マンションの大規模修繕と売買について

マンションの大規模修繕とは

建物であれば一戸建ての住宅でもマンションでも同じように年数の経過とともに劣化し、傷みがあらわれます。一戸建てであれば所有者の都合や考え方で自由に修繕の周期や内容を決めることができますが、たくさんの人が住むマンションの場合は多くの人の同意が必要です。そのため、外壁の補修やシーリング工事など足場を組んでするような大掛かりな修繕をまとめてすることになります。

大規模修繕の周期

大規模修繕をする時期や規模に決まりはないですが、一般的には12年程度の周期で行われています。

国土交通省「マンション大規模修繕工事に関する実態調査について」

https://www.mlit.go.jp/common/001234290.pdf

 

  1. 長期修繕計画を確認する

マンションを維持管理するために所有者でマンションの管理組合を組織しています。通常はマンションの管理組合が長期修繕計画をたて、その計画にそって修繕積立金を設定し、集金管理しています。この長期修繕計画をみれば何年周期でいくらくらいの予算建てで大規模修繕を計画しているかがわかります。

 

  1. 前回の大規模修繕の時期と周期から推測

中古のマンションであれば過去の大規模修繕の履歴が管理組合で記録されていますので、その履歴をみることで過去の周期がわかります。そこで次回の大規模修繕がいつごろ行われるかが推測できます。

大規模修繕には多額の費用が必要であること、それに伴いマンション所有者の同意が得にくいこと、また材料の改良によって耐久性や防汚性能がよくなってきているために、12年よりも長い周期で大規模修繕が行われることが増えています。

所有者にとっては、いつごろ次の大規模修繕が行われるのかは大事なことです。

修繕積立金があるのにどうして
一時金の出費が必要?

  1. 大規模修繕の費用の引き当て

大規模修繕の費用は月々支払っている修繕積立金をあてるのが原則です。国土交通省の平成30年度マンション総合調査結果によれば修繕積立金の月額平均は11,243円となっています。ところが、現在の積立額が長期修繕計画に比べて不足しているマンションが 34.8%あり、不足の割合が20%を超えているマンションが15.5%あります。この不足する額を、実際に大規模修繕工事を行なう際に所有者が補てんすることになります。

 

国土交通省「平成30年度マンション総合調査結果」

https://www.mlit.go.jp/common/001287061.pdf

 

  1. なぜ修繕積立金に不足が生じるのか

修繕積立金の額はマンションの所有者の合意で決まります。新築時は特に初期の負担をおさえたい希望が多いので、だんだんと修繕積立金の額を増やす方法を選ぶことが多いのが理由といえます。また、材料費や工事費が値上がりしたために修繕費用全体が上がり不足が生じることもあります。

 

  1. マンションの老朽化により修繕費用も高くなる

マンションが老朽化してくると補修個所が増えてきますし、エレベーターの交換となると多額の費用が必要です。このため建築後年数がたてば、それだけ修繕積立金も高くなることになります。

 

  1. 修繕積立金を使いきってしまった

前回の大規模修繕工事に予定外の費用がかかってしまったので、次回に繰り越す予定だった修繕積立金を使いきってしまうことがあります。このような場合、今回の工事費の不足分を補てんする他に、次回のために修繕積立金を増額して積み立てることが必要になります。

大規模修繕の売買への影響

  1. マンション売却価格の下落

修繕積立金が高くなると毎月の支出も増えるため、売却には不利。そのためマンションの売却価格を下げざるを得なくなってしまいます。

例えば、3,000万円の分譲マンションを金利1%、35年の住宅ローンで購入しようとすると、月々の返済額は8.4万円程度ですが、これとは別に毎月修繕積立金が発生します。仮にマンション価格が同じで修繕積立金が1万円の物件と2万円の物件があるとすると、実質負担額は前者が9.4万円程度、後者は10.4万円程度になります。修繕積立金が高くなるほど売れにくくなるため、マンションの売却価格も安くせざるを得ないことがあるのです。

例えば、売却価格を2,700万円に下げた場合、同じ条件の住宅ローンだと約7.5万円の支払となり、修繕積立金が2万円の場合でも合計約9.5万円の負担に抑えられます。

このように、分譲マンションでは、修繕積立金の額を考慮して売却価格を調整する必要があるのです。

  1. 修繕積立金の残高の少なさは買主様の不安要素

大規模なメンテナンスに備えるための修繕積立金が、どれくらい積み立てられているかは、購入を検討している買主様にとって非常に重要な判断基準となります。積立残高が明らかに少ないとなれば、当然不安を感じる方もいます。工事に必要な費用が積立残高で賄えないと、毎月の修繕積立金の値上げや、不足分を補うために臨時徴収する可能性があるからです。

売却にあたっては、毎月の修繕積立金の額だけでなく、現在どの程度の額が積み立てされているかも確認しておく必要があります。

 

  1. マンション売却は大規模修繕前がベスト

大規模修繕工事の実施後は、積立額が一気に減り、修繕積立金を増額する可能性が高くなります。そのため、マンションを売却するなら、大規模修繕工事の実施前がベストです。

 

マンションの売却を検討されている方は、お住まいのマンションの長期修繕計画がどのようになっているのか、しっかり確認し、

売却のタイミングを見極めましょう。

イエステーションはマンションの売却も行っておりますので、お気軽にご相談ください。