急な転勤…持家はどうする!?

持家をどうするかの選択肢はどのようなものがあるのでしょう

転勤になったら持家はどうすれば良いのでしょうか。

5つの例でそれぞれのメリットとデメリットを整理してみましょう。

1 単身赴任

2 家族全員で引っ越す

  ① 売却

  ② 賃貸

  ③ 空き家

  ④ 管理委託

転勤をするにあたって単身赴任をした場合に家賃補助や帰省手当てなどの会社からの補助はどれくらいあるのでしょうか。

他の家族はどのような意見でしょうか。

子供が幼ければ問題も少ないでしょうが、進学を控えていれば進路のことが気になりますし、子供は友達と離れることに抵抗を感じてしまいます。

住宅ローンはどれくらい残っているでしょうか。

売却しなければ自宅を持ち続けることによって住宅ローンを引き続き支払う必要があります。

転勤の期間が決まっているのでしょうか。

どのくらいの期間が予想されるかによって選択肢も変わってくるでしょう。

また、転勤が終わっても持家に戻る気持ちがあるでしょうか。

単身赴任

メリット

  • 家族が引き続き自宅に住み続ける場合は、住宅ローンの借主が国内に単身赴任なら住宅ローン控除がそのまま使えます。

  住宅ローンの借主が国外に単身赴任をする場合には自宅を購入した時期によって違いがあります。

  ➤ 赴任先が海外なら使えない場合もある

    No.1234 転勤と住宅借入金等特別控除等

    https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1234.htm

  • 子供や家族は今まで通りに生活ができます。
  • 引き続き家族が住むので自宅の掃除や風通しなどの管理の心配をしなくてもすみます。

デメリット

  • 住宅ローンが残っていれば単身赴任先の生活と二重生活なので、家具や自宅に帰る移動費用、食費などが二重の負担になってしまいます。
  • 家族が離れ離れになることで単身赴任をする人に精神的な悪影響がある場合もあります。性格的に単身赴任に合わない人もいるでしょう。
  • 料理が苦手な人もいるので外食が続いてしまう場合は、健康にも食費にも心配がでてきます。

家族全員で引っ越す

  家族全員で引っ越しをして、自宅は売却や賃貸を考える場合に共通するメリットとデメリットがあります。

 

メリット

  • 家族がずっと一緒にいられることは最大のメリットといえるでしょう。

 

デメリット

  • 住宅ローンは住宅として利用する目的で不動産を買うための資金です。

  家族全員で引っ越しをすればその利用目的からはずれることになるので、住宅ローンの一括返済をしなければならないおそれがあります。

  転勤を理由で家族全員が引っ越す場合には、やむをえない理由だとして引き続き住宅ローンが利用できる金融機関もありますので、まずは利用している

  金融機関の担当者とよく相談をしてください。

  相談をしないで引っ越しをしている場合は、条件違反だとして一括返済を迫られる場合もあるので注意が必要です。

  • 家族全員が引っ越して自宅に住んでいない場合には住宅ローン控除が使えません。

  転勤が終わって自宅に帰った場合には残りの期間については、また使えるようになります。

  • マンションの場合は家族全員が引っ越して住んでいなくても持ち続ける限りは管理費や修繕積立金などの支払が必要です。
  • 留守にすれば家はどうしても傷みますので、掃除や換気などの管理が必要です。

売却

  家族全員で引っ越しをして転勤が終わっても自宅に帰る予定がないのなら、売却をするのもよいでしょう。

1 良い条件で売却するには『一括査定』という方法もあります

  複数の会社に同時に査定額を出してもらえるのが『一括査定』です。複数社で見積をだしてもらって、最も条件がよい会社を選びましょう。

  売却額の査定がでれば住宅ローンの残高と照らし合わせて住宅ローンの返済のめどをたてましょう。

2 引っ越す前に売るか、引っ越した後に売るかを決めましょう。

 (ア)引っ越し前だと居住しながら売るので購入希望者への内覧対応が必要です。

    まだ自宅に住んでいるので内覧に抵抗を感じる方もいます。

 (イ)引っ越し後なら家をきれいにして内覧も抵抗なくすることができます。

    内覧や売却活動を自宅の地元の不動産会社に一任することができるので、引っ越し先でゆっくりとすることができます。

3 売却をする場合には税金に注意をしてください。

 (ア)短期譲渡

    取得後5年以内の売却は短期譲渡といい、譲渡所得がでる場合には5年越しの売却と比べて高額の譲渡所得税を納める必要があります。

 (イ)自宅を引っ越してから3年以内に売却すると特例があり、譲渡所得税の軽減をうけることができます。

    ① 損益通算

    ② 3,000万円特別控除

No.3302 マイホームを売ったときの特例

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3302.htm

 

