1964年福島県いわき市生まれ。34才でアドレス株式会社を設立。知的で合理的、ユーモアセンスを備えた新時代の経営者。新しいシステムをどんどん経営に採り入れていくスピードも早い。
そもそも私がこの会社を始めようと思ったのには理由があるんです。私の父はいわきで喫茶店やレストランを経営していたのですが、突然倒れてしまいまして、資産の売却を不動産会社に頼んだんです。ところが、依頼先の不動産会社に、売れそうなのかどうなのか、価格が高いならそう言ってほしいと尋ねてみても、なかなかはっきりとした返事がもらえなかった。そういった個人的な経験を通じて、「地元のために、人々が安心して資産を任せることができ、金銭面も明らかで、人々に充実したサービスを提供できる会社を作ろう」と思ったわけです。
皆さんが不動産会社のイメージである高級外車に乗り高価な時計をしたいとかいう欲求は私にはありません。当然自社ビルを建てて自慢したいという欲望もありません。ですから、自分の会社で土地を買って儲けようとも思わない。自社のものは持たないで、あくまでも売買仲介=コーディネートを通じて地域を活性化していきたいと思います。
さて不動産売買の仲介は、手数料として売買価格の上限3%+6万円を、双方のお客様からいただきます。でもこれまで、何に対する手数料なのか、明確に説明できる不動産会社は少なかったのではないかと思います。私はこの仲介料は、「我々からお客様への徹底したサービス、コンサルティングに対する対価」だと考え、この姿勢で会社を経営しています。当社が手数料の意味を明確にし、それに値する顧客サービスを提供することで、地域のシェアNo.1を守り続ければ、今以上に業界全体がわかりやすいクリアなものになり、お客様へのサービスも向上していくでしょう。
社員が生き生き働ける合理的なシステムづくり
当社には月に100組ほど新規のお客様が来店し、年間に約220件の契約を得ているのですが、これはいわきではNO.1。でも、ここまで来るには多くの失敗と試行錯誤がありました。当初3年間に41人の社員が辞めました。朝会社に行ってみたら、私ともう一人以外の全員の退職届が机に載っていたことも。これは売上げやノルマを重視する「頑張れ、イケイケ」営業のせいだったかもしれません。その後、私は社員が同じ理念のもと、効率よく、生き生きと働けるしくみづくりに力を入れてきました。誰もが気持ちよく働ける、公平でクリアな会社を作っていきたいのです。
今、会社が命ずるノルマはありません。前年の自分の成績がノルマです。逆に成長を望まない社員にとって、これほど厳しいノルマはないかもしれません。業務評価は新入社員の場合は売上げが40%、プロセスが60%。給料は全員フル公開です。また、営業が担当エリアで得てくる詳細なデータを集中管理していますが、その内容はスーパーの営業時間から、エリアに住む人の家族構成にいたるまで。今ではこのエリア情報を新聞のチラシを折込む会社が聞きにくるほどになりました。それから、店に物件情報を貼ることはしないで、いらっしゃったお客様の話をよく聞いてから、それに合った物件を捜すスタイルにしています。
また、私は年に1度「経営計画書」を発表しているのですが、これを小さな手帳にまとめて、社員にいつも携帯していただいています。これは、上司によって言うことが違ったりしないよう、例えばお客様への挨拶の時のお辞儀や、クレームの対処法など、守ってほしいこと、やってはいけないことを明記した、言ってみれば「生徒手帳」のようなもの。ここに書かれていることを実践していけば、初心者も立派に成長していける便利なツールです。毎月、売買情報誌「売りタイ買いタイ」(6000部)を発行し、市内420カ所に置かせてもらって地域の皆様にPRもしていますし、会社負担で社員全員に、声のメッセージをやりとりできる「ボイスメール」を通して、毎日起こるいいことや悪いことを即座に共有させるようにもしています。
この他、当社にとっては社員が財産ですから、入社時の研修はもちろん、東京の専門学校に出張講座を開いてもらうなど、社員教育も徹底して行っています。こういった当社の経営スタイルを勉強したいと、今では全国から年間に20から30社くらい、若手の社長さんが会社見学にいらっしゃいます。
我々は物件より先に、「アドレスに任せよう」と、会社を選んでもらえるようになりたいんです。選ばれる会社づくりのために、これからもよりいっそう励んでまいります。

![]()