住宅ローンが払えなくなったら
どうなるの・・・!?

住宅ローンが払えなくなったらどうなるの・・・!?

収入減や、病気、定年退職等、様々な理由で住宅ローンが払えなくなってしまった・・・

そんなとき、自宅はどうなってしまうのか?

 

 家が差し押さえられ、競売にかけられてしまう前にどのような行動をするべきか、説明していきます。

住宅ローンを滞納するとどうなるの?

住宅ローンを組む時は、そのお家と土地に対して「抵当権」が設定されます。これは、お金を貸した金融機関がその不動産を差し押さえられる権利です。

 抵当権を設定するのは、万が一住宅ローンが払えなくなった場合に、金融機関が抵当権を行使して、不動産を売却し、その売却した代金で住宅ローンの残債を回収する為です。

 

住宅ローンを滞納しても、すぐに差し押さえられる訳ではありません。最初は、金融機関から数回の催促があり、それでも支払いがなされない場合は、最終的に競売にかけられることになります。

任意売却という方法

住宅ローンの滞納が始まってから、競売にかけられる前は、一般的には半年から1年ほどかかります。この間、ただ何もしなければいずれは競売にかけられてしまいますが、「任意売却」という方法で不動産の売却を進めることもできます。

対処は早い方がいいのですが、住宅ローンを滞納する前は売却できないことがあります。抵当権が設定された住宅を売却する為には、そもそも住宅ローンの完済が条件になるからです。

その点、任意売却は、売却しても住宅ローンを完済できない、という場合でも、金融機関の同意を得た上で、売却を進めることができます。

住宅ローン滞納後の一般的な流れ

①滞納1~3か月目 催告書、督促状が届く

滞納すると、金融機関から電話や通知書が届き、それでも返済がなされないと、催告書や督促状、来店依頼状が届くようになります。

 

  • 滞納3~6か月目 個人信用情報に事故記録が残る

催告書や督促状が届いても対応せずにいると、個人信用情報機関の金融自己記録に名前が記載されます。

 

いわゆる「ブラックリスト」ここに記載されると、クレジットカードやマイカーローンなどの審査が通らなくなってしまいます。事故記録が載る時期は金融機関により異なりますが、通常は3か月程度で登録されます。

 

  • 滞納6~7か月目 期限の利益喪失(ローンの一括支払い請求)

この時点でも無視を続けていると、「期限の利益を喪失した」旨を示す通知が届きます。

「期限の利益」とは分割して支払う権利のことで、この権利を失うということは「住宅ローン残債の一括返済」を請求されるということを意味しています。

 

  • 滞納7~9か月目 保証会社から代位弁済通知書が届く

期限の利益喪失後、保証会社から「代位弁済通知書」が届きます。代位弁済とは、滞納者に代わって保証会社が金融機関に住宅ローンの残債を一括返済することです。代位弁済通知書が届いた後は、金融機関ではなく保証会社に残債を返済しなければなりません。

 

  • 滞納9~10か月目 担保不動産競売開始決定通知

代位弁済した保証会社は、残債を回数するため、裁判所に競売の申し立てを行います。競売開始決定が出ると、債務者に「担保不動産競売開始決定通知」が送られてきます。

 

  • 滞納10~16か月目 競売入札通知書

競売にかけられた不動産に対して裁判所による現況調査が実施され、競売入札が開始されます。入札の結果、売却者が決定すると、所有者は落札者に移り、強制的に立ち退きを要求されます。

 

 

多少前後することはありますが、競売になるまでの一般的な流れはこのような期間で進んでいきます。

 

競売を避けるためには、「任意売却」という方法で不動産を売却する方法があります。

任意売却とは・・・?