メリット

  • 自宅を売却することにより不動産を現金化できます。住宅ローンが残っている場合には住宅ローンをまず返済しなければなりません。住宅ローンの残高を確認しましょう。
  • 売却することにより自宅の固定資産税やマンションの管理費などの維持費がかからなくなります。
  • 空き家のように換気や掃除など自宅の管理をする必要がなくなります。
  • 賃貸にした場合と比べてリフォームや家賃の回収の心配がなく賃貸管理が不要です。
  • 売却により住宅ローンが完済できれば住宅ローンから解放されます。

 

デメリット

  • 一度自宅として住んでいるため中古物件となり、購入時よりも安くなるのが一般的です。
  • 売却には手間や費用がかかります。すぐに買い手がみつかるとは限りません。
  • 売却価格が住宅ローン残高よりも安ければ住宅ローンを一括返済できないおそれがあります。手元資金の持ち出しが必要になり、手元に資金がない場合には住宅ローンよりも利率が高い借り入れをする場合もあります。
  • 転勤が終わってもとの職域に戻った時に住むところを一から探さないといけなくなります。

  ➤ 新しく購入するときは、自宅を買った時と同じように仲介手数料などの費用と手間がかかります。

  ➤ 気に入って購入した現在の家と同じ物件は二度と手に入らないこともあります。

賃貸

  普通に住宅として賃貸契約をすると簡単には賃貸契約を解約することができなくなります。一定期間に戻ってくるなら必ず『定期借家契約』にすることが大事です。

 

メリット

  • 家賃収入が得られます。
  • 賃借人が住むので家の管理維持の手間が省けます。
  • 引き続いて不動産を持ち続けることができます。

 

デメリット

  • 他人に賃貸し、自宅を使われることに抵抗感がある人がいます。
  • すぐに賃借人が見つかるとは限りません。

特に定期借家契約だと借りられる期間が限られるため借りたい人が限られます。

また、借りる人が限定的だと貸し出す家賃も低くなってしまいます。

  • 賃借人がいれば元の職域に戻ってもすぐには持家に住むことができません。

明け渡してもらうまでは戻ってきても自宅に住むことができなくなります。

  • 賃借人によっては持家が傷むことが心配されます。

また長期になればリフォームやハウスクリーニングが必要になることもあります。

賃借人が代わったときのリフォームは原則家主の負担です。

特別に乱暴に扱ったために残った傷みを除き、普通に使用しての劣化は賃借人に請求することができません。

  • ローンの支払が残ります。

自宅を賃貸にする場合には住宅ローンが利用できなくなるおそれがあります。

ローンを組みかえて収益物件の借り入れにすると利息が高くなることが通常ですので、以前と比べて月々の返済額が上がることになります。

賃料収入が増えるとはいえ、どれだけの収支があるかを予測しましょう。

  • 賃借人によっては家賃滞納のリスクがあり、乱暴な賃借人だと自宅を荒らされるリスクもあります。
  • 途中で売る気になっても売却しにくいことがあります。

借家人がいれば収益物件の扱いになるため、売却価格が空き家に比べてさがるおそれがあります。

また、収益物件の場合はファミリータイプだとワンルームに比べて収益性が低いために売却しにくいのが一般的です。

 

空き家

メリット

  • 持ち続けていれば好きな時にいつでも戻ってこられます。
  • 自宅に荷物をそのまま置いて行かれるので、転勤先には必要なものだけ持っていくことができます。
  • 売却しないので自宅をそのまま持ち続けることができます。
  • そのまま持ち続けるので売買契約や賃貸契約などの面倒な手続きがいりません。

 

デメリット

  • ローンが残っていれば転勤先の家賃などと二重の支払をする必要があります。
  • 空き家にしておくと家の傷みが早いので、風通しをしたり自宅に帰るための費用や補修費など管理維持のための手間や費用がかかります。
  • 空き家にしていればどうしても家の劣化が早まるおそれがあります。

管理委託

誰にも貸さないで第三者に管理を委託することも考えられます。

その場合は次の共通のメリットとデメリットがあります。

 

メリット

  • 他人に使われなくてすみます。
  • 自宅なので自分の都合に合わせて戻ってこられます。

 

デメリット

  • ローンが残っていれば転勤先の家賃などと二重の支払をする必要があります。
  • 委託管理費のコストがかかります。
  • 賃料収入がないのでローン負担が重くなります。

 

管理会社に委託する場合には次のメリットやデメリットがあります。

 

メリット

  • プロだと安心して管理をまかせることができます。
  • 管理会社所定の管理メニューに従う必要があるのでこちらの都合どおりにはいきません。

 

デメリット

  • 費用がかかります。

 

知り合いに管理を依頼する場合には次のメリットやデメリットがあります。

 

メリット

  • 管理会社に依頼するよりも管理コストに融通がきくでしょう。
  • また管理の内容もお互いに話ができるので融通がききます。

 

デメリット

  • そもそも頼める人がいない場合もあるでしょう。
  • 依頼をされる側は素人なので、どうしても目が届かないところもあるでしょうし、限界があります。

 

  転勤は社内での飛躍のチャンスですが家族に与える影響も大きいもの。メリットとデメリットを家族全員で話し合い、後悔しない転勤をなさってください。