所があるとき100万円を超えることもあります。

 <修繕しても必ず売れるとは限らない>

 高い修繕費を払っても必ず売れるとは限りませんし、修繕費用は持ち出したために赤字になるもあります。

 <不動産会社に相談する>

 売却を検討しているならば、売却を依頼する不動産会社に建物をどのようにして売却することがよいのか、売却方法も含めて相談をしてみましょう。売却する方法もいろいろとありますから項を変えて紹介します。

売却方法5つを紹介します。

 1. 雨漏りを承知のうえで購入してもらう
 2. 雨漏りを修繕して売却する
 3. 家を解体して売却する
 4. 「更地渡し可」物件として売り出す
 5. 不動産会社に買取を依頼する

 1.雨漏りを承知のうえで購入してもらう
 購入希望者によっては、雨漏りは気になるけれど自分が工事を発注・監督をしたい、雨漏り修理のついでに自分の思うようにリフォームしたいと希望する方もいます。

 2.雨漏りを修繕して売却する
 建物が新しく軽微な雨漏りであれば修復をして売却することも考えられます。住宅診断をうけてその証明書をつけることができれば購入希望者は安心して購入することができます。

 3.家を解体して売却する
 建物が古い場合には修復するよりも家を解体して更地にしてから売却することも考えましょう。更地であれば購入者が思い通りの家を建てることができますから、購入者を広く求めることができます。更地にすると軽減を受けていた土地の固定資産税があがりますから注意しましょう。

 4.「更地渡し可」物件として売り出す
 建物を壊してもよいけれどそのままの状態で売却活動の様子をみたい場合には、売却の条件に「更地渡し可」の物件だと明示して売却活動をするように不動産会社にお願いしましょう。建物がほしい人と土地だけを希望する人の両建てで購入希望者を求めることができます。

 5.不動産会社に買取を依頼する
 売却を急ぐときには、不動産会社に直接買取できないか、相談してみましょう。自社で建売住宅を分譲する会社なら建物を取り壊して再築するため建物の瑕疵は問いません。
 なかには事故物件を専門に買い取る不動産会社もありますから、不動産の売却をとにかく急いでしたいときには不動産会社に直接買取を相談することで早期に売却できる可能性があります。

まとめ

 雨漏りしていることは不利な事実ですが、不利な事実を隠して売却するとトラブルのもとになってしまいます。
 誠実に売却することを考え、不動産売却のプロに相談することで不動産会社は豊富な知見から良い方策を見つけ出してくれます。