任意売却は、住宅ローン滞納が始まってから競売までの間に選択できる売却方法です。競売は市場価格よりも安く売却されることが多く、競売後に住宅ローンが完済できる見込みはほとんどありません。

その点、任意売却は通常の売却と同程度の価格で売却できる可能性があります。家を失うことに変わりはありませんが、売却価格が少しでも高い方が、残債を圧縮することができます。

任意売却できるタイミングは、住宅ローンを滞納してから競売入札が開始されるまでです。

裁判所から競売入札開始の通知が送られてきてしまうと、任意売却を選択することはできません。また単に、競売入札が開始されるまでに任意売却を進めていればいいわけではなく、この時までに売却を完了させておく必要があります。

住宅を売却するためには、査定や見学希望者の案内、売買契約、買主のローン審査といった一連の流れがあります。このすべてを、競売入札開始までの間に終わらせなければいけません。

住宅ローン返済の目処が立たなくなったら、できるだけ早い段階で任意売却に向けて動き出す方が良いでしょう。

任意売却のメリット

①任意売却は競売より高く売却できる可能性がある

先述の通り、競売入札開始の前までに売却を完了しなければならないという期限があるものの、具体的に通常の不動産売却と同じ方法で売却を進めることができます。

住宅を高く売却できれば、売却後のローン残債を減らすことができ、その後の返済計画が楽になります。

 

②近所に住宅ローンの滞納を知られずに済む

競売にかけられると物件の情報が誰でも閲覧できる状態で公開されるため、近隣住民や知人に知られる可能性があります。

一方、任意売却であれば周囲に事情を知られずに売却することが出来ます。

 

③金融機関と売却後の返済プランを交渉できる

売却後に残った住宅ローンの返済方法を、債権者である金融機関と話し合って決めることができます。返済が免除されることはありませんが、経済状況に合わせて月々の返済額を考慮してもらいやすくなります。

 

また任意売却であれば、金融機関との交渉次第で、売却代金から引っ越し費用を融通してもらえる可能性があるほか、引っ越し日を金融機関や買主と話し合って決めることができます。

競売では、引っ越し費用は自分で用意する必要があるうえ、引っ越し日も決められている為、問答無用で退去しなければなりません。

 

任意売却は以下の流れになります。

 

①催告書や督促状が届く

住宅ローンを滞納すると、債権者である金融機関から電話が来たり、催告書や督促状が届きます。

②金融機関や任意売却の専門家に相談する

不動産の売却が完了するまでは時間がかかります。そのため催告書や督促状が届いたら、出来るだけ早い段階で任意売却の意向を金融機関と任意売却の専門家に相談しましょう。

③不動産の価格査定

任売却を進める方向で決まったら、通常の不動産売却と同様に不動産会社による価格査定が行われます。ただし、任意売却には期限があるため、売却が間に合わないということがないよう、適切な価格査定が必須です。

④金融機関との交渉

価格査定後、提案内容に納得できたら任意売却を任せる不動産会社と媒介契約(不動産会社に売却を依頼するための契約)を締結。その後は、不動産会社が金融機関と交渉を行います。

⑤売却活動

金融機関との交渉後、通常の不動産売却と同じ流れで売却活動が行われます。

⑥引っ越し~売買代金の清算

広告や案内などの売却活動を行い、買主が見つかったら売買契約を締結し、買主のローン審査承認が得られたら、売買残代金の支払い~引き渡しとなります。

売買残代金支払い日が決定したら、その日までに引っ越しを済ませます。この時、金融機関との交渉次第では、最大30万円まで引っ越し費用を融通してもらうことが出来ます。

金融機関にリスケジュールを相談する

住宅ローンの返済が苦しくなってきたら、まずは早期に金融機関に相談をしてください。

金融機関によっては、住宅ローンの返済期間を延ばして月々の返済額を抑えたり、一定期間だけ金利のみの返済にしたりと、リスケジュールに応じてもらえる場合があります。現実的に可能な返済計画に出来れば、競売や任意売却をしなくても済む可能性があります。

 

以上、住宅ローンを滞納してしまったらどうなるのか、競売や任意売却の流れなどをご説明しました。

住宅ローンは何十年にもわたる長丁場となります。その間には、さまざまな原因で経済状況が悪化することもあり、決して他人事ではありません。

せっかく手に入れたマイホームを追い出され、債務だけが残ってしまう、ということのないよう、返済が苦しくなったら、まずは金融機関や不動産会社に相談し、最善の策が取れるように対処していきましょう。

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