不動産の買取に向いているのはどんな物件?

不動産を売却したいときは、不動産会社に売却を依頼して広告などの販売活動をしてもらいますよね。このように販売活動をする売却方法を「仲介」とよんでいますが、不動産会社に直接不動産を買ってもらうことも可能です。

不動産の売却方法

不動産を売却する方法には大きく分けて仲介と買取の2つがあります。

仲介

一般に広く購入希望者を募るために、インターネット上や新聞広告・折り込みチラシなどで公告をし、販売活動を行ないます。購入希望者がいれば実際に不動産を確認する内覧などをして、購入希望者が不動産を気に入れば売買契約を行ない売買代金と引き換えに不動産を引き渡すといった流れになります。

仲介の依頼から引き渡しまでは早くて半年以上かかるのが一般的です。

 

買取

買取とは直接不動産会社が売りたい不動産を買い取ることを言います。不動産を引き渡し、売買代金を受け取る時期によって即時買取と買取保証の2通りの方法で買取が行なわれています。

 

即時買取

即時買取とは売買交渉がすみ次第に不動産会社が代金の支払をしてくれる売却方法です。

最短の業者はその日のうちに買取を決断してくれる会社もありますが、通常は3日~1週間程度は必要です。その間に不動産会社は登記簿の情報を調べたり現地を調査したりして査定を行ない、購入代金をきめます。

値段は問わないからなるべく早く不動産を現金化したい場合に向いています。

 

買取保証

買取保証の場合は、仲介による売却活動をしながら、それでも買い手がつかなかった場合には不動産会社が購入する約束をした売却方法です。高く売ることができるかもしれないから一度は一般に公募して売りに出してみたいけど、売却価格にはこだわっておらず、売却の手間もそんなに長くかけたくないような場合に向いている売却方法です。

また、買取保証があれば、売れないかもしれないという不安がありません。ある程度は高く売りたいけど、いつまでには売却したいと売却に期限がある場合に向いています。

仲介契約は専任媒介契約など3か月が一つの目安となっていますので、買取保証も3か月として期間を定めることが多いです。

 

買取のメリットとデメリット

不動産会社が直接買い取る場合の売主のメリットとデメリットを整理してみましょう。

 

買取のメリット

 1.仲介手数料が不要

  直接不動産会社が購入するので仲介業者が存在しません。そのため仲介手数料を支払う必要がありません。

 2.すぐにお金が手に入る

  販売活動を行わないで直接不動産会社が購入するので即断即決です。仲介による売却方法だといつ購入希望者が現れるかわかりません。

 3.近所に知られずに売却できる

仲介のように販売活動を行わないので、公告したり内覧したりする必要がありません。そのため売却が終わるまで近所の人に売却が知られ、噂になるようなことがありません。

 4.内覧の手間がかからない

仲介による販売活動をする場合は購入希望者がいるたびに内覧に対応しなければなりません。内覧希望があるたびに家の片づけをしたり掃除をしたりと、いろいろと気を使ってしまいますが、販売活動がないため購入希望者が不動産に立ち入り家の中の様子を見ることがありません。

 5.契約不適合責任を負わない

契約不適合責任とは、売却した不動産に瑕疵があった場合に売主が責任をおわなければならないことを言います。責任の範囲は程度により、価格弁償から契約解除まで広く及びます。買取は不動産会社が購入者になるので、売主は契約不適合責任を免除することができます。

 

買取のデメリット

 1.売却価格が安くなる

買取をした不動産を不動産会社はそのまま寝かせておくわけではなく、リフォームをしたりリノベーションをしたりした後一般の購入者をさがして販売します。

不動産会社は利益を確保するためこのようなリフォーム費用や利益分を差し引いて購入しますので、通常は最終消費者が購入する仲介による売却よりも売買代金が安くなります。

 

買取向きの物件は

一般的に売却がしにくい不動産が買取に向いているといえます。ただし、まったく売れる見込みがないような不動産だと、不動産会社でも買取をしてくれないことはあります。

買取に向いている物件は次のような条件の不動産です。

 

 ● すぐに現金化したい場合

   買取のメリットはなんといっても現金化までのスピードが速いことです。

 ● 現金を手に入れたい時期や売却手続きを完了したいときが決まっている。

   転勤などで遠くへ引っ越す場合は引渡しのために物件の住所へ帰って来なければなりません。

   その手間をいやがる場合や住み替え予定で新しい住まいの予定が決まっているため売却の期限が決まっている場合などは、

   はっきりと売却のメドが立つ買取が向いています。

 ● 仲介手数料を払いたくない

   不動産会社が直接買い取る場合には仲介手数料はかかりません。

 ● 築年数が経った古い建物

   古い建物だと目に見えない瑕疵があるため契約不適合責任を問われるおそれがあります。

またあまり古くなりすぎると購入希望者がみつかりにくくなります。相続した空き家なども仲介よりも買取に向いている物件です。

 ● 以前の耐震基準(1981年5月以前)のマンション

  日本は地震が多く耐震性能を気にする人が多いことが理由です。

  また、新しい耐震基準に適合していれば取得時の費用に軽減措置があり買主は優遇されるので新しい耐震基準のマンションが好まれます。

  そのため以前の耐震基準のマンションだと仲介によって売却しても購入希望者がつきにくい傾向にあります。

 ● 不整形地

  長方形や正方形でない旗竿地など有効に使えない部分がある土地の場合は簡単に購入希望者が見つからないことが多いです。

 ● 立地や環境が良くない物件

  駅から遠いとか商業施設から遠い場合、また近くに墓地があったり産業廃棄物処理施設があったりすると売却しにくいことが多いです。

  また災害警戒区域の場合も買い手が敬遠するので売却が難しい物件です。

  接面している道路があまり狭いと車の出し入れに困りますし、対向車がいればすれ違いにも気を使うので、やはり売却しにくい物件です。

 ● 売却していることを他人に知られたくない

  売却していることを近所の人に知られたくない事情がある場合があります。

  その場合は広告活動や内覧など他人が知る機会がない買取が向いています。

 ● 仲介で販売に出しているが1年経っても売れない物件

  1年経っても売れない場合は見切りをつけた方がよいことが多いです。

 ● 家の状態が悪くリフォームをしなければ売却できない物件

  壁や床など内装の状態が悪かったり、雨漏りがしていたりする物件はリフォームをしないと購入希望者がなかなかみつかりません。

  リフォームをする場合は必要なリフォーム費用を不動産の売却代金に上乗せして売却できることは少なく

  そのままの状態で買い取ってもらた方が有利なことが多いです。

 ● 事故物件の場合

   事件や自殺があった事故物件は売却する際に告示義務があります。事故物件の場合は購入希望者があまりいないので売却が難しいのです。

 

仲介向きの物件は?

通常は仲介の方が買取よりも高く売却できます。そのためなるべく高く売りたい人、高く売れる物件をもっている場合は買取ではなく、仲介が向いています。

 

次のような条件の物件は仲介によって広く購入希望者を募ると満足がいく売却ができます。

  ● 売却金額をさげたくない

  ● なるべく高く売却したい

  ● 売却を急いでいないので時間がかかってもよい

  ● 築浅の建物

  ● 立地がよい不動産

 

不動産を売却する機会は、人生にそう多くはありません。そのため初めてのことが多くてとまどってしまうこともあると思います。

不動産売却を検討するときは、まず始めに不動産会社に査定を依頼することから始めてください。そして、自分自身でもだいたいの相場を把握してください。そうすることによって、売却しようとする不動産の価値がみえてきます。

そのうえで、売却するための理由や目的にあった売却方法を選択しましょう。